続・功夫電影専科 -84ページ目

続・功夫電影専科

香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。


「必殺!バトルロード2 妖剣女刺客」
製作:2006年

▼本作は現代版『必殺仕事人』ともいうべき作品で、元・暴力団組長の中条きよしがドンを務める仕事人チームが、悪党を成敗するという物語です。
主な登場人物は、リーダーで主人公の中島史恵、元暴走族のカポエラ使い・秋本つばさ、元特殊部隊出身・船木誠勝の3名。これに上海から来た刑事・岸本祐二が加わり、偽札を製造していた極道・堀田真三らを始末するまでが前作のストーリーでした。
今作では、前作で始末されなかった悪徳政治家たちがターゲットとなり、死んだと思われていた堀田が復活。更には新たな強敵たちが登場しており、続編というよりも前後編の「後編」的な内容となっています。

■世の悪党を退治するため、今日も戦い続けている中条と仕事人たち。そんなある日、秋本の先輩だった中倉健太郎が訪れ、「大規模な地上げで困っているので何とかならないだろうか」と相談を持ちかけてきた。これは前作で堀田と結託していた議員&大物政治家の計略によるもので、彼らは巨額の公共事業を興そうと暗躍していたのだ。
第2のアクアラインを作ると豪語する連中は、海岸沿いに住む人々を強引に立ち退かせ、時にはその命までをも奪っていく。そして、一方で堀田による復讐も始まっていた。堀田は松田優&三元雅芸ら刺客を送り込み、中倉を殺害。とある記者から計画の全貌を聞いた中条たちは、帰ってきた岸本と共に最後の対決へ挑む!

▲はっきり言ってしまうと、本作は前作から何も変わっておらず、これといって目新しいポイントはありません。しかし『必殺』らしい単純明快なストーリーも不変なので、今回も平均以上の面白さは確保されていました
また、前作では余計に思えたエロシーンが省かれていて、格闘アクションの質も向上。きちんと各キャラクターの見せ場も用意されおり、まさに文字通りの正統派な続編といった感じの出来に仕上がっているのです。

 さて注目の格闘シーンに関してですが、今回の台風の目はズバリ松田優でしょう。本作で彼は堀田の用心棒として登場し、前半の襲撃シーンでは秋本&船木の2人と互角以上の闘いを展開します。
続いて中条に襲いかかりますが、ここに船木が駆けつけて船木VS松田という夢のカードが遂に実現!両者とも重量級ですが、大柄な体格を感じさせないキレのある動きを見せ、薄暗いシチュエーションも問題にならない接戦を繰り広げています。
 その後、松田はクライマックスで再び秋本&船木ペアと戦い、縦横無尽に棍棒を振り回して大奮闘を演じます。ちなみに松田は岸本と一切絡まないものの、三元とのバトルで華麗なソードバトルを披露していました(ただ、ラストの岸本VS三元はちょっと短かったかも)。
というわけで、格闘アクション的に大盤振る舞いだった本作。個人的に続編がたくさん作られてしまうような作品は好きではないんですが、本作に限って言えば続編が見てみたいと思いますね。次回はサイボーグになって復活した堀田が、虎牙光輝とやべきょうすけを引き連れて…(以下、妄想が延々と続く)


「ドニー・イェン 邪神拳」
原題:魔唇劫
英題:THE HOLY VIRGIN VS EVIL DEAD
製作:1991年

●本作は甄子丹(ドニー・イェン)によるオカルト功夫片であり、同時期の『ドラゴン・バーニング/怒火威龍』と一緒に撮影されていたと思しき作品です。監督は問題作『群狼大戦』の王振仰(トミー・ウォン)で、彼らしくエロとエグさが同居する世界が構築されています。

 大学教授の甄子丹は、あるとき異形の怪物・慮恵光(ロー・ワイコン)に襲われ、教え子たちを皆殺しにされてしまう。殺人犯として逮捕された甄子丹は無罪を主張するが、刑事の林國斌(ベン・ラム)は非現実的な証言に耳を貸そうとしなかった。とりあえず保釈金を支払い、仮釈放された甄子丹は弟・麥羅と共に事件の調査に乗り出した。
調べを進めていくうちに、カンボジアで祭られるヒゲの女神と大富豪が関連していることを突き止めるも、協力してくれた司書が惨殺されてしまった。甄子丹は、林國斌・麥羅・元カノの徐希文と共にカンボジアに乗り込み、そこで慮恵光を倒そうとしている部族の娘・楊寶玲(ポーリン・ヤン)と遭遇。くだんの大富豪は、徐希文を生贄にして慮恵光の魔力を得ようと画策していた。
誘拐された徐希文を助けようと、甄子丹たちは敵の屋敷に乗り込むのだが、慮恵光の妨害によって一時退散。負傷した林國斌が離脱し、一行は楊寶玲の部族を目指すものの、既に大富豪が魔力を手にするための儀式を始めようとしていた…。

