結局、社長の意見を聞き入れ(というか社長の会社ですから。結局最後は経営者の意思です。コンサルはどこまで行っても支援者でしかありません。)その小売店は1年間様子を見ることになりました。
私と交わした約束は「1年経って黒字化できなければ撤退」。
・・・この約束をしてから、社長の迷走が始まりました。
何が何でも売上を上げるため、自社伝統の主要商品以外の取り扱い商材仕入を急増。小売部門の帳合でなぜか他の店への卸売りの数字も計上。ご自身も頻繁に店に赴き、あれやこれや指示を出す。
その結果、当初不慣れな小売に対処するために採用したベテラン社員は、社長と意見が合わず退職。その後自社加工部門の優秀なプロパー人材をあてがいましたが、この人も慣れない業務と社長のころころ変わる指示と売上が伸びないことへの叱責から、心労が重なりダウン。
最後には、社長の父親の人脈にあった小売の専門業者から人材派遣を受ける始末。
この人材派遣で来た人が言いました。「おたくの卸部門からの商品提供はいらない。値段と品質がこの店に合わない。」
・・・・ん?何のためにこの小売店をこの会社が直営したんでしたっけ?
生産から卸・小売までの一気通貫体制づくり?でも自社扱いの商材を扱わないなら、単なる小売店事業を新たに立ち上げたことと何ら変わりない。ノウハウの蓄積?。外部の人に頼っていたって、いつまでたってもこの会社にはノウハウは残らない。
それでも社長はめげません。「従来の卸売り先への販売で売れ残ったモノをさばくルートとしよう。」売れ残りは取引先の需給バランスや催事との絡みの問題であり、モノ自体が悪いわけではないので、その考えはありでしょう。でも同じ地域、同じ店舗小売形態で、他で売れ残る商材がなぜ直営店で売れるのでしょう。地域性・季節性、様々な要素から売れ残ったわけで、同じ形態では売れる道理が無い。こういう場合本来は、別の仕掛けが必要です。
でも社長は押し込み納入。売れないと現場のせいにする。派遣された人材ともどんどん気持ちが乖離していきました。
結果は?
1年経って売上は伸びましたが、やはり赤字からは脱却できません。
その間、社長は小売店の低迷を糊塗するかのごとく、又別の迷走を始めていました。
(つづく)