
「燃えよ、マッハ拳!」
原題:蔡李彿/蔡李彿: 極限拳速
英題:Choy Lee Fut
製作:2011年
●ここ最近、日本に続々と上陸している洪金寶(サモ・ハン・キンポー)の出演作。この作品もそのうちの1つで、多くの功夫映画で取り上げられてきた実戦派の拳法・蔡李彿拳を主題に添えたものとなっています。
主演はサモハンJrの洪天照(サミー・ハン)とケイン・コスギで、かの劉家榮(リュー・チャーヨン)を父に持つ劉永健も出演。彼ら2世俳優軍団に加え、サモハンや元華(ユン・ワー)といったベテラン陣が脇を固めており、キャストを見る限りではかなりの期待が持てます。
しかし、ストーリーは「功夫道場とそれを買収せんとする大企業との対立」というありがちな内容で、特に真新しいものではありません。これは古きよき功夫映画の再現…とも考えられますが、尺の大半を洪天照の安いラブストーリー(しかも相手の女は彼氏あり)が占めており、まったく燃えない出来になっているのです。
アクション描写も同様で、蔡李彿拳を題材にしているわりに修行シーンはとてもアッサリ。ケインが元華やゲスト出演の劉家榮と手合わせをするシーンも短く、せっかくの大物香港映画スターとのバトルも不発に終わっています(劉永健と劉家榮の親子対決は興味深いのですが…)。
後半からは『ベスト・オブ・ザ・ベスト』風の格闘大会が始まりますが、ここでのファイトもスローモーションを多用するなどの雑な演出が見られました。唯一、ケインVSイアン・パワーズの闘いだけは激しかったものの、最後の洪天照VS黄嘉樂で再びラブストーリーに突入してしまいます(涙
次世代の若者たちが成長し、自分が進むべき道を見つけていく…。本作が伝えたかったことは、恐らく『拳師』と同じ「若者の旅立ち」だったはずです(だからこそ主演俳優も2世俳優を選んだのでしょう)。しかし、あくまで心身の成長を細かく描いていた『拳師』と違い、本作はそれらの描写をラブストーリーだけに押し付けてしまったのです。
ドラマの配分ミス、あんまりな邦題、回想シーンにおけるチャチなCGなど、他にも問題が山積している本作。製作段階ではオダギリジョーの出演が予定されていたと聞きますが、この様子では出演が実現していても結果は変わらなかったと思われます。…しかし、オダギリ氏にどんな役柄が設定されていたのかは非常に気になりますね。
なお、本作を監督したのは武術指導も兼任している黄明昇(作中でも劉永健の対戦相手として出演)という人。彼はジャッキー率いる成家班の出身者で、『ポリス・ストーリー3』ではジャッキーが中国の武装警察隊を訪れた際、タイマン勝負の相手を務めた人物だったりします。