生まれ変わる古い着物 | 憧れの(?)Italia Firenze生活

憧れの(?)Italia Firenze生活

イタリアはフィレンツェに住みつき早十数年。
日本語を教えながら、イタリア人の夫と息子と暮らしています。
私の平凡なイタリア生活の実態を御紹介♪

私のふるさとは京都府丹後


丹後ちりめんの有名な小さな町です。




小さいころから機の音を聞きながら育ちました。



昔は機屋さんも景気がよくて、ちりめんで栄えた町だったそうです。



でも、この不景気…。




私が成長するとともに、機の音もあまり聞こえなくなってきたのを覚えています。






小学校のころはちりめんが作られる過程を知るために工場見学に行ったり、

丹後ちりめんの歴史の勉強なんかもしましたよ。




私が成人式と、大学の卒業式で着た、両親が買ってくれた振袖は、

丹後ちりめんの振袖でした。


日本での自分の披露宴でも着たとってもお気に入りの振袖です。




そんなちりめんの里に生まれながら…


しかも、私のオバは着付けの先生だというのに…



着物のことなんか全然知らない私。




ま、それでも今まで特に困ったことなかったんですけど。









ダンナの友達の彼女はフリーランスのデザイナーです。



彼女が、今回、日本の着物で…というか、着物の生地を使って洋服やドレスを作るんですって。


そのために、ビンテージの着物や羽織をネットで探して購入しているんですよ。



だからね…彼女に会うと必然的に着物の話になるわけ。




でも、やっぱり彼女はプロだから、その素材を使うと決めるとかなり勉強するらしく、

私なんかよりずっと着物の生地について詳しいウキャー!



どれだけ日本独特の技術がすばらしいか、

どれだけ日本のシルクの質がいいか、

どれだけ日本独特の幾何模様やしぼりが美しいかなどなど、

彼女はものすごく情熱的に私に説明してくれるのです。



彼女から学びましたよ。


着物の生地の美しさを日本キラキラ




で、彼女が注文していた着物と羽織がほとんど届き、

彼女たちもバカンスから戻ってきたので、

「シェコ、着物と羽織を見に来て!」とお誘いいただいて、

昨日の晩、夕飯もご馳走してもらいに行ってきました♪




彼女の家には着物3枚、羽織4枚がありました。



どれも70~80年代のビンテージの物で、中古、もしくは新品でも古い物でした。

ネット上では「わけあり」ということで破格の値段だったそうです。


でも、彼女曰く、実物が届いてびっくりしたと…。


「わけあり」ということだけど、本当にちょっとしたほつれや、小さな小さなシミ。

実際、私の目ではどこに欠陥があるのか分かりませんでした。

彼女も、確かにこれは完璧ではないけど、他の国で「欠陥品」って言ったら、手がつけられない状態の物が多いと。

それに彼女の場合はそれらを着物や羽織として使うのではなく、切って洋服にするのだから、全く問題はないそう。


商品には大満足の様子でしたキラキラ



また、縫い目を見て、

「ほら、これ全部手縫いよ。」

「見て、これどうやって縫ってあるのかしら???解いてみて、どうやって縫ったのか分かるのが楽しみ!」とか、やっぱり目の付け所がド素人の私とは違うわけです。



でも、確かに、日本人の私が見ても、

古臭いわけではなく、時間がたってビンテージと呼べるような、

どれもきれいで、すてきな着物と羽織でした。



で、その着物を見てて思ったんですけど。

やっぱり、どれも短い。


163センチの私が羽織って、裾が床に着くか着かないか。


それって短いですよね???


帯のところで折り返すこと考えたら、くるぶし見えちゃうんじゃないかな?




でも、よく考えたら、私の祖母だって小さかったですよ。

150センチあったのかな???


やっぱり、昔の人は小さかったのか。



そう考えると、これらの着物って、日本で日本人が着物として着るには、今はもう難しいってことですよね?



きっと、日本の、特に田舎のお家では、そういった着物がいっぱいタンスの肥やしになってるのでは?


もしくは捨てられたりしてるのかな?





そんな着物や羽織が、はるばる海を越えて、イタリア・フィレンツェにやってきて、

洋服やドレスに生まれ変わろうとしています。


なんだか不思議な感覚


そう彼女に言うと、彼女は笑っていました。




彼女曰く…


「同じシルクの生地でも、ヨーロッパと日本とでは全く違う。

ヨーロッパにも高品質のシルクはたくさんあるのよ。

でも品質だけの問題じゃなくて、

日本のシルクには日本の文化と哲学が現れてる。

だからヨーロッパにはないのよ。

私はあなたの国の文化に、哲学に、とっても興味があるわ。」


と。




…私は彼女の言わんとすることが…


分かったような、分からないような…。




でも、これだけ私の国の伝統的な物を評価してもらえると、とってもうれしくなりますねキラキラ





彼女も言っていましたが、

「この着物と羽織を着るのがもったいない…」と。

確かにもったいない気はするけれど、このままでは絶対にまたタンスの肥やし。

それよりも、ステキな洋服やドレスの一部となって生まれ変わるほうが、着物や羽織にとっても本望じゃないかな???






まだ他にも50年代の着物が数着届く予定らしいです。

また、それを見せてもらうのも楽しみ♪


そして、それらの着物や羽織から作られる洋服やドレスを見せてもらうのはもっと楽しみ!







ちなみに、彼女が仕入れていたのは新潟の会社でからした。


仕事も的確で速く、親切、商品も良い。「信頼できる会社だ。」と彼女は言っていました。





何がどこでビジネスになるか分かりませんね。







着物を着る日本人は減ってきているけれど、

確かにその技術、品質は世界に誇れるものではないでしょうか?


着物=日本人


とう固定概念を捨てて、着物業界も日本の外に目を向けてみるのもいいかもしれませんね。





最後に…



がんばれ!私の地元!!!!!


がんばれ!丹後ちりめん!!!!


いつか世界の丹後ちりめんに!