
「SPY_N」
原題:霹靂戰警
英題:China Strike Force
製作:2000年
▼前回に引き続き、今回も唐季禮(スタンリー・トン)作品の紹介です。本作は唐季禮がジャッキー専属監督として板についてきた頃の物で、海外からのゲストだとしても構わずスタントをやらせるという、いつもの唐季禮らしい過激さが炸裂した作品となっていました。
その海外ゲストというのが妙に豪華で、まず日本からはセクシー女優として抜擢された藤原紀香、韓国からは次世代の蹴撃手として注目されている元振(ウォン・ジン)、そしてハリウッドからは本格派のマーシャルアーツスターであるマーク・ダカスコス!彼らにはアクションの見せ場がたっぷりと用意されているのですが、元振とマークのような凄腕の猛者は大丈夫として、アクション未経験の藤原嬢にいきなり功夫アクションしろと言うのはムチャクチャ過ぎます。さすがは『天使行動』にも参加した唐季禮、お客様に遠慮しない姿勢は相変わらずです(笑
■郭富城(アーロン・クォック)と王力宏(ワン・リーホン)は警察の特殊部隊メンバー。今日は2人で恋人のファッションショーへ来たのだが、そこで1人の男が暗殺される現場に出くわした。郭富城は暗殺した刺客・元振を追跡し、王力宏は現場から立ち去った謎の女性・藤原を尾行するも、両者とも取り逃がしてしまう。
この事件の裏には何かがある…2人は藤原を擁していた黒社会の大物・劉兆銘を怪しむが、彼は手下であるマークに謀殺されてしまった。彼は米国の悪党・クーリオと手を組み、麻薬を密輸して巨万の富を得ようと企んでいたのである。インターポール捜査官だった藤原と協力した2人は、マークとクーリオの企みを一網打尽にしようとするのだが、あと一歩というところでイレギュラーが発生。戦いは一気にクライマックスへと雪崩れ込むが、そこには思いもよらぬ決着が待ち構えていた!
▲唐季禮によるビジュアル重視のアクションが満載な本作ですが、粗筋については他の唐季禮作品と比べて荒さが目立ちます。ストーリー展開はなにかとギクシャクしているし、進展しているのかしていないのか微妙な描写ばかりが目立つため、一連のジャッキー作品のようなタッチを期待していると肩透かしを食らう事は確実だと思います。
しかしアクションシーンにおいては唐季禮の本領が遺憾なく発揮されていて、スタントに至っては狂気すら感じさせます(苦笑)。開始早々いきなり郭富城と元振が車道へ飛び出し、走行する車を飛び移りながら戦いますがこれはまだ序の口。中盤ではランボルギーニに飛び乗った郭富城がスレスレで障害物を避けたり当たったりの後、公道でランボルギーニVSF1カーという豪快なカーチェイスが繰り広げられます。
極めつけはラストのヘリを使った一連のシークエンスで、吊り下げられた車の上で闘う『ポリス・ストーリー3』の発展形のようなスタントが行われますが、話はこれで終わりません。なんと今度は舞台を高層ビルの壁面に移し、宙吊りになった強化ガラスの上でファイトが続行されるのです。この戦いには藤原嬢も参加しているのですが、ところどころでスタントダブルを使わない撮影も敢行されており、これにはジャッキー作品を見慣れている私もゾッとしてしまいました。
もちろん功夫アクションもきっちり用意されていて、先述の郭富城VS元振では華麗なキック合戦が披露され、マークVS慮恵光(ロー・ワイコン)という垂涎のマッチメイクまで実現しています(ラストはあまりのスタント三昧で影が薄くなっていますが、ワイヤーワークを交えながらの郭富城&王力宏VSマークもイイ感じです)。もちろん藤原嬢も頑張っていますが、後半のVSクーリオからガラスの上の決戦に至るまであまり替え身を使っておらず、その奮闘ぶりは脱帽を通り越して敬服せざるを得ません。
冗長なストーリーが足を引っ張っていますが、スタントだけならジャッキー作品に勝るとも劣らない本作。マーク・ダカスコスの香港デビューや藤原嬢の熱演など見どころも多いですが、とりあえず「唐季禮に好き放題やらせると恐ろしい事になる」ということだけは痛いほど実感しました(爆