おばあちゃんお茶のあと、ゼイナブとおばあちゃんは庭に出ました。
おばあちゃんはボールを持って、ゼイナブはグラブを2つ持って。
まず、おばあちゃんがボールを投げます。
キャッチしようとして、ゼイナブはボールを地面に落としてしまいました。
すぐに拾い上げて、投げ返します。
だんだん2人の息が合ってきて、ボールのやりとりにリズムが出てきました。
ゼイナブはこんなふうにキャッチボールをしたことはありませんでした。
いいえ。今、思い出しました。
もっともっと小さなころ、おばあちゃんが何度か、キャッチボールしようと、誘ってくれたことがあったっけ。
でも、「ボールを投げるのは男の子の遊び」と思い込んで、しようとしなかったのでした。
ああ、今こうやっておばあちゃんとボールを投げ合うのが、こんなに楽しいと、ゼイナブは初めて気づきました。
イブラヒム、幼馴染で仲良しの男の子、は、よくほかの男の子とキャッチボールをしています。
それをゼイナブは、少し離れたところから、「いいなあ」という目で、眺めていました。
公園のフェンスによりかかって、空を流れる雲を見ながら、イブラヒムたちの遊ぶ様子を見ていただけだったのです。
自分から参加しようとすれば、イブラヒムは「よし、やろうやろう!」と、仲間に入れてくれたかもしれなかったのに……。
そうだ!
ゼイナブは、突然魔女のことを思い出しました。
魔法にあこがれて、魔女になりたくて、おばあちゃんのところに、遊びにきたのでした。
魔女になりたいなら、憧れているだけではなくて、自分からその世界に飛び込めばいいんですね!それはゼイナブの長所、よいところの1つだと、自分でもわかっていました。
そうです。
キャッチボールが終わったら、おばあちゃんに、お金持ちになるための秘訣、どうしたらそうなれるかを、もっときいてみることにしよう。
そう決めました。
あ!
おばあちゃん、気合が入って、ものすごい剛速球を投げてきました。
ゼイナブはなぜか、その球をよけずに、しっかり見つめていました。
そして、両手で包み込むようにして、いつの間にか、しっかりとボールをキャッチしていました。
心臓がドキドキしています。
自分でもなにをしたのかわからないうちに、両手でボールをしっかり受け止めていました。
次回は、おばあちゃんの「枠をはずした話」が聞けそうです。
お楽しみに!