続・功夫電影専科 -26ページ目

続・功夫電影専科

香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。


「続・少林虎鶴拳 邪教逆襲」
原題:洪文定三破白蓮教
英題:Clan of the White Lotus/Fist of the White Lotus
製作:1980年

▼カンフー映画が好きな方なら、羅烈(ロー・リェ)という名前を一度は聞いたことがあるはずです。邵氏兄弟有限公司ことショウ・ブラザースで映画人生をスタートさせた羅烈は、長きに渡って多くの映画に出演しました。
欧米でカンフー映画ブームを巻き起こした『キングボクサー・大逆転』、徐克(ツイ・ハーク)監督の問題作『ミッドナイト・エンジェル』、ジャッキーとの掛け合いが見ものの『奇蹟』などなど…。
 そんな彼が友好関係にあった劉家良(ラウ・カーリョン)の全面協力を受け、初めて監督として手掛けた作品がこの『続・少林虎鶴拳 邪教逆襲』です。
ストーリーは『少林虎鶴拳』の流れを汲んでおり、前作で羅烈が演じた白眉道人の強化版ともいうべき怪物・白蓮教主が登場。より濃密な、よりアバンギャルドな功夫アクションが炸裂しています。

■洪文定こと劉家輝(ゴードン・リュー)&胡亞彪こと京柱は、死闘の末に少林寺の宿敵・白眉道人(唐偉成)を倒した。その後、京柱が投獄されるも民衆の反対運動が起こり、やむなく朝廷は彼と反朝派の人々を釈放するのだった。
この措置に提督の王龍威(ワン・ロンウェイ)は納得せず、白眉道人の兄弟子である白蓮教主・羅烈に協力を依頼。さっそく羅烈は手下を率いて襲いかかり、京柱と劉家輝の恋人・楊菁菁が犠牲となってしまう。
 なんとか逃げ出した劉家輝と京柱の妻・惠英紅(ベティ・ウェイ)は、親戚で紙細工職人である林輝煌のもとに転がり込んだ。彼は白眉道人を倒した虎鶴雙形に勝機を見出し、ひたすら特訓を重ねていく。
そして1度目の挑戦に行くが、飄忽身形という見切り技によって攻撃がまったく当たらない。撤退を余儀なくされた劉家輝は、「飄忽身形の突破にはパワーよりもしなやかな動きが必要」と惠英紅に諭され、女性的な動きの拳法を教わった。
 そこそこ実力を身に付けた劉家輝は、2度目の挑戦でついに飄忽身形を破るも、羅烈にはまだ無敵の防御技・鐵布杉があった。しかも百歩歩けば死ぬという百歩追魂掌を喰らい、倒れてしまうが林輝煌に助けられた。
重傷を負った劉家輝は、林輝煌の主人(実は彼も反朝派)の針治療により回復する。このとき見せられた針の教本を参考に、彼は羅烈を倒す奇想天外な方法を思い付く。そして今…3度目の挑戦が始まった!

▲前作が親子二代に渡るドラマだったのに対し、本作は特訓!リベンジ!はい終わり!という恐ろしくシンプルな構成に変更。そのぶんアクションシーンのレベルが高くなっていました。
また、作品としてはシリアスな復讐劇なんですが(人もわりと死ぬ)、ユニークな演出が多いので殺伐としすぎていません。かと言って雰囲気を壊すようなこともなく、とにかく功夫アクションを見てほしいという羅烈の熱意が感じられます。
 注目の白蓮教主も、傲岸不遜なところは前作の白眉道人と同じです。しかし急所を打てない劉家輝にドヤ顔でレクチャーしたり、入浴していたところを襲われて「貴様ジジイが趣味か!」と口走ったりと、なかなか面白いキャラに進化していました(爆
3度目の挑戦にいたってはコメディに片足を突っ込んでおり、まさかのオチには「それで終わりかい!」と誰しもツッコミを入れることでしょう(まぁ、人によっては拍子抜けに感じるかもしれませんが…)。
 一方、重複しますが功夫アクションはどれも質が高く、オープニングの劉家輝&京柱VS唐偉成から並々ならぬ気合を感じました。羅烈との戦いはどれも趣向を凝らしていますが、前哨戦となるバトルも実に見事です。
1度目の挑戦で王龍威や白蓮教のザコと戦い、2度目の挑戦で召使いの小侯(シャオ・ホウ)らと激突。3度目の挑戦では王龍威を倒し、長刀を振るう召使いコンビに三節鞭で立ち向かっていました。
 その他にも、大勢の敵を相手に舞う惠英紅と楊菁菁のコンビネーションなど、見どころを挙げればキリがありません。前作の重厚さから程遠い内容ですが、功夫映画ファンなら必ずや満足できる作品だと言えます。
…それにしても羅烈、本当にイキイキと楽しそうに演じてましたねぇ(笑


