家ではOのご機嫌を伺いながら暮らす生活。
ご機嫌が良ければほっとして、悪い時はいたたまれない思いでした。
でも、仕事を始めてからは、家では針のむしろでも、職場に行くと笑顔で挨拶してくれる人たちがいて、私の仕事を認めてくれる人がいる。冗談を言って笑い合うこともできる。私を信頼して任せてくれる人がいる。それだけで私の人生は明るくなりました。
心の底には「私はサレ妻」という惨めな気持ちがいつもありました。発覚した日のことを毎日思い出して悲しみに沈みました。でも職場にいるときにそれを思い出すことはありませんでした。
Oはたまこさんと一緒になりたいのであれば、私が仕事をするのは大歓迎のはずですが、あまりそんな風にも見えないのでした。
Oの様子を見ていると、専業主婦であれば、家事が完璧でなくてもそれは個人の能力の問題ということであまりクレームをつけないのに、主婦が仕事をしていると家事の出来が気になるようでした。「家事がちゃんとできていないのによく出かけられるな」ということのようです。
それでも私は専業主婦に戻るつもりはありませんでした。発覚した日に言われたことが忘れられなかったからです。
「finは俺がお願いして専業主婦になってもらったから」
