
「ラスト・ブラッド/修羅を追え」
原題:驚天十二小時/驚天12小時
英題:The Last Blood/Hard Boiled 2/Twelve Hours to Die
製作:1991年
▼90年代の香港映画界では、新進気鋭の作家たちによるオシャレ系作品の台頭、ワイヤーアクションの発展と普及、エキセントリックな三級片の流行など、様々な動きが起こっていました。この潮流は日本にも波及し、様々な香港映画レーベルを生み出すことになります。
フナイが発表した「闘龍」は、その名の通りアクション活劇を中心に展開したシリーズです。このレーベルからは極悪動作片の『群狼大戦』、クライムアクションの『城市特警』『九龍大捜査線』、劉華(アンディ・ラウ)の主演作などが発売されました。
とりわけ劉華作品が充実しており、以前当ブログで紹介した『仁義なき抗争』をはじめ、『獅子よ眠れ』『暗黒英雄伝』『蒼き獣たち』といった名だたるタイトルがリリースされています。
ご覧のようにハードなアクション作品ばかりですが、今回取り上げる『ラスト・ブラッド/修羅を追え』も、アクションに次ぐアクションで彩られた作品です。
■シンガポールに訪れるラマ教の指導者を抹殺すべく、日本のテロリスト集団が動き出した。国際警察の譚詠麟(アラン・タム)は、仲間の梁家仁(リャン・カーヤン)とともに暗殺計画の阻止に乗り出していく。
しかし、突然の奇襲によって指導者は銃弾を受け、観光でシンガポールに来ていた羅美薇(メイ・ロー)も撃たれてしまう。すぐに2人は病院へ担ぎ込まれたが、奇遇にも両者は同じ希少な血液型であることが判明した。
一刻も早く輸血をしなければ2人の命が危ない!国内にいる血液型保有者を求めて、譚詠麟たちは決死の捜索を開始する。一方、羅美薇の恋人である劉華もまた、警察の態度に業を煮やして単独行動を取っていた。
日本人テロリストの妨害が飛び交う中、譚詠麟と劉華は血液型保有者である曾志偉(エリック・ツァン)と接触。彼を病院に連れて行こうとするが、それは更なる死闘の始まりを意味していた…。
▲本作はスリリングなアクションが炸裂しまくる、まさにジェットコースターのような作品でした。ストーリーは冷静に考えるとかなりぶっ飛んでるんですが(笑)、監督を務めた王晶(バリー・ウォン)の勢い任せな演出が功を奏し、なかなかの快作に仕上がっています。
まず面白いのがアクションシーンの数々です。本作のアクションは銃撃戦やカーチェイスが主体なのですが、動作設計を担当した柯受良(ブラッキー・コー)の手によって、豪快なスタントがこれでもかと展開されています。
クライマックスでは病院の中を車が突っ走り、重火器が火を噴くド派手な最終決戦が勃発。テロリストのリーダーを演じた秦豪(『九龍帝王』でも劉華と対決)が見せるブチキレ演技と相まって、異様な迫力に満ち溢れていました。
また、基本的に本作はシリアスな雰囲気で統一されていますが、明るいシーンも多いので息苦しくなる事はありません。王晶作品にありがちなゴチャ混ぜ感も薄く、散漫な印象を受けないのも本作の強みと言えるでしょう。
後半で一気に奈落の底へ突き落とされる曾志偉、裏切り者を倒した際に血涙を流しているように見える譚詠麟など、印象的なシークエンスも多い本作。格闘戦が極端に少なく、ラストバトルは物足りなさを感じるものの、作品自体のクオリティは高かったと思います。
…というわけで、「闘龍」シリーズはこういった動作片を中心に展開しましたが、反対にクラシカルな功夫片を中心としたレーベルも存在しました。東和ビデオが放ったそのレーベルの名前は――次回に続く!