・・・・・・・っということで、昔は飼い犬といえば、雑種犬が主体だった。
だから、雑種犬を連れて散歩しても、ぜんぜん恥ずかしくはなかった。
ところが今はどうだろう。
やたら難しい名前の血統証付きの犬ばかりだ。
ぼくの住んでいる場所はお屋敷町と称されているらしいので、アフガン犬とか、ボルゾイ犬なんかがフツゥーに散歩していやがる。
こんなところで、雑種犬なんか恥ずかしくて飼えない。
昔の人は、ラッシーにあこがれていたから、コリー犬。
名犬リンチンチンにあこがれていたから、シェパード。
犬といえば、そのくらいしか知らなかった。
そんな昔でも、ある雑種でない犬に人気があった。
それは、スピッツ犬。
白くてフワフワした毛の小型犬である。
ぼくの小学校の友人の家でも、このスピッツを飼っていた。
当時では珍しく、室内で飼っていやがった。
こいつの特徴はキャンキャン吠えること。
チビのくせに、だれかれ見境なく吠えやがる。
だいたいスピッツというのはそういう特徴を持った犬らしい。
そいつの家に遊びに行くと、ヤツはぼくを特に目の敵にして吠え掛かっていた。
ぼくも、スピッツ犬なんてバカにしていた。
ある日、友人の見ていないときに、その犬を思いっきりぶん殴ってやった。
すると、ヤツはぼくの指にガブリと噛み付いたのだ。
友人には、何もしていないのに突然噛み付かれたと文句を言ってやった。
ぼくの右親指にはそのとき噛まれた傷跡が今も残っている。