 色んな意味でムチャクチャな作品なんですが、全盛期の甄子丹による功夫アクションは実に迫力満点!当時はまだワイヤーに頼り切る前だったこともあって、地に足を付けたバトルが十分に堪能できます(この翌年、彼は『天地大乱』『ドラゴン・イン』などのワイヤー古装片に出演し、ワイヤー多用の殺陣に傾倒してしまいます)。
本作で一番の収穫だったのは、これまで共演の機会が多かったのに対決まで至らなかった甄子丹VS慮恵光の一戦が実現している事です。それに加えて、準主役的なポジションながら「甄子丹に負けてたまるか!」と言わんばかりの活躍を見せた成家班出身俳優・林國斌の存在も見逃せません。多少グロい演出こそあるものの、全体的に功夫アクションは上出来だったと言えるのではないでしょうか。

 また、今回の甄子丹はお馴染みの問題児キャラではなく、落ち着いたインテリの教授という役柄を好演しているので、いつものようなフラストレーションは感じられませんでした。しかし、甄子丹に代わって胡慧中(シベール・フー)が同様のキャラクター像を引き継いでしまっています。
本作における胡慧中は高飛車な刑事として描かれ、事あるごとに甄子丹や部下たちをバカにしてばかり。遂には上司にまで暴言を吐き、「警察辞めて女優になるわ」とバッジを捨てて退場してしまいます。おまけに彼女は本筋に絡まないし、アクションすら見せないのです。恐らく胡慧中は製作時期の近い『怒火威龍』に集中していたために、仕方なく途中退場してしまったのだと思われますが……仮にそうだとしても、このキャラ設定はヒドすぎです。
ところで、ラストはよく解らないオチ(バッドエンド?)で締めくくられるんですが、なぜか誰も死んでしまった麥羅のことに触れようとしていません。前回の『ブレイザウェイ』では主人公の上司がフェードアウトしていましたが、本作の麥羅は明らかに死んでいます。せめて「彼は気の毒だった」とか言っても良かったんじゃないかと思うんですが、皆さんは忘れ去られる方と無視される方ではどっちが辛いと思いますか?(爆


「ブレイザウェイ」
原題:LETHAL
製作:2004年

●比較的最近のタイトルだが、この作品には往年のマーシャルアーツ映画スターであるロレンツォ・ラマスとフランク・ザガリーノが出演している。ロレンツォ・ラマスは『コブラ・キラー』シリーズ等で活躍し、そこそこワイルドな面構えとそこそこイケてるアクションが持ち味。フランク・ザガリーノはB級以下のC級映画である『ブラッド・ウォリアー』などに出演しているが、演技も格闘センスも並以下という困った人だ(苦笑
物語は、傭兵屋(?)みたいな仕事をしていた元FBI候補生のヘザー・メアリー・マースデンが、とある依頼を受けたことからロシアン・マフィアに狙われ、妹を人質にされながら闘っていく様を描いている。
本作でラマスはマフィアのボスに扮し、ザガリーノはFBIの偉い捜査官を演じている。普通なら反対のキャスティングになりそうなものだが、このへんは意外性があって面白い(改めて見てみると、ラマスって結構悪役ヅラしてるんだなぁ…)。で、なんだかんだあってヘザーはFBIの裏切り者を撃破し、ラマスとの直接対決にも勝利。かつての同僚とラブラブになって一巻の終わりとなる。

