・・・・・・・っということで、甘酸っぱい想い出。
小学校も卒業という時期になると、もうその子のことばかり考えていた。
ぼくは市立の中学校へ、その子は私立の中学校へ行くことになっていた。
今どきの小学生は「コクる」なんて
ヘェ~チャラだろうが、ぼくの時代はそんなことさえも頭に浮かばなかった。
教室の後ろから、その子の後姿をず~っと見続けていた気がする。
休み時間でさえ、目の片隅にはその子の姿を追い求めていた。
朝、登校するときも、その子の家を遠くから眺めてため息をついた。
そんな具合に、頭の中がその子だけで一杯だった。
せめて、彼女の写真が欲しい。
そんな中、卒業アルバムが出来上がってきた。
もちろん、クラス全員の集合写真から、彼女を真っ先に探した。
前から3列目の右端だった。
そして、遠足や、普段のスナップの中にに彼女の姿を追い求めた。
一枚だけ、非常階段の中ほどで笑っている彼女の写真があった。
今でも思い出せるが、顔がまん丸でチョッと太めな子だった。
写真の上から何回も撫でたので、彼女のところだけ、少し剥げてきた。
そんなことを親から不審に思われたらマズイと思い、
隣の女の子の写真も指でゴシゴシやって、同じような剥げ加減に細工した。
実家のどこかにその卒業アルバムがあると思うが、
右端の二人の女の子の顔が少し剥げ欠けているのは、そういう理由からである。