続・功夫電影専科 -98ページ目

続・功夫電影専科

香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。


「ダイナソー・ファイター カンフーVS巨大恐竜」
原題:FUTURE WAR
製作:1997年

●この作品は、かのダニエル・バーンハートが『ブラッド・スポーツ2』の翌年に出演した映画なのだが…私は『ブラッド・スポーツ2』がどれほどのヒットを記録したかまでは知らないが、その後もシリーズは第4弾まで続いたことを考えると、それなりにウケたのだろう。だとすると尚更この作品について疑問が残る。ある程度の成功を得ているというのに、一体ダニエルは何をトチ狂ってこんなクソ映画なんかに出演したんだ!?(爆
ストーリーは深く語るまでもない。簡単に言うと『ターミネーター』的な本筋に、当時大ヒットしていた『ロスト・ワールド』にあやかって恐竜をプラスしただけの物だ。その作りは「雑」という一文字で片付けられない悲惨な代物で、低予算作品というか自主映画以下の恐ろしいブツである。まず本作は圧倒的に物語の描き方が狂っている。映画が始まると最初に世界観が長々と説明されるが、その説明は本編でも繰り返し語られるので全く意味が無い。ま、このへんは『ヒューマノイド』や『ダークブレイド』のような近代の作品にもありがちなパターンだからいいとして、問題なのはここからである。
主人公のダニエルは遙か彼方の惑星から脱走してきた逃亡者で、サイボーグ兵士と恐竜(サイボーグ兵士が飼っている番犬のようなもの。ちなみにハリボテ感丸出しの酷い造形です・苦笑)に追われている。偶然知り合ったヒロインの元に身を寄せたダニエルだったが、そこへダニエルを狙って恐竜が現れた。ダニエルとヒロインは追っ手から逃走を図るが、"突然"警察に身柄を拘束されてしまう。このシーンにこれといった説明はない。警察がダニエルを不審人物と断定して逮捕したとか、そういう描写も一切無い。本当に"突然"ダニエルとヒロインはパトカーに詰め込まれるのだ。
この他にも、恐竜がやって来た時に襲われたデブ黒人はどうやって助かったのか、ヒロインは何故あんなに武器をホイホイと集められたのか等々、とにかく描写不足のカットが多い。こうなると足りない部分は想像で補うほか無く、まるで未公開&字幕無しの功夫片を見ているような錯覚に陥ったが、私が見たのはれっきとした国内で発売された字幕付きのDVDだ。それなのに人間の理解を超越した描写を炸裂させているのだから、いかに本作がとんでもないブツなのか解って頂けただろうか。
格闘シーンはダニエルが主人公なので頑張ってはいるが、敵がお針子の恐竜とロクに動けない木偶の坊サイボーグなので、出来については推して知るべし。このほかにも細かいところをツッコんだらキリがないが、単に「宝の持ち腐れ」では済まされない凄まじい作品。ちなみに製作には『桜NINJA』や『ホワイト・ファントム/霊幻戦士』にも関わったK・Y・リム氏が参加しているようだが、相変わらず元気そうで何よりです(爆


少林英雄之方世玉洪熙官/少林英雄/方世玉與洪熙官
Shaolin Avengers/Kung Fu Kid/Shaolin Heroes
製作:1994年

●皆さんお久しぶりです。今回の集中豪雨で山口県はエラい目に遭い、私自身も大雨の凄さと恐ろしさを深く思い知りました。各地でも被害が出ていますが、私の方でもちょっとゴタゴタしていたので更新が停滞していました。今回から更新を再開していきたいと思いますが、メールやコメント等の返答に関しましては後日以降となることをご了承下さい。

