続・功夫電影専科 -113ページ目

続・功夫電影専科

香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。


偸情/火爺/城市忍者
英題:108 Golden Killers/City Ninja/Ninja Holocaust/Rocky's Love Affairs
制作:1985年(88年?)

▼通算7回目となる『Martial Arts 50 Movie Pack』在庫セールですが…皆さん着いてこれてますか?(爆
こうして特集として紹介こそしていますが、要するに見る予定の無かったクズ作品を無理矢理取り上げているだけのものなので、そのラインナップも非常につまらないものばかり。はっきり言って紹介している私のほうがギブアップしそうなので(苦笑)残る未レビュー作のうち、黒人映画の『喧嘩プロフェッショナル』、『The Black Godfather』、『忍者ジョン&マックス』2本と『ブラックコブラ』三部作は除外。残りの作品と『必殺鉄指拳』でラストにしたいと思いますので、除外したものに関しましては、どうしても見たいという物好きな人だけ見て下さい…(疲)。

■本作はもともと[上下]薩伐(カサノバ・ウォン)主演作だったものが、新たに[上下]薩伐主役版と陳惠敏(チャーリー・チャン)主役版のそれぞれに編集されたという、紆余曲折を経た作品である事は皆さんも周知の事実。今まで散々な作品ばかり紹介してきたが、今回はそのラインナップの中でも最も散々な作品である。
1940年。謎の外人ジョン・レズウィックは、秘宝のありかが記されたネックレス狙うニンジャに狙われていた。ニンジャの猛攻にフラフラのジョンは、なぜか通りすがりのオッサンにネックレスを託した。この場面を筆頭に、本作でニンジャが出てくる場面は全て追加撮影されたシーンだが、フィルマークやIFD以外の新撮ニンジャというのも珍しい(本作の製作は第一影業)。
一転、時代は1985年へ。キックボクシングのチャンピオンである陳惠敏は栄光と名誉に酔いしれていた。その陳惠敏の試合を主催したプロモーターがなぜかネックレスを持っているらしく、そのネックレスを巡って争奪戦が繰り広げられるのだった…と、話の筋はこれだけだ。

▲作中の功夫アクションは、陳惠敏も[上下]薩伐もキレのいいファイトを繰り広げている。前者では陳惠敏VSジョン・ラダルスキー、後者では[上下]薩伐VS韓鷹(イーグル・ハン)という珠玉の顔合わせによるバトルを見ることができ、ラストの陳惠敏VS[上下]薩伐もなかなか壮絶。功夫アクションだけを評価するなら、佳作と言っても差し支え無いだろう。
しかし致命的な事に、本作はお色気シーンの数々がかなり鬱陶しく、ただでさえ追加撮影であやふやな本作を完全に崩壊たらしめている。ストーリーの繋ぎは全て功夫アクションかベッドシーンという有様で、ドラマ性など二の次と言わんばかりにサービスカットが挿入されまくる。陳惠敏も[上下]薩伐も、オヤジ臭がこっちまで漂ってきそうな濃い絡みを作中で何度も展開し、さながら2人によるセックス合戦の様相を呈しているのだ(萎
ニンジャ、濃厚なエロス、功夫アクション、そして破綻しまくったストーリー…構成する要素こそ同じではあるが、フィルマーク作品とは違ったベクトルで疲れる一本。多分これまでの在庫セールで紹介した中では一番見るのがしんどかった作品だと思うが、功夫アクションは一見の価値ありなので、そちらだけ見れば十分かと。


The Impossible Kid
制作:1982年

●(※…画像は本作を収録したDVDパックのものです)
『Martial Arts 50 Movie Pack』在庫セールも6回目となると、いよいよ功夫片も底を突いてきたところですが(苦笑)今回は一風変わったフィリピン映画の紹介です。

 本作で主演を務めたのはウェン・ウェンという方で、身長83cmの○人さんです。かつて世界一背の低い俳優としてギネスに記載された事もあり、フィリピンでは結構な人気を誇った大スターだった人でした。
ですが、残念なことに彼は1992年に34歳の若さでこの世を去っています。本作は、そんな彼の看板シリーズであったスパイアクション「エージェント00(Agent 00)」の一編。同シリーズの『For Your Height Only』では、『激突!ドラゴン稲妻の対決』のトニー・フェラーと共演しているそうです。

