タイミングを逃していました。
私たち夫婦はなかなか子供ができませんでした。
病院に二人で行って検査するも、決定的な原因はなし。
私の子宮筋腫のことと、もしかすると毎月順調に排卵していないのかもしれないとは言われましたが…
"それらが不妊の決定的な理由とは言えない"と言われてました。
治療もしていたのですが、成果はなく…
"一度、子宮内視鏡検査をしたほうがいいかもね"ということで、検査の予約に行ったら…
一番早くて半年後の予約。
え?!検査待ちで半年も棒に振るの?!
そう思うと、プツンと私の中で何かの糸が切れました。
とりあえず、その半年後の検査は予約を入れました。
プライベートのクリニックで全額負担ですぐに検査を受けることも可能でしたが
もういいや。
そう思う自分がいました。
ダンナとももう一度話し合い、夫婦二人で自由にのんびり生きていくのも悪くないという結論に至りました。
それでもすぐにキッパリ諦める勇気はなかったので、半年後のその検査の日が来るまで待って、やっぱり諦めるのならキャンセル、やっぱり諦められないのなら検査を受けることにしました。
それから、少し気持ちが軽くなったのは確かです。
妊娠のための体づくりではなく、自分のための体づくりにジムに通い始めて、前からしてみたかったヨガも始めました。
なーんにも気にせず毎日働いて、休日はダンナと出かけたり美味しいものを食べに行ったり…。
その年の夏は日本へ里帰りもしました。
よく、他の方のブログなんかでも"治療を休んでたら自然妊娠した"とありましたが、
自分にはそれはない
でも、それでいい。
そう思っていました。
が。
9月末。
来るべきはずのものがなかなか来ません。
でも、もともと不順だったので、「ま、そのうち来るか」という感じでした。
が、まだ来ません。
基礎体温をはかったら、どうも高いまんま。
それは初めてのことでした。
もしや?と思い、妊娠検査薬を試すことに。
これまで100%陰性だった私の妊娠検査薬結果。
遅れてるからと思って試してみたら、その白さに毎回ビックリ&落胆させられたものです。
今回もその可能性大と自分に言い聞かせ、試して見ると…
初めてのうっすら陽性ライン!
自分でも信じられず、ダンナも信じられずそれから数日間連続で妊娠検査薬を試しました。
(今思えば、早く病院に連絡しろという感じですが…。)
検査薬のラインは日に日に濃くなりました。
そこで、ようやく治療に行っていた病院に電話。
hcgの値をはかる血液検査をするように言われ、早速して検査結果を電話。
「おめでとう!よかったわねー。かかりつけの産婦人科へ行きなさい。」と言われました。
(その病院は不妊治療専門)
予約した子宮内視鏡検査の1週間ほど前のことでした。
もちろんその後検査はキャンセルしました。
そして、知り合いの産婦人科へ。
すごく喜んでくれて、胎嚢確認、心拍確認と順調にいったのでした。
というわけで…
あれだけ欲しくても、欲しくても、できなかった赤ちゃん。
もう科学の力に頼るしかない。
いや、それでも無理だ。
と思っていたら、自然にやってきてくれました。
自分には絶対ないと思っていた自然妊娠。
結婚してから10年のことでした。
その後、皆さんもご存知の通り、ピピウは3ヶ月も早く生まれ、腸閉塞で小腸のほとんどを失い、生死の境を彷徨い、普通の生活ができるかどうかも分からず、本当にこの子を妊娠してよかったのだろうかと思ってしまったこともありました。
やっとできた赤ちゃんなのに、どうして…と何度涙したか分かりません。
1回目の腸の手術の後、執刀医の外科医局長が「もし、5年前だったなら、今回のようなパターンでは確実に救えなかった。」と言いました。
あまりスピリチュアルなことは信じないタイプですが…
そうなることがわかってて、
何か理由があって、
ピピウはこのタイミングで私たちのところへやってきたのかな…
と思うことが時々あります。
赤ちゃんが欲しかった時、妊娠できなかった時、捻くれたこともあったし、辛い思いをしたこともありました。
私は自分の子供は抱けない。
ダンナにも抱かせてやれない。
そう思っていました。
でも、ピピウは生まれてきてくれて、生きてくれました。
子供は本当に授かるものなんだなと思いました。
それが自然妊娠でも、不妊治療の結果の妊娠でも。
イタリア人特有なのか分かりませんが、
「子供のいない人生なんて、完全では無い。」
という人が時々います。
妊娠できない時にそれを言われた日には
「しばいたろか?」
と心底思いました。殺意を覚えたよ。
今でもピピウを見た人で、そう言う人が時々いて、相変わらずの愛想笑いでスルーしますが、未だにそれには賛成できません。
子供が欲しくてもできなくて、でも親になったらきっといい親になれる人達はたくさんいるでしょうし、
いろんな理由から子供はつくらないと決めている人達もいるでしょう。
だからといって、それが不完全な人生とは1mmも思わないし、
逆に言えば、子供ができた今、完全な人生(何をもってそういうのか謎だけど)なんて私にはほど遠いです。
もし、このブログを読んでくださっている方で、子供を望まれている方がいらっしゃるとしたら、かわいい赤ちゃんが早くお腹にやってくることをイタリアより祈っています。
必ずしも誰もが妊娠できるとは医者でもいえません。誰にもわかりません。
逆もそうで、絶対妊娠しないとも分かりません。
でも、原因不明の不妊で、結婚10年目、諦めた頃に自然妊娠した人もいるのだと知っていただき、誰かの小さな小さな希望になれるとしたら幸いです。
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