 さて、気を取り直して本日のレビューです。
少し前に『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地激震』という功夫片を紹介する機会があったが、この作品は同じスタッフが再び結集して作った姉妹編である。
先の『天地激震』は当時流行していた黄飛鴻系列の作品で、錢嘉樂(チン・ガーロッ)が黄飛鴻を演じていた。しかし実際の作品はそれほど面白いものでは無く、単なる便乗作品に終わっていた。一方、本作はタイトルにもあるとおり方世玉と洪熙官を扱った作品だ。この題名だと張徹の『嵐を呼ぶドラゴン』を彷彿とさせるが、特にリメイク作品というわけではないらしい。
 物語は少林寺が焼き討ちされ、各地に逃げ延びた少林派と少林叛徒・高進忠の対決を描くという、この手の作品としては非常にオーソドックスな内容だ。ここに方世玉が巻き起こすドタバタが挟まれる(というか、作中の大半は方世玉パートばっかり)のだが、やはり今回も二番煎じ感が漂っている。作中では方世玉を錢嘉樂が、洪熙官を林正英が、高進忠を孫國明がそれぞれ演じているが、当然の如く錢嘉樂は間の抜けたお坊ちゃんキャラで、このへんも李連杰方世玉の影響が見え隠れしている。
功夫アクションは武術指導を小侯と黎強權が担当しているため、質はそれなりに高い。だが『天地激震』でも見せたワイヤーインフレがここでも発生しており、役者たちは浮ついた闘いを強いられている。しかも錢嘉樂と林正英と孫國明以外のキャストにスタントダブルが非常に目立ち、作品全体のフワフワ感が更に増しているのだ。
 以前、『天地激震』のレビューで「せめて地に足を着けたバトルに徹してくれたら」という感想を書いたが、『天地激震』で犯した失敗は本作でも改善されないまま放置されている。ラストの錢嘉樂VS孫國明もクルクル飛び回るだけの殺陣で、孫國明が唐突に『天地大乱』の布槍を使い出したのには萎えました(もちろん穀物も降ってきます)。
ストーリーにも未整理な部分が多く、片っ端から不要になった登場人物を殺していく陰惨な展開はどうにかしてもらいたかったし、ギャグとシリアスのバランスにも不釣合いな箇所が目に付く。監督の李超は協利電影で『識英雄重英雄』という傑作を作り、『古惑仔』シリーズを引き受けた人物だが、本作と『天地激震』の体たらくは一体どうした事なのだろうか?いかに便乗作品とはいえ、詰めの甘さが気になる微妙な作品。いくらなんでもこれはちょっと…。


「レッド・ウォリアー」
原題:Nomad/Nomad The Warrior
製作:2005年

●本作はフランスとカザブスタンが製作した歴史大作で、いつも紹介しているマーシャルアーツ映画のようなB級作品ではない。物語はカザフの民がジュンガル族の侵攻を受け、救世主として育てられた王族の青年が友の死などの試練を乗り越え、ジュンガルの軍勢を打倒するまでを描いた物語である。
だが正直言うと、私がこの作品をレンタルしてみたのは出演者の顔ぶれに惹かれたが為だった。なにしろ主人公の育ての親で賢者の役をジェイソン・スコット・リーが、ジュンガル王の息子役にマーク・ダカスコスが扮しているのだ。この2人が出ているとあらばレンタルしない訳にはいかない!…ということで見てみたのだが、残念ながら「夢の対決」は実現していない。『DRAGON BATTLE EVOLUTION』もそうだったけど、なんでいつもマーシャルアーツ映画ってこうなっちゃうんだろうか?
ジェイソンは先述の通り賢者という役回りだが、並みの兵士なら太刀打ちできないほどの武術の腕を持っている。そんなジェイソンは救世主の到来を感じ、襲われていた王の子を助けて師となるなど、なかなかの存在感を発揮。対するダカスコスも、救世主を殺そうとする襲撃シーンでは見事な剣劇アクションを繰り広げ、たまにキレのいい蹴りを放ったりしている。これでこの2人が全編に渡って活躍してくれればなお良かったのだが、ジェイソンは後半から救世主の元を離れてしまい、ダカスコスに至っては中盤に救世主との一騎打ちに敗北し、生首を晒す羽目になってしまうのだ。
ジェイソンは演技面でまだ見せ場があったが、ダカスコスが強くなさそうな救世主にやられるのは個人的に納得がいかなかった。このダカスコスが一騎打ちを持ちかけてきた際、対応に出たのがジェイソンだったので「ジェイソンVSダカスコスの夢の対決か!?」と期待が膨らんだが、直後にジェイソンが救世主にバトンを渡した時点で私のテンションはあっという間に急降下(爆)。ちなみに本作の格闘アクションは、なんとリチャード・ノートン(!)が担当している。ジェイソンにダカスコスにノートンまで揃っているのに、この仕打ちはちょっとなぁ…。
全体の感想としては、作り手の「超大作を作るぞ!」という気合は良く伝わってくるし、CGに頼らない壮大なロケーションやアクションシーンも楽しめる。しかし主人公と親友の女性を巡る確執や、敵の妻になってしまったヒロインや、敵の姫が主人公に思いを寄せる場面など、盛り上がりそうな要素がことごとく放置されていた。はっきり言って本作には山場がないため、スケールの大きい作品なのにどうしても物足りなさを感じてしまうのだ。決して悪くない作品だが、ジェイソンとダカスコスの格闘シーンを目当てにしている人は要注意を。


