ザグレブから10時丁度発のブダペスト行きの列車に乗った。
列車の入線が遅れ、10時10分頃の発車になった。
その前にこの2番のプラットホームに入ってくる予定の列車も遅れているようで、掲示板はずっとそちらの行き先を示していた。
なんか嫌な予感がしたが、しばらくするとブダペスト行きと掲示板の表示も変わり、程なくして列車が入線して来た。
国際列車にしては短いなぁと感じたが、2等のコンパートメントに納まった。
すると、大学生と思われる男女4人組の若者が部屋にドヤドヤと入ってきて、ぼくにこの列車はブダペスト行きか?と聞く。
どう見ても東洋人の旅人に行き先を聞くのも変だったが、
ぼくは「I hope so.」と答えた。
そこで、ドッと笑いが起きた。
我ながらウィットのある答えだった。
ところがこの冗談が冗談じゃなくなってしまう事態がおきたのだ。
・・・・・・
駅を出発して間もなく、車掌が切符の検査にやって来た。
我々のチケットをみて、怖い顔になった。
とくに、ぼくの方を見ながらクロアチア語でなにやら怒りを含んだ声で、
「ブス」と言いながら両手の拳骨を前に突き出して互いに上下させた。
あとで、学生たちにいったい何て言ったのだ?と聞くと、
彼らも分からんという。
彼らの言葉はどこか東欧の国なんだろうが、まるっきりクロアチア語と区別が付かない。
ぼくが「怒っていたみたいに見えたが」と聞くと、彼らもなんで怒っていたのかわからず、
ブスと言いながら車掌がやった動作を真似しながら大笑いした。
・・・・・・
1時間半ほど走った後、突如あの車掌がやって来てまた「ブス」と怒鳴った。
すると、学生たちが身支度をし始めたじゃないか?
ぼくは、このコンパートメントが予約済みで、別のコンパートメントに移動しなきゃならんと判断した。
「ブス」とは「Booth」のことだと、そのときは理解した。
ところが他のコンパートメントにいた客の殆ども、ワラワラと部屋から出てきた。
程なく列車は速度を落として、小さな駅に停車した。
皆外に降り始める。
同室だった学生4人も、Good-Byeといって降りてしまった。
電車の故障かな?
列車に乗っていた客の殆どが降りてしまったと思う。
こうなれば、ぼくも真似をして降りざるを得ない。
すると、駅の広場に4台のバスが待ち構えていた。
ここでようやく気が付いた。
「ブス」とは「バス(Bus)」のことであり、両腕を突き出して上下させたのは、ハンドルを回している意味だったのだ。
・・・・・・
バスの座席に着くと、オバサンが心配顔でぼくに向かって話しかけてきたが分かろうはずもない。
こういうことってあるのだろうか?
地元の人さえも、列車を間違って乗ってしまったのだ。
バスはぼくらを乗せて結構な距離を走った。
途中の駅でブダペスト行きに乗り換えるのか、このままブダペストにバスで向かうのか、判断が付かなくなってしまった。
結局、「KOPRIVNICA」という国境近くの駅で本来のブダペスト行きの列車に乗り換えることができた。
時刻表を後で調べると、30分遅れでその駅を出発したことになる。
・・・っということは、30分間列車はずっとその駅で間違って乗った乗客を待っていたことになる。
バスの手配など手際がよかったので、こういう事態は珍しくないのだなぁと感じた次第であった。
(^^♪