
黒[王攵]瑰
CRISIS
1984
●父親の残した謎の遺産を巡って、陰謀に巻き込まれた陸小芬ら3姉妹の物語である。低予算な作りで製作年度から見ても納得いかないものがあるが、火曜サスペンス劇場的なヒネッた物語りはなんとなく引き込まれるものがあった(ややこしいとも言う)。
倉田さんは遺産を狙う組織の真のボスとして後半あたりに登場するが、アクションを見せるのは本当にラストだけ。しかしファン赤面の倉田さんディープキスシーンがあったり(爆)、足を掛けてコンテナの間を上ったり、陸小芬の仲間の探偵とマラソンバトルを繰り広げたりと、少ない登場時間の中で印象に残る場面を残している。
ただ、繰り返すが本作はショボいしかなり地味だ。倉田さんVS探偵の脇で展開される、宙返りだけが特技の助っ人VSネックレスを武器にするおばちゃんの戦いはスゴくしょぼい。監督は金銘(トミー・リー)なので武術指導も彼が担当したかと思われるが、『勾魂針奪命拳』で披露した唸るような迫力がすっかり失せていたのがショックだった(これは功夫猛者が倉田さん以外メインキャストにほとんどいなかったせいかもしれない)。
金銘は監督としては『レディ・ニンジャ2 夜霧の忍び凧』といった珍作も製作しているので、監督としての腕はマズマズといったところのようだ。彼が主に活躍していたのは70年代全般で、それ以後は本作のような作品に関わるも、結局は80年代以降に数本の映画へ関与した後は消えてしまっている。やはりここらへんの功夫猛者たちは現代劇へ移り変わろうとするカンフー映画に乗り遅れてしまったのだろうか…。
その他にも、その『レディ・ニンジャ2』や『勾魂針奪命拳』でも金銘と組んでいた王道もかなり勿体無い扱いの役だし、倉田さん自体も登場シーンは少ないので目当てにしている人は注意。

「逆襲!!少林寺必殺拳」
河南嵩山少林寺/河南嵩扎少林寺/少林金剛経
Shaolin Kung Fu/Shaolin Temple Strikes Back
Strikes Back Shaolin Temple/Shaolin Temple 4
1983
●本作は李連杰の『少林寺』大ヒットに便乗して製作された少林寺映画である。
この手の少林寺フォロワー作品はいくつか種類があり、まず1つは李連杰のように大陸にゴロゴロいる武術チャンプを引っ張り出して製作したもの(『八百羅漢』『南拳王』などがこちら)。もう1つはそれっぽくあつらえただけで本物の武術家は出ていない便乗作品だ。
本作はどちらかというと後者の作品で、主演は同じ『少林寺』フォロワー作品である『少林寺十三棍僧』などに出演している陳建昌。物語は明王朝の姫を清の追っ手から守るために少林寺へ入門した陳建昌が、仲間たちと共に邪悪な兄弟(リーダー格が台湾功夫映画おなじみの悪役俳優・常山)と対決していくという話である。
だが、それぞれの場面がちぐはぐで統一性に欠けているのが欠点だ。キャラクターは魅力的(既婚者の少林僧、四人の弟が悪の道に走ってしまった師範の龍冠武(マーク・ロン)など個性的)だったが、それらが今一歩生かしきれていないのだ。それに唐突に陳建昌がスポーツ刈り(少林僧になったはずなのに微妙に頭髪が生えている)になっている場面があったりと、なにやらきな臭い匂いがプンプンするのだが…。
それもそのはず、実は本作の監督は郭南宏(ジョセフ・クオ)である。彼は自分の作品をよく再編集する事があり、あの『少林寺への道』もかなりツギハギしまくって製作したといわれている。この映画は日本でもタイトル化されており、私が見たのはこのバージョンだ。スポーツ刈りの陳建昌のシーンが示すように、国内版は再編集作品の可能性が高いと想われる。
アクションのほうは徐忠信が武術指導に加わっているのでそれなりに見られるが、完成度という点では少し満足できない面がある。それと、この作品には一応徐忠信や、陳木川やあの張堅庭(アルフレッド・チェン)が出演している…らしい。まだ私が彼らの顔を詳しく知らないのもあるが、本作では登場人物のほぼ80%が少林僧なので、オール坊主頭の中からそれらの面々を見分けるのが困難なのだ(爆
まだまだ私も勉強不足みたいです。

新精武門
Return of Fist of Fury
19??(1978以降?)
