・・・・・・・っということで、失敗集。
飛行機のマニュアルの最後の部分に、【Safety Tips】というのが付いている。
要するにその機体で過去に起きた事故の事例集だ。
ぼくはこのTipsを読むのが好きだった。
気の毒にも、命を落とした失敗例も多数含まれている。
着陸時の車輪の出し忘れなんかは良く知られていると思われる。
冬季にフード付きパーカーを着て、フードを被ったままプロペラに近付き頭を割られたとか、
上司に呼ばれ、機体の下をくぐって近道したため、ジェットエンジンに吸い込まれたとか、
燃料の計算を間違え、ガス欠を起こしたとか、
笑うに笑えぬ失敗で命を落としている。
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航空機ばかりに限らず、小さな事故(incident)が積み重なって重大事故(accident)は起きるのだ。
だから、ちょっとした事故でもパイロットは必ず報告するよう義務付けられている。
しかも、報告したがために罰せられることはない。
もし罰してしまったら、誰も報告しなくなるからだ。
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人間は失敗して学ぶ生き物である。
失敗を恐れるなとよく言われるが、
せっかく失敗してくれた先輩たちの教訓を利用しない手はない。
特に、取り返しの付かない失敗をしないためにも、大いに学ぶべきだ。
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ところが、『人間関係の失敗』に関して、このSafty Tipsは存在しない。
人間はいつまで経っても同じ失敗を繰り返す。
今日あなたがやらかした失敗は、もう人類3千年の歴史において,
既に何度もイヤというほど繰り返された失敗なのだ。
もし、Safty Tipsが存在していたら、失敗しなかったかもしれない。
ぼくなんか失敗だらけなので、だれか出版してくれないかなぁと切に願う。
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だが、それは無理なのだ。
人間はあまりにもバラエティーに富んだ生き物なのだ。
飛行機とは違う。
同じことをしてもあるときは成功し、あるときは失敗してしまうのだ。
同じ人間でも同じじゃないのだ。
それぞれの人間に『取扱説明書』があれば便利なのだが、
それは無理なのだ。
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じゃあどうすれば失敗をしないで済むのか?
小説を読むのもいいが、実践的とは言いがたい。
それを学ぶには、いっぱい失敗するしかない。
そこから教訓を得るのだ。
失敗は避けられないが、減らすことはできる。
そう信じて。
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だけれども失敗する。
でも、失敗したのは、積極的に人間に係わろうとした結果であって、
そのこと自体は褒められていいだろう。
そう自分を納得させるしかない。