「デブゴンの霊幻刑事(キョンシー・デカ)」
「サモハン・キンポーのオバケだよ!全員集合!!」
原題:霹靂大喇叭
英題:Where's Officer Tuba?
製作:1986年

●香港警察の音楽隊に所属する洪金寶(サモ・ハン・キンポー)は、友人で警官になりたての張學友(ジャッキー・チュン)と2人暮らし。商店の経営者である王祖賢(ジョイ・ウォン)に惚れたりと、ささやかながら平和な日々を送っていた。
そんなある日、彼は敏腕刑事の姜大衛(ジョン・チャン)に頼まれ、会社社長を恐喝する組織との接触を試みることとなる。しかし計画は失敗に終わり、姜大衛は張翼(チャン・イー)と黄正利(ホアン・チェン・リー)に殺されてしまう。
 今わの際に姜大衛から事件解決を託されたサモハンだが、小心者の彼は「そんなの無理に決まってる」と音楽隊へ帰属した。死んでも死にきれない姜大衛は幽霊となって現れ、何度もサモハンにちょっかいを出し続けていく(笑
結局、王祖賢との関係をメチャクチャにされたサモハンは根負けし、張學友と一緒に組織のアジトへ飛び込んでいった。はてさて彼らは悪を倒し、ついでに王祖賢と寄りを戻すことができるのだろうか!?

 サモハンといえば功夫片の印象が強いですが、香港におけるホラー映画の立役者としても知られています。そのキャリアは1980年に大ヒットした監督&主演作『鬼打鬼』から始まり、『霊幻道士』でキョンシーという人気キャラを誕生させました。
しかし彼はキョンシー人気に慢心せず、多種多様なホラー映画を撮り続けたのです。本作もそのうちの1つで、お得意のコメディ・アクションにオカルト要素をドッキング! おなじみの役者たちも方々で顔を出しています。
 作品としては『福星』シリーズと同じパターンで、最初と最後に派手なアクションやスタントを見せ、その間をギャグの数珠繋ぎで持たせていました。まだサモハンに勢いがあったころの作品なので、笑えるシーンも盛りだくさんです。
ただ、王祖賢の家に招待された洪金寶が災難に遭うくだりは、正直言って面白くありません。いくら捜査のためとはいえ、無関係の家族まで巻き込む姜大衛に不快感を覚えてしまうし、最後に復縁するシーンも唐突すぎます(家族も納得してないし…)。

 一方でアクションシーンはサモハン映画らしく、無茶なスタントと格闘戦が用意されていました。先述の通り、主な見せ場は最初と最後に集中していますが、スタントに関しては今回も迫力満点です。
格闘戦についてはサモハンの強さが解りづらく、幽霊がパワーを貸しているのかどうかもボカされているので、釈然としない点が目に付きます。しかし防戦一方ではあるものの、ラストではあの黄正利と念願の初対決を果たしているのだから堪りません!
 この勝負は各所で酷評されており、私も「できれば全力で洪金寶に暴れて欲しかった」という思いがありました。ですが、少なくとも戦いとしてはそれなりに形になっていたし、決してダメな凡戦ではなかったと言えるでしょう。
また、本作が映画初出演だったにも関わらず、演技面やアクションで健闘していた張學友も印象深かったですね。ラストバトルで彼は大ベテランの張翼と戦い、一歩も引かない大立ち回りを繰り広げました(姜大衛VS黄正利というレア対決にも注目!)。
 のちにゴールデンハーベストから離れ、大きな転換期を迎えることになるサモハンですが、その後もホラー映画をいくつか手掛けています。現代劇の『ギャンブリング・ゴースト』、古典ホラーの『鬼喰う鬼』などなど…。
ところが現在は活躍の機会が増えたものの、昔のようなホラー映画は撮っていないようです。はたして彼に大きな成功をもたらしたホラー映画とは、どのような存在だったのでしょうか?


