『DRAGON BATTLE EVOLUTION』 | 続・功夫電影専科

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香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。


「DRAGON BATTLE EVOLUTION」
原題:Sci-Fighter/X-Treme Fighter
製作:2004年

●主人公のドン・"ザ・ドラゴン"・ウィルソンは格闘技の達人だが、不幸にも数年前のある事件で妻に先立たれていた。祖父で科学者のアキ・アレオンからは「シンシア・ラスロックと再婚せえへん?」と持ちかけられたが、ドンは中々吹っ切る事が出来ない。しかも最近は息子が反抗期で、親子間のコミュニケーションにも問題が生じ始めていた。
そこでアキは、自身が開発していたFBIの訓練プログラムを流用したバーチャル格闘ゲームを持ち出し、親子の絆の再生を図ろうとする。しかしゲーム機が故障したことでドンの息子がゲーム空間に閉じ込められてしまった。息子を助けるためには(何故か)ゲームを攻略しなければならず、ドンは息子を助けるために仮想現実の世界へと飛び込む!

今回もドン作品だが、珍しく最新作の紹介だ。まずこの作品の存在を知った人は、誰しもそのキャストの豪華さに驚き、そして大きな不安に包まれただろう。
というのも、本作は主演のドンを筆頭に、シンシアラスロック、ロレンツォ・ラマス、ボブ・ウォール、エリック・リー、モーリス・スミスと、出演陣がとてもボリューム満点なのである。夢の対決というものが実現しづらいマーシャルアーツ映画でここまでのキャストを揃えるとは素晴らしく、私もかなり期待していた。ただし、本作の監督があの『リアル・ファイト』のアート・カマチョという時点で、嫌な予感もしていたのだが…。
で、当の私は国内版が発売される前から作品の存在を知っていたので、本作がレンタルショップの店頭に並べられた時は速攻でレンタルして視聴に至ったが、私は肝心な事を忘れていた。そう、この映画はドン作品なのだ。どう転んでも傑作になり得るはずがないドンの作品で、アート・カマチョがメガホンを振り回しているとなれば尚更結果は目に見えていたはずだった。

最初に根本的な部分の感想を言うが、本作は上記の豪華キャストを起用しておきながら、それが全く生かされていない。まずストーリーが親子の絆云々という時点で間違っており、このキャストならもっと相応しい格闘映画(例えば犯罪アクションとか)が撮れていたはずだ。まぁこの辺は予算の都合などもあるのだろうが、作品のウリとなっている仮想現実の世界が凄くチープなのも(悪い意味で)見逃せない。似たような仮想現実を扱った作品といえば『サイバー・ウォーズ』があるが、本作での仮想現実の描写は『サイバー~』にさえ劣っている。いくら低予算とはいえ、10年前の作品よりもチャチな物になってしまうのは流石に問題ではないだろうか?
さてキャストについてだが、シンシアはヒロイン格としてゲーム内にも登場し、それなりにアクションはこなしている。だがその扱いはそれほど大きくなく、『グリーン・ディスティニー』の真似事をさせられている姿には涙を禁じえない(爆)。次にラマスだが、こちらは序盤で仮想現実に挑むぐらいしか格闘シーンの見せ場が無い上に、ドンとの顔合わせもたった数瞬という酷い有様。ボブ・ウォールは冒頭で本人役としてチラッと顔を見せただけだわ、モーリスは『バトル・ウルフ』の時より数倍メタボって動きにキレが無くなってるわ、エリックは敵キャラの中で最もいい動きをしているのに雑魚同然の扱いだわ…とにかく本作は出演者の扱われ方が酷すぎるのだ。流石はカマチョ、やってくれるなぁ(萎
では格闘アクションのほうはどうかというと、とりあえず一応は頑張っているかな…という程度。ドンの息子役の人が結構いい動きを披露しているが、主役であるドンは歳のせいか動きが鈍くてとても見ていられない。作中、ドンが息子に対して「お前はまだ修行がなってない」と言う場面があったが、明らかにドンより息子の方が強そうだ。ここまで来ると自虐ネタに見えてしまい、失笑を通り越して哀しくなってしまうが…っていうかドン、もうちょっと頑張ろうよ!(涙
ちなみに本作に登場する敵キャラは全て本物の格闘技チャンピオンだが、動きは全員もっさりタイプ。本物をウリにする作品作りは10年前のキックボクサー映画から変わっていないが、せめて格闘シーンの出来ぐらいは進歩して欲しかったところである。