年の暮れ
そこには 大したものは
なにもなかった


寒いのは嫌い
そう考えていたと思うのに
なぜかもう
汗をかくような気がするほど
朝がはやく訪れ
生温い風が、吹いてさえいる

なにもないと思っていたのに
小さな草達が、
みしみしとひしめいている
土の上

なんと、ぼんやりとしていたことか
もうそんなに
月日が進んでいて
これはもしや春ではないのか

扉を押し開け
先ほどの雨に打たれたせいで
立ちのぼる
土の匂いをわって

しゃがみこんだ目先
手を伸ばし、草を引き抜いた

ここは、土の上
根を張った
小さな草達のひしめく、土の上
手をのばす度に
立ちのぼる土臭さ
みしみしと、生え尽くすつもりか
草達よ

根のない者は
ただ、土の近くで草を引き、
春を思い知る

なにもないと思っていたのに
たくさんの草達が
春を連れてきた

土の近く、
立ちのぼる土臭さに
隠せない驚きと諦めとが
いっきに空まで、はね上がり、
そしてどこかへ消えていった







いくつかの日に
かけはしを架けて

その日々を
遡れるのなら

あの日

過ちに満ちた日

違う道を、選びなおして


いいえ
何度となく辿りなおしたとしても

きっと同じ場所に居るのだろう


いくつかの日に
かけはしを架けて
点々と結ぶ道を遡れるのなら

遡れるのなら

せめて

愛という名の
人を傷つける凶器の罪深さを
誰か、教えてほしかった
もしもしっていたのならば

いくつかの日に
かけはしを架けて
遡れるのなら

狂気に支配され
傲慢に生きた
この道を

せめて
誰も道連れにせず
辿れたかもしれなかった

後ろには
道はあるのに

前に架ける橋は

架け先が ない

だから

いくつかの日に
かけはしを架けて

戻りたく なるのは

我が儘なのだ

あの
いくつかの日の
行動が

この世の全てだなどと
思いもがけず
気がつくだなんて

残酷な

残酷な

今という私のリアル



空に 馳せる思い

地を 駆ける衝動

水に 溶ける元始

闇を 想う希望

光に 憂える今

隣の人は何をば思わん
本の我は何様に変貌す

風は気まぐれではなく、規則のある
季節も、気まぐれに交錯などしない

めくるめく
めくるめく
人の気は、めくるめく

飛びたてば、着地せねばならず
倦ねるばかり

宙に

憂える、この、衝動を抱え

ぶらり
浮いたまま

もう、降りようか
もう、降りようか

ああ どこへ

もう、いっそ
ここで?

ぶらり
浮いたまま

ああ でも、

どこへ