「沈黙の聖戦」
原題:BELLY OF THE BEAST
製作:2003年

▼かつて映画の都ハリウッドにおいて、香港から映画監督や武術指導家などが招集され、映画作りに携わるケースが増加した時期がありました。
最初のピークは90年代に起こり、ジャン=クロード・ヴァン・ダムの主演作を徐克(ツイ・ハーク)や林嶺東(リンゴ・ラム)らが監督。呉宇森(ジョン・ウー)も『ハード・ターゲット』を足掛かりに仕事を重ね、見事に成功をおさめています。
 次のピークは『マトリックス』の興奮も冷めやらぬ00年代で、90年代末期に先んじてハリウッド上陸を果たしていた袁和平(ユエン・ウーピン)や元奎(コリー・ユン)に続き、多くの武術指導家が海を渡りました。
程小東(チン・シウトン)もその流れに同調した1人であり、スティーヴン・セガールの主演作を任されることになります。のちに彼はウーヴェ・ボルの『デス・リベンジ』にも関わっていますが、はてさてその出来は…?

■元CIA捜査官のセガールは、娘のサラ・マルクル・レインが上院議員の娘と共にタイで誘拐されたと聞き、すぐさま現地へ飛んだ。犯人は過激派組織を名乗っているが、そのことに疑問を抱いた彼は独自に捜査を進めていく。
元相棒の文峰(バイロン・マン)、ホステスの盧淑儀(モニカ・ロー)らの協力を得たセガールは、武器商人と過激派の取引現場を襲撃。警察やCIAに制止されるも、娘を救おうとする彼の決意は揺るがなかった。
 事件の裏で糸を引いていた将軍のトム・ウーは、自分に繋がる武器商人らの抹殺を決断した。過激派と面会して真実を確かめたセガールたちは、ここに至って事件の全貌を知ることとなる。
すべては武器密売のマーケットを独占するため…商売敵である過激派をCIAに潰させようとしたトムの陰謀だったのだ。オカマの刺客を倒し、娘が捕らわれている敵の本拠地へと攻め込むセガールたち。だがそこには思いもよらぬ敵が待ち構えていた!

▲製作と原案にセガールが関わっているため、内容的にはいつものセガール作品と変わらない本作ですが、そこに程小東は一石を投じています。
これまでほぼ全てのセガール作品において、ラスボスという存在は主人公に完膚なきまで叩きのめされる“的”であり、互角の勝負などもってのほか。戦うどころか銃弾一発で倒される事も珍しくありません。
 それがセガールの持ち味であるとも言えますが、徹底されすぎてはマンネリを感じてしまいます。そこで本作ではそれなりに強いトムに加え、魔術師というトリッキーな敵を用意したのです。
彼らは弓矢や呪いなどを武器にセガールを追い詰め、結局は足止め程度の効果しかなかったものの、マンネリを打破するのに十分なインパクトを残しました(僧侶の援護なしでは負けていた可能性もあるので、もしかしたら歴代最強の敵かも)。
ところでこの魔術師、呪いの際に蟲を使ったグロい儀式をするのですが、この描写に南洋邪術片の臭いを感じたのは私だけでしょうか(笑

 また、本作は合気道や気功などをベースにしたセガール拳法に、香港流の功夫アクションを加味しています。しかしドッシリと腰を据えて戦うセガールとは相性が悪かったらしく、随所で吹替えスタントが使用されていました。
この吹替えと本人の動きに大きな落差があるため、どうしても違和感を抱かずにはいられません。最後のセガールVSトムでは違和感が最高潮に達し、まるで別々のバトルを繋ぎ合わせたような錯覚さえ感じてしまったほどです。
 とはいえ、当時としてはセガールもかなり機敏に動いているし、いまやセガール作品のセミレギュラーとなった文峰の立ち回りも悪くありません。全体的には質の高い格闘アクションだったと言えるでしょう。
その後、セガールは敵を“的”として扱う路線に戻りましたが、また本作のように違ったアプローチで戦う彼を見たいものです。問題はそれを実現できそうな監督がセガールの周囲にいない事ですが…アイザック・フロレンティーンあたりなら大丈夫かな?