●(※…上記画像は本作を収録したDVDパックです)
このまえ私は『Fists Of Fury Legacy Pack』というDVDを購入した。このDVDにはバッタもん李小龍作品が4つも収められており、内容は以前レビューした呂小龍の『達魔鐵指功』と『火燒少林門』、何宗道の『截拳鷹爪功』ともう一本という、かなりクラクラするラインナップだ(爆
で、問題なのが最後に収録されている『Return of Fist of Fury』という作品だ。実は『Return of Fist of Fury』というタイトルは『達魔鐵指功』の英題でもあり、蓋を開けてみるまでダブリ収録しているのかと思っていた。だが、実際に見てみるとこの作品はまったく正体不明の映画であることが解った。
というのも、ネットでどんなに検索しようが主演:ブルース・パクと監督:ジョセフ・ヴァルサコということ以外は全然引っ掛からず、出てくるのは『達魔鐵指功』の事ばかり。内容からして韓国映画のようだが、これまた知っている顔はほとんどいないという有様だ。こうなってくるともうお手上げ状態であるが、とにかく解らないなりに話を追ってみることにした。
寒そうな韓国の山奥(『地獄十二関門』のオープニングに出てくるあの岩場)から物語が始まる。岩をも一撃で砕く拳法の達人であるパクさんは、いきなり「ブラザー!」と叫ぶ。チラチラと回想シーンが挿入されているが、ここで写っている滝の前で演舞をしてるのがブラザーか?…ってこのブラザー、良く見たら呂小龍じゃないか!?
話を追っていくうちに、どうやらこの映画は先に紹介した『達魔鐵指功』『火燒少林門』の続編(!)だという事が解った。龍八さんの情報によると、本作の主演は白虎という人で、作品自体もれっきとした韓国映画だという。しかし李小龍作品で勝手に作った続編とかならよくあるが、よりによって呂小龍作品の続編を作るなんて何を考えているんだ!しかもご丁寧に李康助まで出てるし!
特に理由は不明だが、本作はブラザーの呂小龍を殺されたパクさんと日本軍&日本人武術家(服装はおもいっきり韓国系だが、下着はふんどし…ただし普通のふんどしではなく、相撲取りがしているようなふんどし)との戦いを主軸として進んでいく。
解らない事だらけの本作で唯一救いがあったとすれば、それは劇中のアクションが意外に悪くなかった事だろう。韓国作品なのでテコンドーアクション一辺倒かと思いきや、香港映画系に近い立ち回りでなかなか見せてくれる。繋ぎのアクションの弱さが目に付くが、この手の作品でここまでできていれば十分だろう。
さて、こうして幕を閉じた呂小龍の精武門物語だが、李小龍はどれぐらい兄弟がいたのだろうか?『截拳鷹爪功』では何宗道と韓國材、このシリーズでは呂小龍と白虎が李小龍の弟という設定だった。同門の兄弟弟子ならいざしらず、陳真の家系はいったいどうなっているんだと言いたくなるような兄弟ばかりだ。巨龍も『最後の精武門』なんて作品を制作していることだし、これからもまた李小龍の弟たちと出会っていくことになるかと思われます(爆

火燒少林門
Bruce And Shaolin Kung Fu 2/Bruce And The Shaolin Fist
Ching Wu and Shaolin Kung Fu 2/The School of the Jung-mu Fighting Technique
Return of Red Tiger
1978(1980?)
●前回言及したとおり、本作は『達魔鐵指功』の続編である。バッタもん作品の続編が作られるというあたり、呂小龍のバイタリティーが感じられて興味深い…訳が無いのだが(爆
ところで海外データベースを覗いてみると、驚いたことに本作の監督は前作にも登場した南宮勳(ナン・ゴンクン)とのこと。キャストは前作に引き続いて日本軍の将軍に裴壽千、刺客にまたもや江島、その他韓国勢も奮闘している。
前作でハチの巣にされて完全に死んだと思われた呂小龍だが、しつこくも呂小龍は生きていた。一方で裴壽千は仕留めそこなった呂小龍を倒すべく、怒りの炎を燃やしていた。なんだかこれだと『ドラゴン怒りの鉄拳』じゃなくて『裴壽千・怒りの鉄拳』というタイトルのほうがいいんじゃ…(笑
呂小龍が匿われていたのは韓鷹(イーグル・ハン…『少林酔八拳』で劉家輝と闘った人)のところだった。裴壽千は江島(前作とは別の役)らに呂小龍の始末を申し付ける。ここからはほとんど前作と同じ流れで、呂小龍は脱出するが韓鷹は殺され、江島と因縁のある別の師匠(李康助)に匿われて修行するところまで同じだ。違うのはきちっと呂小龍が裴壽千と決着を付ける事であるが、結果は相打ちに終わっていた。さすがにあれで生きていたら呂小龍はしつこすぎると製作側も判断したものと思われる(苦笑
しかし、作中呂小龍を庇うのは前作も含めると相当数に上る。陳星・南宮勳とその娘の金正蘭・韓鷹とその娘・李康助とその仲間たちと、少なくとも6人以上が協力しているが、そもそも何故にここまで命をかけて呂小龍なんかを守ろうとするのかが甚だ疑問だ。呂小龍は李小龍の弟役のようだが、李小龍がそれほど人望の厚い人物だったということなのだろうか。つくづく李小龍様々といった感じの呂小龍である。
アクションのほうはまあまあで、今回はテコンドー系の人材も増えたということで足技の多い殺陣になっている。個人的に気になったのは韓鷹で、前半のみの登場だがその足技はインパクト十分のもの。黄正利みたいなテコンダーが韓国には大勢いるということが垣間見えるワンシーンである。まあそれ以外はバッタもん作品としてはいつもの如く、呂小龍のアクションには特に見るべきポイントもありませんでしたが…(前作で会得しているはずの鐵指功を使わなかったのは何故?)。
しかし、江島はこれでバッタもん李小龍の御三家とは全員闘ったということになりますね。『風拳鬼手への道』では何宗道と、『一拳一笑』では巨龍と、そして本作で呂小龍と…もとは『少林五祖』などに出演していたショウブラスターだったんですが、後年はこういったアンダーワールドな仕事が増えていったようでいかんともしがたいところです。バッタもん作品での江島を語るなら『クローン人間ブルース・リー/怒りのスリードラゴン』も無視できないですが、こちらは国内版が未だに見つからないので視聴に至ってはいません(涙
ところで本作でついにその息の根が止まった呂小龍ですが、これにてシリーズも終幕です。いやぁ長かったなぁ…と、思いきや?!

