・・・・・・っということで、寒い。
冬だから寒いのはアタリマエだ。
ぼくらも寒いが、ホームレスにとっても寒い。
彼らにとって、冬はぼくら以上につらい季節だ。
特に夜はダンボールの小屋ではオチオチ眠ることさえ出来ない。
そこで、暖かくて快適で、いつまで寝ていられる理想の場所がある。
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昨日、山手線に乗った。
忘れもしない山手線内回りの8号車だ。
帰宅ラッシュちょと手前で、車両は混み始めていた。
ぼくが待つホームにスルスルと電車はやって来て、目の前に8号車が停止した。
なんとラッキーなことに、座席がたくさん空いている。
他の車両の席は殆ど埋まっているのに、この車両だけ席が空いている。
ドアーが開き、車内に一歩踏み込んだ途端、ツーンと刺激臭が。
誰か薬品でも持ち込んで、出て行ったばかりなのかな?
・・・と正直思った。
ガラガラの席に座って前の座席を見ると、ヨレヨレの服装をしたホームレス氏が、熟睡している。
アッ!臭いの元凶は貴奴だったのだ。
それにしても、強烈な臭いだ。
すぐ席を立って、車両の一番端っこの席に座りなおした。
だが、匂ってくる。
なんと表現してよいのだろう?
スエた臭い?
いや、そんな生易しい表現では表せない。
皮膚に浸透するような、
一度染み込んだら二度と臭いが洗い落とせない、
そんな酸性の刺激臭なのだ。
何週間、いや何ヶ月、いやいや何年風呂に入らなければこのような臭いになるのだろう?
一車両分を、一瞬にして充満させる力を持っている。
人間って、これほどまで臭くなれるのだろうか?
駅に着くたびに、ドアが開いたところで何の効果もない。
離れていても、確実に臭覚に滲入してくる。
目の前に居た小学生の女の子は、露骨に鼻をつまんでいた。
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観察していると、車両に入った途端、だれもが顔をしかめる。
悪臭の発生源が件のホームレス氏だと分かると、すぐに席を移動する。
だが、不思議なことに、平然と座り続ける人が何人か居るのである。
嗅覚が麻痺しているのだろうか?
それとも、座席に座ることができれば臭いなんか気にならなのだろうか?
流石にぼくも耐え切れなくなって、別の車両に避難した。
もうここまでは臭って来ないはずなのに、まだ臭うような気がする。
別の乗客もゾロゾロ移ってきて、口々に「ひどい臭いだったねぇ~」と未曾有の体験を語り合う。
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目的の駅で降り、去っていく8号車を見送ると、やはりその車両だけガラガラだった。