「少林皇帝拳」
原題:爛頭何/鬥智鬥力鬥功夫
英題:Dirty Ho
製作:1979年

▼国内外からの評価が高く、数ある劉家良(ラウ・カーリョン)作品の中でも傑作と称される『少林皇帝拳』。主演の劉家輝(ゴードン・リュウ)と汪禹(ワン・ユー)の見せるアクションはとても見事で、私も数年前に本作を視聴しています。
しかし個人的にどうしても釈然としない部分があり、「面白かったけど後味が悪い」と結論付けていました(理由は後述)。ですが、このほど久方ぶりに視聴してその見識を改めたため、そのへんについても色々と書いてみたいと思います。

■物語は遊女たちをはべらせて遊んでいた汪禹と、宴を開いていた劉家輝が張り合う場面から始まる。実は汪禹は詐欺師で、盗んだ金品で豪遊していたところを役人に詰め寄られるが、劉家輝の取り成しで捕まらずに済んだ。
だがその際、盗んだ金品を劉家輝にちょろまかされてしまい、すったもんだの末に恵まれない村へ寄付されてしまう。激怒した汪禹は彼に掴みかかるも、遊女の惠英紅(ベティ・ウェイ)に阻まれて手傷を負うのだった(←実は劉家輝の仕業)。
 奇妙なことにこの傷がなかなか治らず、再び劉家輝のもとを訪れた汪禹は「私の解毒剤がなければ完治しない」と告げられ、不本意ながら彼に弟子入りすることとなる。
だがその一方で、朝廷の第四皇子が劉家輝の暗殺を目論み、将軍の羅烈(ロー・リェ)に刺客を放つよう命じていた。ある時は利き酒の席に、またある時は骨董品のお披露目に見せかけて、次から次へと刺客が襲いかかってくる。
 劉家輝は汪禹を巻き込むまいと密かに戦うが、最終的には自らが第十一皇子だと明かした。一連の戦いは次期皇帝の座を巡る争いによるもので、負傷した彼を放っておけない汪禹は正式に弟子入りを志願する。
一か月の短期特訓を経て、いよいよ皇位の継承式に向かうこととなった劉家輝と汪禹。果たして彼らは道中に待ち受ける第四皇子の刺客と、最後の関門である羅烈を突破することが出来るのだろうか!?

▲詐欺師が謎の紳士に振り回され、やがて皇族の陰謀に立ち向かうという単純明快な本作ですが、かつての私はラストシーンに疑問を持っていました。
物語の最後で劉家輝は無事に継承式へ出席し、杖を差し出した汪禹を放り出して終劇となります。これが私には命懸けで皇子のために闘い続け、最後まで気を遣った彼を用済みとばかりに捨てたように見えたため、悲惨すぎるラストと解釈していたのです。
しかし皇帝に謁見する場に一般人を連れ込むのは言語道断だし、そもそも今は継承式の真っ最中。劉家輝がお忍びで旅をしていたことがバレる可能性もありますし(笑)、あそこで汪禹が叩き出されたのは至極当然だと言えるでしょう。

 ところでこれは単なる深読みですが、汪禹があの場にとどまっていれば第四皇子に存在を知られ、更なる危険が及んでいたかもしれません(汪禹が一枚噛んでいることを知っているのは羅烈までで、第四皇子はまだ知らない)。
劇中で登場する皇帝は康熙帝で、その第四皇子といえば後の雍正帝…。劉家輝に対する仕打ちが明るみに出れば、継承式の結果も史実と違うものになっていたかもしれず、どちらにしても宮廷内の波乱は必至だったはずです。
 ゆえに劉家輝は汪禹が関わり過ぎること・知り過ぎることを危惧し、だからこそ彼を強引に継承式の場から叩き出したり、黒幕のことを聞こうとした所を何度もいさめていた…とは考えられないでしょうか?
ただ、そうすると唐偉成(ウィルソン・タン)に詰門した際の辻褄が合わなくなりますが…まぁこれはノーカンということで(苦笑

