N君のこと | so what(だから何なんだ)

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人生のバックパッカーのブログです。
暇はあるけど体力と金と気力がない。
そんなお年頃。
68カ国で止まったまま先に進みません。(;^_^A

・・・・・・っということで、昔々、そのまた昔の話。

社内でパイロット養成の募集があり、なぜかぼくが当選した。

実にオイシイはなしである。

アメリカに派遣され、訓練費はもちろんのこと滞在費、交通費も会社持ち。

さらに、給料までもらえるのだ。

こんなオイシイ話があるものだろうか?

バブルだったんだなぁ~~~

・・・・・・

社内から4名が選定され、アメリカで合宿生活が始まった。

その中の一人がN君としようか。

とある公立大学卒で、数学的な能力はサスガだった。

ぼくよりほんの少し年下だったけれど、初対面で????マークがぼくの頭の中を駆け巡った。

彼をアメリカの空港で出迎え、宿舎に向かう途中、珍しくB17が係留されているのが見えた。

B17といえば、第二次世界大戦中米軍の爆撃機で、ヨーロッパ戦線で活躍した機体である。

多少、飛行機に興味のある人間なら、常識中の常識の機体である。

そこでぼくは当然知っていると思い、彼に向かって、「ホラ、アメリカはあんな古い機体でもちゃんと飛べる状態なんだよ」と言った。

ところが、彼はB17を知らなかったのだ!!

「・・・・・・」

社内で彼がパイロット養成に当選したのは、彼が自ら「飛行少年」だと猛烈にアピールした結果だったと知っていた。

ぼくは、とても自分のことを「飛行少年」だったなんて、口が裂けても言わない。

それでも、B17くらいは知っている。

彼と初対面で、この人物は怪しいと睨んだ。

・・・・・・

共同生活中、同じような事象が沢山起きた。

知ったかぶりをするのである。

その都度、ぼくは「正確な事実だけを言いなさい」と何度もたしなめた。

サスガに彼はキレて、「それだったら何も言えないではないですか」とぼくに反論してきた。

それでも、絶対に真実以外のことを言ってはならないと彼に念を押した。

なぜなら、航空のことを知っている社員は、この会社にいないのだから。

キミが言うことは全て真実だと取られる。

ぼくは営業だから、テキトーなことを言っても許される。

だが、キミは技術者として派遣されたのだから、話を膨らませることは絶対に許されないと断言した。

・・・・・・

さて、その後、N君はそれなりの要職に就き、新しい機体の開発のキーマンになった。

そして、アメリカから開発第一号の機体が輸入された。

6人乗りの機体なのに、燃料を満タンにしたら2人しか乗れない代物だった。

ぼくは、彼を呼びつけこう言った。

「ぼくは技術者じゃないけれど、こんな簡単なことくらいは分かる。
技術者であるキミが、なんでこんな簡単な欠点を初期の段階で指摘できず、こうやって輸入するまで放っておいたんだ?」・・・・・・と。

バブルの時代の話である。

当然会社は莫大な金をドブに捨てて、航空ビジネスから撤退した。

彼は、子会社の閑職に追いやられた。

・・・・・・

当時から分かっていたが、N君は優秀な男であった。

だが、社会の常識が欠如していた。

大学でも、研究室でも彼はリーダー的な立場だったと思う。

だが、ちょっと齧ったくらいの航空の知識で、自らを飛行少年といいふらすような人間だったのだ。

・・・・・・

長々と書いてきたが、小保方女史の事件を見聞きするたびに、このN君のことを思い出すのである。