「狂犬 Mad Dog」
製作:1994年

▼これまで清水宏次朗によるアクション作品をいくつか紹介してきましたが、そろそろ当ブログで取り上げられる主演作(純粋な格闘映画)も少なくなってきました。
高瀬将嗣監督作の『ケンカ包丁 義』は格闘シーンが無いようですし、『獣のように』『武闘の帝王』シリーズは毛色がちょっと違うのでパス。個人的には『新・ピィナッツ』『ワル 正伝』が今後の注目株ですが、こっちはそれぞれ元となる作品群があるため、少し取っつきにくいイメージがあります。あとは『ビーバップ』シリーズもあるけど、こっちは逆に作品数が多いし…うむむむ。
ということで本作の視聴に至ったのですが、この作品における最大のセールスポイントは石橋雅史が出演している事に尽きます。物語は巻き込まれ形式の復讐記で、とてもシンプルな作品となっていました。

■平凡なサラリーマンの清水は、北原佐和子と幸せな新婚生活を送っていた。ところが、暴力団の錦城組を仕切る白竜が突然押し入り、北原を無理矢理奪い去ってしまう。警察はあてにならず、孤軍奮闘を強いられた清水は妻を取り戻そうとするのだが、単なる一般人である彼がヤクザを相手にできるはずもなかった。
そんな中、清水は錦城組に敵対する男・新藤栄作と出会う。彼は錦城組の逆襲によって殺されてしまうが、死に際に「恐谷特別刑務所の石橋雅史に頼れ」というメッセージを清水に告げた。自ら進んで出頭した彼は、極悪刑務官と錦城組の刺客が日常的に襲い掛かってくる塀の中で、どうにか石橋との接触に成功する。
拳法の達人であった石橋に師事し、復讐のために腕を磨いていく清水。ところが、時を同じくして白竜は自身の父親が意外な人物であることを知り…。

▲本作は清水が珍しく弱いという設定のため、最初の1時間はとにかくやられる場面ばかりが続きます。しかし、刑務所で石橋に出会ってからはエンジンが掛かり、痛快な格闘アクションが次々と披露されていきました。
特に石橋雅史の存在感は圧倒的で、謎多き師匠役を凄みたっぷりに演じています。もちろん清水VS石橋の師弟対決もじっくり見られるし、同時期の『拳鬼』と違って石橋の吹き替えスタントも極力少なめ。後半の採石場を舞台に繰り広げられる清水VS石橋の一戦は、まず間違いなく清水のベストバウトの1つとして数えられる名勝負と言えるでしょう。
 ですが、あまりにも石橋雅史の持つインパクトが強すぎたせいで、反対にワリを食ってしまったのが白竜でした。白竜は序盤こそ狂気を孕んだキャラクターで飛ばしていますが、物語が進むに連れて狂気の度合が薄まり、ラストバトルである清水VS白竜がとても淡泊なものになってしまっています。
他にも人死にの多すぎる展開に疑問符を浮かべてしまうものの、Vシネ格闘アクションとしては十分佳作に入る作品。格闘映画好きは必見です!