 そんなわけでストーリーは考察の余地があり、冗長さを感じる部分もあったりしますが、ことアクションについては素晴らしいものを作り上げています。
本作で武術指導を受け持った劉家良は、「アクションシーンの複雑化」をとことんまでに追求しており、1つとしてオーソドックスな立ち回りは存在しません。
 まず最初に劉家輝がこっそり汪禹を牽制し、惠英紅を操って功夫の達人に仕立て上げたかと思えば、王龍威や唐偉成と談笑しているように見せながら激闘を展開。追っ手との戦いでは、車椅子に座った状態で刀や槍などを華麗にかわします。
ラストでは2対3の決闘となり、片足の劉家輝に支援を受ける半人前の汪禹と、連係攻撃で迫る羅烈チームによる複雑化を極めたバトルが展開されていました(ただしこの立ち回りは複雑化が行き過ぎていて、スピード感が削がれていた感があります)。
単なる腕比べに終わらない功夫アクションが、最初から最後まで堪能できるなかなかの良作。ちなみに史実の第十一皇子こと胤[示茲]は11歳で病死しており、本作で劉家輝が演じた勤親王というキャラクターは架空の存在と思われます。


「ローグ アサシン」
原題:War/Rogue Assassin
中文題:玩命對戰/搏激戰
製作:2007年

●FBI捜査官のジェイソン・ステイサムテリー・チェンは、捜査の過程で伝説的な殺し屋“ローグ”と接触。一度は射殺したかに見えたが、生きていた“ローグ”によってテリーとその家族が皆殺しにされてしまう。
それから3年後、ヤクザ街のクラブ襲撃事件で再び“ローグ”の存在が浮上した。復讐の鬼と化したジェイソンは、仲間たちと共に“ローグ”=李連杰(ジェット・リー)を追うこととなる。
 一方、街ではアメリカ進出を企む石橋凌率いるヤクザと、尊龍(ジョン・ローン)が指揮するトライアッドとの抗争が激化していた。2つの組織は馬の彫像を巡って対立しており、李連杰は尊龍のもとで黙々と任務をこなしていく。
ところが彼は2つの組織を潰し合うよう仕向け、まず最初にトライアッドを撃破。返す刀で自分の本当の雇い主だったヤクザも崩壊させた。“ローグ”の意外すぎる正体が明かされる中、ついに戦いは最終局面を迎える…!

 本作は『ザ・ワン』で直接対決の機会を逃した李連杰とジェイソンが、6年越しのガチンコ勝負を実現させた注目の一品です。ただし巷での評判はあまり宜しくなく、実際の作品も粗の多いものとなっていました。
まず日本にまつわる描写が例によってトンチキだし、ストーリー自体もあってないようなもの。“ローグ”の正体も色々と無理がありますが(そもそも検死の時点でバレるんじゃ…)、個人的には許容範囲内でした。
 しかし問題なのがオチとそこに至るまでの展開で、決着が付く前にダラダラとエピローグ的なシーンを見せられるため、肝心のラストバトルが蛇足に見えてしまっています。
そのラストバトルにしても、終わり方があまりにも呆気なさすぎて釈然としません。せめてラストバトル→エピローグ→最後に走り去る映像でENDという順番なら、描写が足りなくても形にはなったと思うのですが…。

 期待していた格闘シーンも非常に少なく、ジェイソンに至っては立ち回るのが後半からという焦らしっぷり。対する李連杰もあまり闘わず、銃撃戦ばかりが続くので非常にヤキモキさせられます。
本格的な見どころはクライマックスからですが、李連杰VSケイン・コスギは速攻で終わってしまうし、肝心の李連杰VSジェイソンも徒手格闘が少ないので中途半端な印象を受けました(日本刀を使った李連杰VS石橋だけはそれなりに良し)。
 また、いかにも強そうだったデヴォン青木が一向に動かず、肉弾戦が得意と言っていたジェイソンの相棒が何の見せ場もなく死ぬなど、アクションシーンでも描写の不徹底ぶりが見受けられます。
キャストや人物造形など、素材は良いのにそれを生かせなかった作品の典型。のちに李連杰とジェイソンは『エクスペンダブル』で再共演し、見事なアクションと存在感を発揮していましたが、もう一度だけ2人が戦う作品を見てみたいですね。