間違いだらけの中小企業経営(10) | アツキココロ

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広島県在住の経営コンサルタント・児玉学の熱血ブログ。

前半3日間頑張った夫人率いる先発隊に代わり、物産展4日目からは社長率いる後半部隊の登場です。


2日目の夕方盛り上がる現場を後に広島に戻った私に、夫人から電話が入りました。「3日目も目標売上大幅オーバーでした。」すごい、すごい。一緒に頑張っていられた社員さんなんかは、もう声ががらがら。それくらい熱を入れてくれた。これは客にも伝わります。アツキココロ、です。


さあ、この勢いを後半戦にも活かして!!社長にも夫人の意気込みが伝わるよう激励しました。


しかし。しかし、です。

4日目。物産展開始後最低の売上に終わってしまいました。・・・。後半部隊の女性社員がその訳をこう夫人に知らせてきたそうです。「社長が休憩時間を長く取って物産展の他のブースを回り、色々買って・・・。観光気分の社長につられて、何となく全体にだらけた雰囲気になってるんです。」これを聞いた夫人は怒って社長に電話しました。「少なくともこの物産展については私が責任者。たとえ社長でも、言うことを聞いて欲しい。休憩をとってもいいが、だらけた観光気分が生じないよう言動には気をつけて。折角のチャンスなんだから、もっともっと頑張って戦略商品を中心に売って!!」


そのときは社長も素直に聞いてくれたそうです。


しかし、売上はその後週末に最大の売上を上げたものの、前半の盛り上がりから想定した目標はクリアできずに終了しました。

そして夫人から私に電話。

「戦略商品の総売り上げは結局300個でした・・・。」「前半で150個売ってましたから、週末にかかる後半はもっと出ると思ったんですが・・・。」


「そうですか。まあでも300人近いクチコミ候補者が出来ただけでも、すごいことですよ。」

「在庫が700個残りましたが、どうするんだと社長が私を責めるんです・・・。あんたが責任者なんだからと、嫌みっぽく・・・。」


そうか・・・。社長はそういう態度に出たか・・・。私は本当に悲しくなりました。そりゃ、物産展中の夫人からの激を飛ばす電話で、社長としてのプライドを傷つけられたかも知れません。でも、子供じゃあるまいし。まして、夫人の言ったことは正論です。だからこそその時は社長も素直に聞き入れたはずなのに・・・。


この物産展の持つ意味も、戦略商品が300個も売れた意味も、社長には最後まで理解されなかったようです。ただ単に、在庫の問題を責任者の名の下に夫人に押し付けて、ねじれた感情の捌け口にしたようです。・・・自分の会社のことなのに・・・。


まあ、とにかく今は在庫に対する施策が先です。

私はあらかじめ考えていた案を伝えました。「私が残った在庫を全て買い受けましょう。ただし原価で。私はそれを今後のWebショップ顧客候補開拓につかいます。Webマーケット会社を通じてプレゼント企画を打ちます。」


それまで沈みきっていた夫人は、これを聞いて即座にこう応えました。「いえ、私も売ります。今までお付き合いのあるお得意さんに向けて、頑張って売ってみます。」


本当はこの言葉を社長から聞きたかった・・・。そうなんです。商売は負荷があるところから始まるんです。何とかしようと工夫するから、伸びるんです。安全策、安全策ばかりでは企業は伸びません。自信がないから、安全策?そんな気持ちではライバルに勝てる訳が無い。もちろん、負荷をそのまま放置はできない。事後策を考えとく。それが「コンティンジェンシープラン」というやつです。

私の予測では半分の500個は売れ残るだろうと。(もちろん上手くムーブメントが起こせれば1000個も可能性あり、と踏んでましたが。)しかし、たとえ物産展で売れなくても、「原価割れしない活用法」さえあればいい訳です。損は無い。いくらでも生きた使い道はある。むしろ、この戦略商品の認知度を高めるチャンスだ。近場のお客様にも知らない方はたくさんいる。この方々へは日頃の感謝とHP開設の告知を兼ねて特別価格でPR。全国の潜在顧客へはアンケート付きプレゼント企画。アンケート結果はそのまま販促ツールにも使えるでしょうし、商品改革にもつなげられる。

これが私のコンティンジェンシープランでした。もちろん、私が買い受けるというのはと特例中の特例。本来、コンサルがこんなことしてちゃいけません。でも社長に目を醒ましてもらいたくて、最悪そうすることも選択肢に入れていました。


でも目を醒ましたのは夫人でした。

夫人は私の意を受け、再び気力を復活させました。


そして・・・。


(つづく)