冬の旅 | so what(だから何なんだ)

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人生のバックパッカーのブログです。
暇はあるけど体力と金と気力がない。
そんなお年頃。
68カ国で止まったまま先に進みません。(;^_^A

・・・・・っということで、酒にまつわる失態を数え上げたらきりがない。


オイコラッ!!もう歳なんだから、いい加減にしろよッ!!
・・・・・っと、自分にあきれ果てています。


・・・・・っで、ベートーヴェンが出てきたところで、フィットネスとは関係ない話題。


新年になって、新宿のとあるショーパブで飲みました。
明らかに女性だと思っていたダンサーが、男性だったというのには、もう驚かない。

ここから書くハーフのことは、その業界では知られた人だろうが、まあいいか。


いま、ハーフと書いたが、「元男性だった女性」といったほうが適切であろう。
完全に女性なのである。

いや、完全にという意味は、物理的にという意味でもある。
(なぜなら、女性風呂に堂々と入れるということ。)


どうやって工作するのか分からないが、手術で完全に女性に出来るのだそうだ。

まあ、いろいろ聞いたのだが、この場には相応しくないので、割愛。


・・・・・っで、感心したことは、女性になるための努力である。

稼いだ金は、全部それにつぎ込んでいると思われる、その情念だ。

女性の立場からすれば、「メンドクセーな」っと思うことが、彼(彼女?)の憧れなのである。
化粧にまつわる手間などはメンドクセーだろう。
髪型だって、メンドクセー。
脱毛もメンドクセー。
洋服のコーディネートを考えるのもメンドクセー。
胸を締め付けるブラジャーもメンドクセー。
ついでに、イザとなれば立ちションベン出来ネーのもメンドクセー。

男性に比べて、女性は面倒くさい手続きの塊である。


だが、そのメンドクセーのすべてが、彼らの憧れなのである。

私は面倒クサイのは、大嫌いだから、その気持ちが分からないが。


・・・・・っで、前置きが長くなったが、そのとき知り合った「彼女」には驚かされた。


何で驚いたかというと、女性になる前は学校の教師だったことである。
男女共学の普通高校の教師をしていたそうだ。
そのうえ、体育系クラブの顧問もしていたそうだ。

ここまでは、ウ~ンありえるかな?
・・・・っであろう。


だが、話題が進むにつれ、彼女が本格的な声楽歌手だったことである。
それも、音大を出てプロを目指していたとのこと。
留学経験もあるそうだ。

わたしも、クラシック音楽についてはまあウルサイ。
どの程度のレベルかは、多少分かる。


どういう話の繋がりか分からないが、モーツアルトのレクイエムの話題になった。

突然、Lacrimosaのフレーズを歌いだしたのだ。
じゃあKyrieはどう?
Dies iraeだってOK。
もちろんドイツ語で、完璧な音程で。


じゃあ、季節柄シューベルトの「冬の旅」はどう?
わたしが、有名なDer Lindenbaumのフレーズを口ずさむと、
名曲集の中で覚えたの?との質問。
とんでもない、ハンス・ホッターのモノラルレコードを擦り切れるほど聴いたと答える。
すかさず、バスバリトンだよねという。

Frühlingstraumのさわりを歌ってくれた。

ピアノ伴奏のジェラルド・ムーアがいいんだよねと言うと、そうそうと意気投合。


ヘルマン・プライの話題になり、水車小屋を歌ってくれたが、私は得意ではない。

などなど、・・・・・・・・・・。


いくつかのコンクールでも優勝経験があるという。

まさか、目の前で本格的なバリトンを聴けるとは思わなかった。
正直言って、これほど近くで本物の芸術に触れたのは、感動的ですらあった。

目の前のか弱そうな美女が、本格的な歌唱力でバリトンの発声をするんでっせ。


・・・・・・・・・・・・・


・・・・・っで何を言いたいのか。


人がうらやむほどの才能がありながら、それを捨てて自分の好きな道をまっしぐらに進む。
自分の本心に嘘をつかない、その生き方。

この歳になって、そんな彼女の生き方にハッとさせられた。
彼女のとった人生選択に心からエールを送りたいと、正直思ったのである。


またまたカンケーネー話題でスミマセンでした。