 インターポール捜査官のウェンは、上官からテロ組織壊滅を依頼される。首領は白い覆面を被った謎の男、ミスターXだ。犯行声明を各所に送っているミスターX…具体的にどんな悪い事をしているのか良く解らないが(笑)、テロリストなら放っておくわけにはいかない。
ウェン捜査官とその仲間たちは組織の幹部たちと熾烈な戦いを続けるが、その裏にはさらに大きな陰謀の影が渦巻いていた…。

…という感じの話ですが、本作の見どころはウェン・ウェン氏そのものにあります。彼はその体格ゆえにスタントダブルが使えないため、作中でのアクションはほぼ全て吹替え無しで演じています(ちなみに格闘シーンでは、身長差の都合で攻撃がほとんど金的オンリー・笑)。
また、彼にとって背の低さは弱点ではなく、逆に武器として活用しまくっている点も実にユニークでした。大人では隠れられないような場所に隠れたり、体格を生かして堂々と敵地に侵入したりするなど、ハンディキャップを逆用した際どいアクションも見せ場の1つといえるでしょう。

 作品としては、巨悪を追うウェン氏が七つ道具で困難に立ち向かい、エロいねーちゃんの裸も出てくる凡庸な『007』系のスパイ映画でしかありません。良くも悪くもまったり気味の作風、一本調子のBGM、なぜか異様にモテモテのウェン氏など、おかしな箇所もいくつかあります。
というか、少なくとも功夫映画や格闘映画と同列に語るには無理がありすぎる本作ですが、ここから先の『Martial Arts 50 Movie Pack』在庫セールも更にレビューしづらい映画が待ち構えているはずなので、そこらへんはご容赦のほどをお願いします(爆


七靈寶塔/寶塔侠女劫
英題:Seven Spirit Pagoda/Shaolin Temple
制作:1976年

▼(※…画像は本作を収録したDVDパックのものです)
さて、『Martial Arts 50 Movie Pack』在庫セールもこれで5回目。駄作が三本も続いて辛かったが、『人虎戀』のインパクトでなんとかこちらも持ち直しました。今度は台湾の女ドラゴンが活躍する作品なのだが…ああ、やっと普通の作品が紹介できそうで、なんだかホッとします(苦笑

■宴を催していた皇帝・王宇の元に、革命を目論んで鐵孟秋が川原ら軍団を率いて現れた。王宇を筆頭に王族は次々と死に、残された皇子の林光曽は「私の仇を討っておくれ」という王宇の最後の言葉を深く胸に刻んだ。皇帝の死によって政権は鐵孟秋の手へ移り、林光曽は護衛の剣士である聞江龍と共に決死の脱出を試みた。追っ手の川原に見つかり、攻撃を受けた林光曽は毒刃を受けて半死半生だ。同じく毒刃を受けた聞江龍は「後の事は2人の娘に任せる」と、死を賭して敵の足止めに残った。
聞江龍を失いながらも逃避行を続ける一行だが、毒の影響で林光曽はパーになってしまう。このままでは頭どころか命さえも危ない…一行は聞江龍の言っていた徐楓(シー・ファン)と嘉凌(ジュディ・リー)の2人にやっとこさ合流。徐楓は林光曽を治そうと解毒剤のある少林寺の塔にチャレンジし、嘉凌は護衛と共に林光曽を懸命に守り続けた。
少林寺版死亡遊戯を突破した徐楓だが、林光曽を守っていた護衛と嘉凌は川原の猛攻によって大打撃を受けていた。川原はなんとか倒すものの、最後まで闘っていた嘉凌は死んでしまう。最後に残ったのは徐楓と解毒剤で復活した林光曽のみ。鐵孟秋を討つべく、2人は敵の中心へと飛び込む!

