ここがヘンだよ、日本の中小企業 | アツキココロ

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広島県在住の経営コンサルタント・児玉学の熱血ブログ。

10回「仲間づくり」




 「つながっていれば、出来ないことはほとんどない。ばらばらなら、できることはほとんどない。」第35代アメリカ大統領・ジョン・F・ケネディの言葉です。企業経営上、社外ネットワークの重要性は言うまでもありません。特に、経営資源に乏しい中小企業にとっては「仲間づくり」の巧拙がその企業の存続すら左右する、と言っても過言ではありません。



 H市の繁華街にある地下街「S」は、開業以来ずっと低迷が続いています。低迷の理由は色々ありますが、私はこの地下街最大の欠点を「周囲のビルの地階とつながっていないこと」だと判断しています。Sの工事が進捗していた当時、私はその近隣で再開発計画に携わっておりました。再開発ビルを活性化させるため地階でS地下街との連結を計画しましたが、Sは「うちと地下でつなぎたいならカネを出せ」と言ってきました。単なる工事費ではありません。連結負担金、という名目の上納金です。確かに壁で済むところを出入り自由な空間にするには、多少はおカネがかかるでしょう。でも、連結はそれ以上の効果をもたらします。周囲のビルの地階と結ぶことで、利便性が高まり空間的な広がりも生まれるため、双方にメリットが生じるのです。それを、何を勘違いしたか「相手方に一方的に負担を強いる」とは・・・。全く逆の発想です。自社が儲けたければ、まず周囲にも「儲けていただく」姿勢が必要。この例では、極論すれば「Sの方がおカネを出してでもつないでいただく」。百歩譲っても、「お互いに負担をシェアしながら目的を達する」という気持ちが大事です。私たちはSと粘り強く交渉しましたが、3セクでガチガチのSは聞く耳持たず。結果的に完成したS地下街は、今でも他の周囲のビルとほとんどつながっていません。独自の出入口(しかもエスカレーター無しで階段だけの箇所も多い)が地上の歩道上にポツンポツンとあるだけの、妙に拡がりの無い「地下通路」と化しています。自社の目先の利益ばかり考えて「周囲とのつながりの大切さ」を無視する企業は、大きな利益を生み出すチャンスを失いやがて衰退していくのです・・・。



 えっ?仲間はたくさんいるはずなのに、うちの会社は儲からない?そりゃ、「仲間」の意味が違うのだと思います。ここで言う「つながりを持つ仲間」とは、「仲の良い友達」じゃないんです。どちらかと言うと、一見利害関係が反するような、一種の「ライバル」的存在です。これを、どう仲間に引き寄せ一緒に高め合う体制を構築するか?私の親しいある経営者は、今全国にどんどん「高め合う仲間」を増やしています。あるとき、同業のライバルたるお仲間に聞きました。「なぜ彼と、つながりを持つことになったのか?」お仲間の答えは単純明快でした。「こんな時代に、彼は何も隠さず裸で飛び込んでくるから」。先に与える。先にどんどん情報を出す。情報を丸裸で出されたら、返さない訳にはいかない。どうも、ここらあたりにヒントが隠れているようです。「情報セキュリティ」も大事なんですが、隠すばかりが能じゃない。隠すのが普通の時代に、「隠さない」ことも実はすごく大切なことなのですね。