夢は 甘い誘惑
角砂糖のように 崩れながら蝕んでゆく

ひとつしかない
不確実な現実

無数にある
揺るぎない絶対の満たされた結末

ファンタジーは不滅で
ハッピーエンドがいつだって、似合う


かのものよ、如何にして
貴様から逃れらるる術は見つからん
甘き誘惑 かつて知らぬ熱とともに
行く先にある真実と虚空

我から出ずる止まらぬ角砂糖

現実は
総てを手放しても、
惜しくない

夢は 甘い誘惑
世界はここにある

ファンタジーは
終わらない
甘い誘惑

ここに永遠に
決めた

ここに永遠に、決めた

崩れながら蝕んでゆく角砂糖
魅惑的なファンタジー

ここで永遠を


大正、とても昔のよう

昭和でさえ、もうかなり、昔話

祖母は、そんな永い時を、積んできた

平成、もうすう数十年過ぎた
和号もそろそろ変わるかもしれない

沢山の年号を足にかけ、
健やかに生きている

嫌なことは、
たくさんあった

聞きたいことは、
たくさんある

大正、どんな空気だった?
世界は明るかった?
戦争のとき、
なにをかんがえていた?

平和だと言われる現代に、
違和感はない?
何もかも、
全部が思いでだなんて、
とてもうらやましい

変動し
激動し、
改革し、
維新のあとに築かれた日々は、
どんな感じだったろう

聞くべきだし
聞きたいし、
そして伝えたい

楽しいことは
どんなことだった?
物のない暮らしは
今より楽だった?

なまぬるい今を生きる私には
何物にも代え難い、歴史

はるかなる
永い時を積んできた人

会いたい
話したい

どうしてこんなに

遠くに居るのだろう、
わたしは

遙かなる記憶を
どうか ぜんぶ
渡して、この手に

ゆっくり、ゆっくり、ききたい。
泣いたり笑ったり

はるかな記憶を
たいせつなことを

どうか


なにか 忘れている、
いま思いついた、はずの、なに


ジ、ジ、と音を立てて時折、
点滅していた蛍光管

軽油の、咽せる排気ガス
不愉快に揺らされる、くねる道

風の運ぶ腐葉土の、香り

たあいもない立ち話が、笑う様

さびしい
さびしい

ここに広がっていた、麦畑

辟易するほど変わらない、夏祭り

灰を気まぐれに贈る、鬼火焚

なつかしく
せいせいし
さびしい、消えゆくもの

そこに
なにがあったのか、わからないほど
見てもいなかった町

さびしい

愛着などないと思っていた
たくさんの消えゆく、なにか


何を忘れたのかさえ
もう忘れた

ふやふやと積もりゆく澱
かすみゆく自我

消えゆくことは遠ざかること
過去の方向にしか向かない、いま

さびしい
さびしい

誰とも共有できない、消えゆくもの

なにか思いついた
消えゆくもの