▲なんとか盛り上げようと頑張っているのは解るが、どう見ても本作はバリバリの低予算作品だ。背景が思いっきり絵だったり、王の宴なのに出席者が少なかったりと、気になる点もチラホラしている。だが本作の製作者たちは、そんなネガティブな状況に負けることなく、どうにか派手に面白く見せてやろうと最大限の努力を惜しまなかったのだ。
特に「これは」と思ったのは、徐楓と嘉凌の扱いである。物語前半は彼女たちの出番が全く無く、おまけに登場したと思ったらすぐに別行動をとり、再会したらすぐに嘉凌は死亡してしまう。主演というにはちょっと疑問符の付く扱われ方だ。だがここで主役2人を別行動にしたのは、製作側がスターである2人を長く拘束することが困難だったための措置と思われる。苦肉の策とはいえ、双方にそれぞれ見せ場を持ってきている辺りは上手い演出であり、ここらへんの工夫は上手である。
結局、作品自体はそれほど面白いものにはならなかったが、製作者の努力だけは垣間見られる作品に仕上がっている。ラストに功夫アクションを持ってこない演出を、斬新と取るか不満と取るかで、本作の評価は大きく変わってくることだろう。


人虎戀/虎姑婆
英題:Tiger Love/Tiger's Love/The Tiger Love/Tiger's Kong Fu
制作:1977年

▼(※…画像は本作を収録したDVDパックのものです)
『50Movie Pack Martial Arts』在庫セールも今回で第4弾。さすがにクズ映画レビュー3連続は避けたいところなので(苦笑)、今回は久々に功夫片の紹介である。監督である金翁の監督作は、同じ『Martial Arts 50 Movie Pack』に収録されていた『猴[馬付]馬』『闖王李自成』に続いて三本目となるのだが、今回も金翁らしく一筋縄ではいかない内容になっている。
…ところで金翁、もしかして動物マニアか?(後述)

■冒頭、羅烈と胡錦が王侠の一団に追われている場面から本作は幕を開ける。実はこの2人はロミオとジュリエットな関係で、双方の家が対立関係にあったのだ(それにしても嫌なロミオとジュリエットだ・笑)。胡錦家の王侠によって羅烈を殺された胡錦は投身自殺をしてしまうが、実は羅烈は生きていた。そして身を投げた胡錦の元には一頭の虎が…?
虎によって助けられた胡錦は、それから虎と一緒に生活を始めた。もとから身篭っていた子供も生まれ…あれ?これって『猴[馬付]馬』とまんま同じじゃないか?ともあれ、生まれた子供はあっという間に虎拳使いの董[王韋](トン・ワイ)へと成長。一人前になった董[王韋]に、胡錦はこれまでのいきさつを明かした。
話を聞いて父のことが気になった董[王韋]は街へと繰り出し、そこで偶然にも羅烈と出会う。長い時を経て再会を果たした胡錦に羅烈は優しく声をかけるが、胡錦はどうにも複雑そうだ。一方、王侠と虎狩りに来ていた娘の夏之夢は董[王韋]と遭遇するが、どうやら董[王韋]は夏之夢を気に入った様子。強引なアプローチで夏之夢の心を射止めるが、夏之夢に横恋慕していた王侠の手の者と争いになり、人を殺してしまった事で話は大事になってしまう。
羅烈は董[王韋]を勘当して追い出したが、怒りの王侠はこれを機に羅烈たちを潰そうと画策。羅烈は果敢に立ち向かったが、結局は多勢に無勢で全滅を喫してしまった。董[王韋]は復讐に立ち上がるも、その戦力差から一時撤退。死に際の側近から話を聞いた胡錦は王侠のところへ仇討ちに向かうが、王侠にやられて?(描写が無いので不明)彼女までもが死んでしまう。
一族の仇を討つことを誓った董[王韋]…だが、その側で胡錦が息を引き取る瞬間を見ていた虎もまた復讐心に燃えていた。怨念に駆られた虎は王侠の一族を根絶やしにしてしまおうと発起し、化け物に変身して(!!?)復讐を開始した。虎が相手ではさすがの王侠でさえもあっという間に瞬殺。しかも虎は王侠を倒しただけでは飽き足らず、夏之夢たちまでも殺そうと暴れまわった。董[王韋]が止めようとするが、果たして2人の運命は…?

