第27話『痕跡』
シャルロット「こんな所に2人が居るってほんとかしら?」2人はダーネヴィールの案内で、とある廃墟に潜り込んでいた。正真正銘、ドワーフの見捨てられた廃墟だ。ドワーフ一族が世界から姿を消した後も、そのテクノロジーは未だ稼動し続けている。メアリー「あのドラゴンの爺さんが言ってんだから間違いないと思うぜ。多分、嘘は言ってねえよ。」メアリーはどこと無く確信を得た様子で答える。こう言った時の彼女の直感は妙に当たる事を、シャルロットは熟知していた。シャルロット「なら居るわね・・・きっと。」しばらく無言で歩いていると、2人の足元にドワーフスパイダーが転がっているのが目に入った。かつてドワーフが作成した、蜘蛛のような形をした多目的オートマトンの一つだ。彼らは主無き廃墟を今も徘徊し、侵入者を見つけ次第排除しているのである。シャルロット「見てメアリー。まだ少しオイルが漏れ出してるわ。」メアリー「ホントだな!・・・で、えーと・・・なに??」シャルロット「もう、おばかさん。オイルを血に置き換えて考えてみなさいよ」メアリー「あ、なるほど!つまり、死んだのはつい最近ってことか!」シャルロット「そういう事。誰かが最近ここを通ったのは間違いないわ。」メアリー「椿たちって事だな!」シャル「確信は無いわ。もしかしたら他の人間って事もあり得る話だし。」メアリー「山賊とか・・・??」シャル「ええ・・・考えたくないけどね。」シャル「でも・・・すごいわね、ドワーフの技術は。」メアリー「何が何なのかさっぱりだけどよ!こうやって何千年経った今でも動いてるって感動だよな!」シャル「そのおかげで罠には注意が必要だけど・・・」シャル「しかし暑いわね・・・。」メアリー「ほんとによぉ・・・この蒸気みたいなの、暖房なのかね??」2人が感じた暑さは、この遺跡全体に無数に配置されているパイプからの温度だった。ドワーフテクノロジーを支えるこのパイプは、彼らの暖房代わりも役を担っていたのだろう。極寒の屋外とは打って変わって、厚着をしたノルドとハイエルフには耐え難い気温だった。メアリー「椿には最高の環境だなww」シャル「ほんとねwwこれでも寒いって言うかもよ?w」メアリー「・・・早く会いてえな・・・。」シャル「・・・きっともうすぐ会えるわ。」2人はここに来て、自分達が椿にどれだけ会いたいのかを実感する。何年も何年もそばに居た姉妹のような存在。彼女達は後一歩のところまで迫っているのだ。シャル(椿・・・無事で居てね・・・。)シャルはメアリーに不安を悟られないように心の中でそうつぶやいた。メアリー「か・・・かてえよ・・・手がジンジンするう・・・・」一匹のオートマトンを倒し終えたメアリーがそう嘆く。彼女は力任せに思いっきりドワーフスパイダーを叩いていた。シャル「こう言うのは間接の部分を狙えば良いのよ、メアリー?」シャルが呆れたような口調でメアリーに語りかけた。オートマトンと戦うのはこれが初めてだが、原理としては重装鎧を着た兵士と同じである。メアリー「ん~にゃ、あたしに斬れない物は無い!!」シャル「既にその記録がストップしちゃってるんだけど?」メアリー「今のもバラしたからセーフ!」シャル「あ、そう・・・。」シャル「ちょっと待って・・・何かしらこの匂い・・・。」メアリー「くせえよな・・・なんか、獣みたいな匂い・・・」オエッ奥に進むにつれ辺りに充満していく匂いに、2人は顔をしかめた。それは何やら家畜の小屋のような、しばらく風呂に入れてもらっていない犬のような匂いである。シャル「この奥からだわ・・・。」メアリー「うわ!くせえくせえ!!」シャル「ちょっと静かにして?」メアリー「ご、ごめん・・・」シャル「こいつらだわ・・・」メアリー「な・・・なんだよぉこれ!!ガリガリのトロール!?」フガフガシャル「これがファルメルよ。スノーエルフとも言うけど、それは昔の話ね。」メアリー「し・・・死んでんのかな??」シャル「片方は喉元から頭蓋にかけて貫かれた痕があるわ・・・もう片方は強力な魔法で内側から凍らされてるわね。」メアリー「おいおい、それって絶対あの2人じゃんかよ!!」シャル「ええ、これで確信が持てたわ。急ぐわよ!」メアリー「アイ・サー!!」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・シャル「みて、こっちにも・・・」メアリー「この氷の魔法・・・セラーナが使ってたのと同じやつだな」シャル「しかも溶けてないわ。