第1回「社長とクルマと業績の妙な相関関係」
会社の業績と、その会社の社長が乗るクルマに相関関係はありません。でも、コンサルタントとして中小企業の現場を数多く見てきた経験に照らし合わせますと、私にはある種の相関関係があるような気がしてなりません。
だめな社長ほど、派手なクルマに乗りたがる。いわゆる「高いクルマ」「良いクルマ」に乗っていても好業績の会社は多いんです。でも、そこに「派手な」という形容詞がくると、その企業は要注意です。
A社の社長は言いました。「いや~業績がなかなか伸びないし、家庭もいろいろトラブルが多いから気分的に滅入っちゃってね~。私の唯一の趣味がクルマなもんで、ちょっと気分を盛り上げるために買い替えたんだよ。」かなり派手目なBM。その数ヶ月後。今度は派手なベンツで登場。「これは女房の。」・・・あの~。おたくの会社、立派な債務超過なんですけど。それもちょっとやそっとで返せる額じゃない。「見栄も大事なんだよな~。あんまりチンケな車に乗ってると『ああ、あそこ景気悪いんじゃない』って思われちゃうし。」・・・って、本当に景気悪いんだよ。カッコつけてる場合か?少しでも借金減らそうよ。「車ケチったくらいじゃ、大した金にならないし、ね。」・・・。そう、ウン百万が大した金じゃなくなってる。でもそんな比率にしてしまったのは何を隠そう、社長あなたです。・・・この会社、2年後にあえなく倒産しました。
B社の社長は、ある仕事の商談に派手なベンツで乗り付けました。「今の女房に買ってもらった」とか。うん、夫婦仲が良いのは幸せなことです。以前の奥さんと死別後、男手ひとつで子供を育て上げ、ようやくつかんだ新たな出会い。でも、ずっと地味なクルマに乗っていた社長が急変。その派手さが気になりました。案の定、そのあたりから妙な噂を聞くことが増え、ほどなく倒産。その会社事務所がヤ○ザの事務所になっていたのを見た時は、さすがの私も背筋に冷たいものが走りました・・・。
C社の社長。いつもは会社の地味な制服を着て業務用の軽トラックを転がす社長。いい感じ。腰も低いし。でも、そんなある日。新事業進出のために、私の知り合いにお願いして実現した工場視察。さっそうと現れた社長にびっくり。シルバーのベンツ・カブリオレ。服装は数年前のやくざ映画の主役みたい。そう言えばこの社長、頭はパンチパーマぽかったっけ。普段は制服だし、腰低いし、軽トラックだし、あまり目立たなかったけど。「何でそんな車でそんな格好なんです?」私が尋ねました。「いや~なめられちゃいかんと思いまして。親に買ってもらったベンツ引っぱり出しました。」・・・って、どういう神経してるんだ?これは出入りか?工場見学だって言ってるじゃない。それも、普通なら見せてくれないような同業に、わざわざ時間とって見せてくれる、っていうのに。いつもの腰低い姿勢で行こうよ。何で、ベンツなの?・・・結局この会社、新規事業がうまく立ち上がらなかったことは言うまでもありませんが、現在主要取引先にばっさばっさ切られ、大変なことになっているそうです。
一方、伸び盛りの企業。某支援機関の基調講演にゲストで社長が登壇。話も非常に面白い。別のある企業経営者に是非引き合わせたくって、アポをとりました。社長、快諾。同行しました。忙しいのに、あれやこれや全部社長自らが案内してくれる。アドバイスもばっちり。最後に「お店も見てください」と車で連れ出してくれることに。社長自らハンドルを握ります。少し大きいけれど、立派な10年モノ。でも、なぜかその社長の人格そのものの良い雰囲気を醸し出してる。「車に金かけたって、一銭も稼いでくれませんから。私はそういうものに金かけるくらいなら、工場の部品一つを新品にします。」
この会社、不景気の今も着実に伸び続けています。