サリンジャー | so what(だから何なんだ)

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人生のバックパッカーのブログです。
暇はあるけど体力と金と気力がない。
そんなお年頃。
68カ国で止まったまま先に進みません。(;^_^A

・・・・・・・っということで、サリンジャーを読んだ。

【ライ麦畑でつかまえて】はあまりにも有名である。

サリンジャー
集英社
発売日:2007-06-28

小説はこう書くんだよという、アメリカでは小説家を目指すクラスのテキストに使われているんじゃないだろうか?

何気ない会話の積み重ね。切れのある人物描写と場面描写。
しかも、何気なさの裏にある心理状態を読者に類推させる。

上手い。

小説というスタイルでしか表現できない世界だ。

特にアメリカでは彼の文体に影響を受けた(受けている)小説家が沢山いると思う。

だが、テーマを具体的に表現しない分、不親切な書き方であるともいえる。

この辺のさじ加減が難しい。

あまり丁寧に書きすぎると読者をバカにしていると思われるし、

あまり不親切だと、読者はおちょくられていると感じるのである。

サリンジャーを読むということは、読者の知能指数が試されていると同義だ。

ぼくにはは、作者が高い位置から読者を試しているように感じる。

もっと砕けた言い方をすれば、「カッコつけるんじゃねーよ」といいたい。

でも悔しいことに、そこに魅力あるんですよねサリンジャー。

もう長いこと作品を発表していないらしい。最近のニュースでは、自分のためだけに小説を書いているという。

これほど、作者の死が望まれる作家はいないのじゃないだろうか?
(これは冗談です。)
なぜなら、早く彼の書き溜めた小説が読みたいじゃないですか。

今年、91歳だという。

この本の最後の物語に、彼が東洋哲学に傾倒していることが分かる。
最近ぼくがブログで連続して書いた「自分とは」というテーマとまったく重なっているので、この偶然に驚いた次第です。


〈追記〉
ゴメンなさいサリンジャー氏は去年2010年1月27日に永眠されています。(享年91歳)
ご冥福を祈ります。