 実にB級らしいヌルめの映画なのだが、それなりにテンポは良いのでのんびり見ていられるのが幸いか。アクションもまったりムードで繰り広げられるが、格闘アクションは割と凝っている。
主演のヘザーさんも十分動けているし、彼女の同僚も一箇所だけだがキレのいいアクションを披露している(ちなみに作中で一番いいアクションをしていたのはこの人)。実は、本作のファイト・コーディネーターは『ハードブロー』のマイケル・ワースその人が担当しているのだ。マイケル自身もカメオ出演しているとのことだが、どうせならメインキャラとして暴れて欲しかったものである。
さて、注目のラマス&ザガリーノだが、残念ながら両者の対決シーンは無し。ラマスは悪役ヅラがマッチしていたし、ラストでヘザーと対決した際もボチボチ動けていたから良しとしよう。
ただ、問題なのはザガリーノの方だ。ぶっちゃけると、先述した裏切り者というのはザガリーノの事だったりするのだが、彼がFBIを裏切ったのは「誰も褒めてくれないしカミさんにも逃げられたし貧乏だったから」という下らない理由によるもの。最後の前哨戦となるヘザーとのバトルも、まるで素人のような立ち回りに終始している。さすがはザガリーノ、何も変わっちゃいないなぁ…(爆
 往年のスターたちが健在なことだけは確認できるが、コテコテのB級アクション映画でしかない本作。休日の暇潰しには使えると思うので、洒落でレンタルしてみるというのも一興かと。ところでヘザーの上司も敵に捕まっていたはずなのだが(拷問されただけで死んだ描写は無し)、ラストで完全に存在を忘れ去られていてズッコケました(笑


「ブルドッグ」
原題:ABOVE THE WAR
製作:1992年

●さて、今月は日本っぽい作品を中心に紹介してきましたが、そのラストとなる今回は和製ドラゴン・倉田保昭の主演作をお送りします。
この作品は、80年代から脈々と作られ続けてきたB級コマンドアクションものの1本で、倉田さんを筆頭にフィリピンのB級スターが大挙して出演している。豪華スター共演のオールスター作品と言えば聞こえは良いが、倉田さん以外は地味でショボくれた連中ばかり(爆)。私も初見の際はダサいと思ったものだが、紛れもなく彼らは一時代を築いたスターたちなのである。
 時は80年代下半期。不況なんて人事だった頃の日本では、ビデオショップに大量の映画が溢れかえっていた。世に言う「ビデオバブル」時代であるが、その到来と共にB級映画が大量に陸揚げされるという現象を招き、様々なブームが巻き起こった。未公開ホラー映画の横行、アクション映画の氾濫、そして当ブログで何度も語ってきたニンジャ映画ブーム等々…後先考えずに様々な映画が店頭へ並び、ファンは一喜一憂しつつも時代に酔いしれていた。
そんな中、コマンドアクションというジャンルも日本へと流れ込んできていた。中でもフィリピンなどの東南アジア地域で製作された安物映画は、まさしく十把一絡げの勢いで洋画のアクション映画コーナーを支配していった。『ブルドッグ』で倉田さんと共演した方々は、そのコマンドアクションで活躍していた大スターたちなのだ。
リチャード・ハリソンはヨーロッパから香港に流れ着き、フィルマークのニンジャ映画からフィリピンのシルバースター・フィルムへと漂着。以後はブルース・バロンらと共にニンジャ映画やコマンドアクションで活躍した。マイク・モンティも同じくシルバースター組の一員で、ロン・マルチーニやジム・ゲインズらと一緒にフィリピンを駆け抜けたうちの1人である。ロマノ・クリストフはニンジャ映画のスターとして(一部で)有名な人で、『Bruce's Fist of Vengeance』では呂小龍(ブルース・リ)とタイマン勝負を繰り広げている。
 …と、このような連中が一同に会し、日本から倉田保昭と『ファイナル・ファイト/最後の一撃』の小野進也を召集したのが本作である。ニンジャもどきを演じていたリチャードたちが、本場日本のニンジャスター・倉田と共演しているだけでも、本作には大きな意義があったといえるだろう。さて、作品についての評価だが、単刀直入に申し上げますと……………すっごくつまんないです(爆
ストーリーはベトナム軍にケンカを売った倉田さんたちが、お宝を巡って右往左往するというものなのだが、これが異常に面白くない。話のテンポもグダグダだし、銃撃戦やアクションシーンにも迫力が無いし、あまつさえ倉田さんのアクションもワンカットしかない(相手を1回蹴るだけ)。せっかくの豪華共演もこれでは無駄でしかなく、『烈火のヒーロー』以来となるトラウマを植えつけられた映画として、私としても忘れられない作品だったりします(涙