▲本作は金洋影業の製作だが、この金洋影業は『猴[馬付]馬』や『闖王李自成』など金翁の監督作ばかり手がけている。
どうやら金洋影業は金翁の会社だった可能性が高いが、そもそもこの金翁という人の作品には動物にゆかりのある物が幾つもある。『猴[馬付]馬』ではチンパンジーとお姫様が結婚する素っ頓狂な作品だし、他にも『狼女』『蛇魔女』といった動物系と思しき作品も存在する。そして今回はそんな彼の動物路線の最終形態ともいえる作品なのだが…以前、何宗道の『蛇女慾潮』を「トチ狂った作品」と形容したが、本作も同様にかなりトチ狂った作品だったのだ!(爆
『蛇女慾潮』は物語自体は結構まともだったが、設定が珍妙過ぎて怪作と化した作品だった。だが本作の場合は、物語そのものの時点から既に狂っているのだから堪らない。最初こそ『猴[馬付]馬』と同じパターンの物語かと思いきや、話の方向はどんどん明後日明々後日の方向へと突っ走り、最後にはホラー&モンスターパニックと化していく。いくら香港映画がなんでもありとはいえ、いくらなんでもこれはムチャクチャ。作品の出来を論じる以前に、製作者が正気だったのかと論じたい作品である(笑
それにしても、どうして『Martial Arts 50 Movie Pack』はこんな凄まじい作品を収録したのだろうか?『鬼面忍者』の件もあるが、向こうの人たちの選定基準がとても気になります。


「リトル・ドラゴン」
「カラテキッド・ドラゴン」
原題:KARATE KIDS USA/THE LITTLE DRAGONS
製作:1980年

●クリス・ピーターセンとパット・ピーターセンは、共に道場で空手を学んでいる兄弟だ。2人は祖父のチャールズ・レインとサマーキャンプに来て、ひょんなことからお嬢様のサリー・バイデンと知り合った。出会ってすぐに仲良くなった3人だったが、身代金目的の誘拐犯(ちょっと『ホームアローン』風)によってサリーが捕まってしまう。
誘拐犯を追いかけたクリスは、サリーが炭鉱跡に幽閉されるところを目撃。朝になってパットとサリーの救出へと向かうものの、大穴に阻まれて救出ができない。警察を呼んで炭鉱跡に戻ったクリスだが、見張りに残してきたパット共々サリーは姿を消してしまっていた。実は炭鉱の中には秘密の抜け道があり、誘拐犯たちはそれを利用したのだ。抜け道の存在に気付いたクリスとチャールズは、遂に誘拐犯のアジトを発見。身代金受け渡しの時刻が迫る中、クリスはある賭けに打って出る!
『Martial Arts 50 Movie Pack』在庫セール第3弾は、このいかにも『ベスト・キッド』をパクっていそうなタイトルの作品の紹介だ。とはいえ、作品の制作年代を見ると『ベスト・キッド』どころではない古い作品であることが一目瞭然。なのでこちらも『ヘッドハンター』『四大天王』同様に全く期待しないで見ていましたが…案の定、その予想は的中してしまいました(涙
本作も『サイボーグ・ウェポン』のように「看板に偽りあり」な作品である。カラテとかドラゴンとかタイトルに付いてるが、ラスト以外はこれといった格闘シーンは無し。主役の兄弟が空手を習っている設定こそあれど、いつも空手の胴着を着ているだけでアクションそのものは存在していない(キッズ向け作品なので仕方が無い向きもあるかもしれないが…)。
ま、本作は古いマーシャルアーツ映画の部類に入る作品なので無理は言えないところなのだが、それ以前に気になる部分も多々あった。まず本作には、『ホームアローン』のようにビジュアルで見せるようなギャグも無ければ、前述したように格闘描写も少ない。ただ単に筋書き通りに物語が進行していくだけで、一切の味付けが無いという、非常に簡素な作品なのだ。洗練されていない古い作品とはいえど、この物語の薄さはどうにかならなかったのだろうか?
空手の師範役で本家『ベスト・キッド』にも参加したパット・ジョンソンが出演していたり(彼は本作の空手指導も担当)、クリスの男気を見込んで協力してくれる暴走族の一団など、見どころが無いわけでもない。しかし要約すると典型的な"ひと夏の冒険"的な物語であり、格闘アクションを期待しているとエラい目にあうのでご注意の程を。