ブッフビンダー(ピアノ)
ベートーヴェンの変奏曲を代表する超大作と偽作という落差の激しいカップリング。
ディアベリ変奏曲は久々に楽譜を見ながら聴いた。ブッフビンダーの演奏は早めで歯切れ良い。
ディアベリは色んな人に変奏曲の作曲依頼をして、それを集めて一つの変奏曲にする構想だったらしい。シューベルトや当時まだ子供のリストにも依頼があったらしく、作品も残っているみたい。で、ベートーヴェンの場合ははじめ主題を見たときに「なんじゃこれ、おもんな」と思ったらしく全くやる気が起こらず放置。でもしばらくしてこのテーマの掴み所のなさ(リズムは特徴あるがメロディーの掴み所がわかりにくい。)に目をつけたのか、どんどん好き勝手やってやろうと思ったんだと思う。結果、33のてんこ盛りの一時間近くかかる大変奏曲が出来上がり。演奏も困難極まる。後期らしく対位法的書法が至る所にでてくる。リズム変奏も盛りだくさん。和声も多彩。ベートーヴェン先輩遊びすぎ。ディアベリはこれを見たときにどんな反応したのだろうか…
ベートーヴェン本人は「貴様のくそつまらん出来損ないテーマから大変奏曲を書いてやったのだ。感謝するがいい!」ぐらいに思っていたんだろうなあ…