「DRAGON BATTLE EVOLUTION」
原題:Sci-Fighter/X-Treme Fighter
製作:2004年

●主人公のドン・"ザ・ドラゴン"・ウィルソンは格闘技の達人だが、不幸にも数年前のある事件で妻に先立たれていた。祖父で科学者のアキ・アレオンからは「シンシア・ラスロックと再婚せえへん?」と持ちかけられたが、ドンは中々吹っ切る事が出来ない。しかも最近は息子が反抗期で、親子間のコミュニケーションにも問題が生じ始めていた。
そこでアキは、自身が開発していたFBIの訓練プログラムを流用したバーチャル格闘ゲームを持ち出し、親子の絆の再生を図ろうとする。しかしゲーム機が故障したことでドンの息子がゲーム空間に閉じ込められてしまった。息子を助けるためには(何故か)ゲームを攻略しなければならず、ドンは息子を助けるために仮想現実の世界へと飛び込む!

今回もドン作品だが、珍しく最新作の紹介だ。まずこの作品の存在を知った人は、誰しもそのキャストの豪華さに驚き、そして大きな不安に包まれただろう。
というのも、本作は主演のドンを筆頭に、シンシアラスロック、ロレンツォ・ラマス、ボブ・ウォール、エリック・リー、モーリス・スミスと、出演陣がとてもボリューム満点なのである。夢の対決というものが実現しづらいマーシャルアーツ映画でここまでのキャストを揃えるとは素晴らしく、私もかなり期待していた。ただし、本作の監督があの『リアル・ファイト』のアート・カマチョという時点で、嫌な予感もしていたのだが…。
で、当の私は国内版が発売される前から作品の存在を知っていたので、本作がレンタルショップの店頭に並べられた時は速攻でレンタルして視聴に至ったが、私は肝心な事を忘れていた。そう、この映画はドン作品なのだ。どう転んでも傑作になり得るはずがないドンの作品で、アート・カマチョがメガホンを振り回しているとなれば尚更結果は目に見えていたはずだった。

最初に根本的な部分の感想を言うが、本作は上記の豪華キャストを起用しておきながら、それが全く生かされていない。まずストーリーが親子の絆云々という時点で間違っており、このキャストならもっと相応しい格闘映画(例えば犯罪アクションとか)が撮れていたはずだ。まぁこの辺は予算の都合などもあるのだろうが、作品のウリとなっている仮想現実の世界が凄くチープなのも(悪い意味で)見逃せない。似たような仮想現実を扱った作品といえば『サイバー・ウォーズ』があるが、本作での仮想現実の描写は『サイバー~』にさえ劣っている。いくら低予算とはいえ、10年前の作品よりもチャチな物になってしまうのは流石に問題ではないだろうか?
さてキャストについてだが、シンシアはヒロイン格としてゲーム内にも登場し、それなりにアクションはこなしている。だがその扱いはそれほど大きくなく、『グリーン・ディスティニー』の真似事をさせられている姿には涙を禁じえない(爆)。次にラマスだが、こちらは序盤で仮想現実に挑むぐらいしか格闘シーンの見せ場が無い上に、ドンとの顔合わせもたった数瞬という酷い有様。ボブ・ウォールは冒頭で本人役としてチラッと顔を見せただけだわ、モーリスは『バトル・ウルフ』の時より数倍メタボって動きにキレが無くなってるわ、エリックは敵キャラの中で最もいい動きをしているのに雑魚同然の扱いだわ…とにかく本作は出演者の扱われ方が酷すぎるのだ。流石はカマチョ、やってくれるなぁ(萎
では格闘アクションのほうはどうかというと、とりあえず一応は頑張っているかな…という程度。ドンの息子役の人が結構いい動きを披露しているが、主役であるドンは歳のせいか動きが鈍くてとても見ていられない。作中、ドンが息子に対して「お前はまだ修行がなってない」と言う場面があったが、明らかにドンより息子の方が強そうだ。ここまで来ると自虐ネタに見えてしまい、失笑を通り越して哀しくなってしまうが…っていうかドン、もうちょっと頑張ろうよ!(涙
ちなみに本作に登場する敵キャラは全て本物の格闘技チャンピオンだが、動きは全員もっさりタイプ。本物をウリにする作品作りは10年前のキックボクサー映画から変わっていないが、せめて格闘シーンの出来ぐらいは進歩して欲しかったところである。