たいまつも点いてる。」メアリー「急ごうぜ!」メアリー「おお!?なんだよあのでっかいのは!!」シャル「わからないけど・・・ドワーフ製の何かね・・・」シャル「あの2人がやったのかしら・・・まだ少し温かいわね・・・。」メアリー「こ、こんなの剣が通る自信ねえな・・・」メアリー「わーお!!すげえ~!!」シャル「すごいわねえ・・・スカイリムの地下にこんな場所があるなんて!!」シャル「夜空みたい・・・ドゥーマーはここで、何を考えていたのかしらね」メアリー「地上にいるみたいな感覚になってきちゃったよ・・・」シャル「そうね・・・ほんとに綺麗・・・」2人は少しの間この風景を堪能していたが、気を引き締めてさらに歩みを進める。道端には転々と死体が転がっており、椿達への道しるべとなっていた。メアリー「あの2人相当暴れたみたいだなw」シャル「そうね。でも襲い掛かってくるなら仕方ないわ。」「アハハ!」「・・・すわよね!」メアリー「ん・・・?シャル、今・・・」シャル「ええ、今もはっきり聞こえてるわ。」メアリー「あの2人か!?」シャル「間違いないわ・・・走るわよ!!」メアリー「どっちだ!?くそっあたしもエルフ耳がほしい!!」シャル「こっちで間違いないわ!ほら急いで!」シャル「いたわ!!」2人「椿!!」椿「え・・・・!?」椿「シャル・・・メアリー・・・!?」メアリー「やったぜ!!会いたかったぞ~このやろ~!!!」メアリーはそういうなり椿を思いっきり抱きしめた。当の椿はと言うと、ポカンとしたような顔でメアリーをさすっている。その顔には一切の罪悪感など見て取れず、むしろなんて大げさなのか、と言った表情だった。椿「もう、メアリーったら大げさなんだから・・・」メアリー「大げさもクソもあるか!!心配かけさせやがって!!」椿「??心配と言えば、シャル!無理させたらダメじゃない!傷はどんな感じなの?」シャル「もうすっかり良くなってるわ。あれからかなりの時間が経ったしね」椿「またそんな事言って!一週間やそこらで治るわけないじゃない!」メアリー「・・・ちょっと待った、一週間・・・??」椿「え??」シャル「椿、今の本気で言ってるの?」椿「なに??どうしたの2人とも・・・」シャル「あなたとセラーナが旅立ってからもう一ヶ月以上が経過してるわ。」椿「へ??うそでしょ??」メアリー「本当だよ、スカイリムでは椿が死んだって噂になってるんだぞ・・・」椿「セラーナ??」セラーナ「おかしいですわね・・・そんなハズは・・・」椿「私達がドーンガードから出発してセラーナの家までだいたい一日・・・滞在したのもせいぜい1~2時間・・・その足でウィンターホールドへ向かったから・・・」セラーナ「デキソンを探しに行った期間を含めても、やっぱり一週間ほどですわよ」シャル「この空白の一ヶ月・・・気味が悪いわね・・・。」椿「うん・・・自覚がない・・・」シャル「セラーナの家が怪しいわね」椿「ソウル・ケルンに居た事と関係があると思う??」セラーナ「恐らくは・・・ですが、時の流れが歪んでるなんて聞いておりませんわよ?」メアリー「どっちにしろ、あたしは2人が無事でよかったぜ!!」シャル「・・・ところで、その服と、大切な刀はどうしたの?」椿「服は汚れたからソリチュードで買ったの。刀は・・・ああ~・・・折られちゃった・・・」メアリー「折られた!?」椿「そう・・ダーネヴィールって言うドラゴンにね・・」シャル「地上で会ったわ。私達をここに連れてきてくれたのも彼よ。」椿「まだ居てくれたの!?好きなところに行っていいよって言っといたのに・・・」メアリー「古強者って感じだったな!椿のことをかなり気に入ってたみたいだぜ!」セラーナ「ふふふw完全に懐かれてしまいましたわね、椿。」椿「ふう・・・でも、こんなところで2人に会えてとっても嬉しいな」セラーナ「ですわね!自警団復活・・・!ってところかしら?」メアリー「そうだな!もちろんセラーナも新団員だぞ~!」シャル「あら、とっくに加入してるつもりだったわ」椿「さて、積もる話は後!さっさと星霜の書を手に入れて帰ろう!!」シャル「賛成、ここの匂いはどうしても無理だわ・・・」メアリー「うっし、あたしらが揃えばちょちょいのちょいだ!」セラーナ「さあ、行きましょう!」つづく