・・・・・・っということで、なぜ旅に出るのだろう?
自分探し?なんて陳腐な言い方は、もう誰からも共感を得られない。
だって、自分は常にそこにあるだろう。
どこか別のところに自分がいるなんて、勘違いもはなはだしい。
ならば、逆に自分から逃れる旅なのだろうか?
同じ場所に縛られて、毎日同じことを繰り返して、変化のない生活を送っている自分からの逃避なのだろうか?
そうかも知れない。
だが、旅を続けていると、旅そのものが同じことの繰り返しになる。
長い時間を列車の中で過ごし、次の乗り換え時間に腐心する。
目的の場所で足跡をしるしたと思ったら、そそくさと次の列車に飛び乗る。
ネットで一番駅に近くて安いホテルを探し予約する。
ホテルに荷物を置いたら、近くの居酒屋で酒を飲み、一風呂浴びたら、前後不覚になってベッドに倒れこむ。
この繰り返しだ。
ワンパターンから逃れようとしていたはずなのにどうしたことか。
結局人間って、繰り返しの生活の中に安息を求めるのだろうか。
尺取虫のように各駅列車で生活圏から徐々に離れ、いつのまにか遥か遠く離れた見知らぬ土地に着く。
するとそこには、その地で生活を営む人たちがいる。
あたりまえだ。
彼らの生活も、毎日が同じ。
ウンザリするほど刺激のない毎日だ。
彼らも、そこから逃れたいと切望している。
皮肉なものだ。
ぼくにとって、その地は異次元の世界に見えるのだ。
そして酒を飲み交わす。
変化のない自分から逃れたいと願う者同士・・・