 なお、B級コマンドアクションは90年代を境に失速し、レンタルショップの主役をVシネマへと明け渡した。Vシネ全盛期の90年代初頭は、東南アジアでロケーションを行った作品が多く存在していたが、その中にロマノ・クリストフらフィリピン勢の勇姿が確認できる。時代に取り残されようとも、誰からも忘れ去られようとしていても、それでも彼らは必死になって踏ん張り続けたのだ。
だが現在はDVDの時代が到来し、レンタルショップにかつてのような熱気は無くなった。ビデオソフトも根こそぎ撤去され、アクション映画コーナーはB級以下のインディーズ作品に占領されている。
『サイボーグ2』のように、かつてのB級映画がDVD化されて生き残っている場合もあるが、コマンドアクションは全くと言っていいほど顧みられていない。今や、本作に出演した人々で生き残っているのは倉田さんだけになってしまったが、果たしてリチャード・ハリソンやマイク・モンティたちは、フィリピンの大地で戦った日々の事をどう思っているのだろうか?


「ブルース・リの復讐」
原題:凶終/猛龍反撃
英題:Bruce Strikes Back/The Ninja Strikes Back/Eye of the Dragon
製作:1982年

●単刀直入に言おう、この作品は傑作である。映画作品としては三流レベルだが、あくまで呂小龍(ブルース・リ)の主演作として見るならトップクラスの物と断言しても良い。いつもならナルシズムしか無い呂小龍作品だが、それほどまでにバラエティに富んだ作品なのである。
かつてマフィアの一員だった呂小龍は、ムショから出所したのを契機に足を洗ったが、当のマフィアはそれを許そうとはしなかった。彼らは非情にも呂小龍の父親を殺し、その妹をも連れ去ってしまう。これに激怒した呂小龍は、組織の用心棒たちを相手に世界を駆け巡る!というのが本作のあらましである。いつもの呂小龍作品らしく、実に荒唐無稽かつ一人よがりなストーリーだが、映画そのものはそれほど悪くはない。
 まず驚かされるのが、作中でたびたび登場するローマの風景だ。粗製濫造がまかり通っているバッタもん作品にしては珍しく、実際にローマでロケーションが行われており、ラストでは本物のコロセウムまで登場する。しかも、無謀にもラストではコロセウムで実際にアクションシーンを撮影しており(もちろん無断撮影!)、まさにこれは香港映画史に残る暴挙と言っても過言ではないだろう(笑
この場面は、単なる偽物でしかなかった呂小龍が一瞬だけ本物を越えたシーンとして評価すべき所だが、思ったよりロケーションの効果は発揮されていない。なぜなら、照明などが完備されているセットで撮ったのと、薄暗い石組みの路地で撮ったのでは、どちらが視覚的に映えるものとなるかは一目瞭然。ちょっと惜しい気もするが、まぁ所詮バッタもんはバッタもんですからねぇ…(苦笑
 また、一方でキャスティングにも力が入ってるのが本作の特徴で、製作元のフィルマークも随分と奮発していた様子が伺える。組織の用心棒に黄正利(ウォン・チェン・リー)&楊斯(ボロ・ヤン)といったバッタもん映画の常連を配したかと思えば、『007』のハロルド坂田を起用して国際色を強調。香港パートでは呂小龍の協力者として[上下]薩伐(カサノヴァ・ウォン)と趙志凌(すぐ死ぬ)が顔を見せ、作品の底上げに貢献している。
フィルマークらしくニンジャやおっぱいがポコポコ登場するものの、功夫アクションも(呂小龍作品にしては)上出来だ。特にラストの呂小龍VS黄正利は出色モノで、過去に何度か戦ってきた両者としては今回のバトルがベストだったのではないだろうか?しかもこのシーンはゲリラ撮影だったので、スタッフ一同はコロセウムに長時間留まることは出来なかったはず。となれば、このバトルは文字通り一発撮りの大勝負だったことが考えられる(このへんのエピソードがマジで気になります)。
 豪華ゲストあり・ローマロケあり・ニンジャあり・オッパイありと、極めてサービス精神旺盛な呂小龍の最高傑作。バッタもん作品が気になる方は、是非とも本作から視聴してみる事をオススメ致します。…ただし、あくまで本作は「呂小龍作品として傑作」だという事を念頭に置いとかないと、後で泣きを見るかも知れません(爆