達魔鐵指功
Bruce and Shaolin Kung Fu/Bruce Vs. Black Dragon/Ching Wu and Shaolin Kung Fu
1978
●呂小龍(ブルース・リ)主演の、例によってとんでもない作品だ(爆
本作は『ドラゴン怒りの鉄拳』の後日談的作品で、これまでにも同系列の作品は何宗道の『截拳鷹爪功』などを紹介している。作品自体のハチャメチャ具合は『截拳鷹爪功』とあまり変わりの無い本作であるが、決定的に違うのは本作が韓国映画ということである。
それを裏付ける証拠は、作中の舞台が全編に渡って韓国ロケであることが示している。もし単に韓国ロケをした香港映画であるのなら、冒頭の上海でのシーンをわざわざ韓国で取る必要性が無く(どう見てもあの場面は韓国)、出演者も陳星(チェン・シン)・江島・楊斯(ヤン・スェ)・張力と香港勢が大挙して登場しているが、その他に韓国系のスターである金正蘭(クム・チンラン)と南宮勳(ナン・ゴンクン)の参加が確認できる。
内容は兄である李小龍が死に、呂小龍が仇討ち(橋本力の上司か?)をするところから始まる。激闘の末に日本軍のお偉いさんを倒した呂小龍だが、そのお偉いさんは盟友である日本軍将校・裴壽千のもとで切腹して果ててしまう。怒りに震える裴壽千はただちに呂小龍の捜索を開始。呂小龍の師匠で鐵指功の名人である陳星は呂小龍をなぜか韓国に脱出させるが、そこへやって来た日本軍の江島と楊斯のジェットストリームアタック(笑)に破れてしまう。
韓国へ来た呂小龍は陳星と同じ鐵指功の名手である南宮勳のもとに身を寄せた。その娘の金正蘭となんとなくいい感じになっているのは流石だが、裴壽千が放った江島たち刺客が「呂小龍を引き渡せ!」と南宮勳の元へ襲撃に現れた。
南宮勳は一命を取り留めるものの、呂小龍と金正蘭は復讐のために楊斯を襲った。飛び道具を使いまくる極悪ファイトで楊斯を仕留めた(爆)呂小龍たちは、続いて韓国入りした裴壽千のもとに潜入。変装して潜り込んでいた金正蘭の正体がバレてピンチに陥るも、呂小龍が救援に現れる。次に張力も到着するが、ものの5秒もしないうちに江島に刺されて死んでしまった(爆笑
負傷した金正蘭をほったらかして江島を追う呂小龍。中途半端なマラソンバトルを呂小龍が制するが、そこに大勢の兵士を引き連れて裴壽千がやって来た。裴壽千は新たに白髪のジジイ2人を用心棒として連れてきたが、これも呂小龍に撃破される。
「俺達は東亜病夫じゃない!」とかなんとかもっともらしい事を言い残して去っていく呂小龍…だが、仲間の未練が断ち切れなかった裴壽千が一斉射撃!ハチの巣にされる呂小龍を映して本作は幕を閉じる。
物語のヒドさは『截拳鷹爪功』とタメを張るが、いまいちアクションにはキレが無く、せっかくの陳星などの人員も宝の持ち腐れ状態と化している。巨龍(ドラゴン・リー)作品のようにテコンドー系のアクションではなく、香港映画の縮小コピーといった感じの殺陣で派手さは微塵も無い。ハッキリ言ってかなりの駄作なのだが、驚くべき事に本作には続編が存在している…っていうか、あのラストで生きてるのかよ!と言いたくもなるが、その作品は『火燒少林門』!こちらも追ってレビューを予定してます。