
「英雄列伝」
「英雄烈伝」
原題:嘩!英雄
英題:What A Hero!
製作:1992年
▼劉華(アンディ・ラウ)主演の警匪片だが、今回は『餓狼烈伝』や『仁義なき抗争』のような直球シリアス路線ではなく、喜劇要素が含まれた動作片だ。
功夫アクションやギャグパートも多く、加えてラブストーリーも平行して描かれるという無茶な構成だが、監督が『香港国際警察』を撮った陳木勝(ベニー・チャン)であるのなら納得の内容か。共演陣には黄秋生(アンソニー・ウォン)や陳惠敏(チャーリー・チャン)なども名を連ねているが、両者とも悪役ではない砕けたキャラを演じている。
■ランタオ島の小さな村で暮らしていた劉華は、腕っ節の強さから島民に慕われ、張曼玉(マギー・チャン)とも良好な関係を結んでいた。だが、張曼玉は親の決めた許婚と結婚することになっており、2人の様子はどうもぎこちない。そんな中、劉華が香港で刑事になることが決まり、母親の林建明(サモハン映画の悪女役で有名)らに見送られながら島を後にした。
劉華が着任したのは落ちこぼればかりが集う部署で、腑抜けたボスの陳惠敏や黄秋生などが在籍していた。エリート部署の張耀揚(ロイ・チョン)は彼らを見下していたが、新人の劉華が手柄を立てた事が張耀揚を苛立たせた。数々の嫌がらせをする張耀揚に対し、劉華は真っ向から決闘に挑むのだが、テコンドーの達人である張耀揚にはまったく歯が立たない。傷心の劉華は故郷に戻るが、そこでは張曼玉の許婚であるイヤミ男が威張り散らしていた。
迎えに来た黄秋生が林建明に惚れる(笑)という騒動を挟みつつ、香港に戻った劉華だったが、警察署長が小侯(!)率いる犯罪集団に重要書類を奪われるという事件が発生。劉華たちは決死の捜査で敵の尻尾を掴むが、全ての手柄は張耀揚によって奪われ、陳惠敏が負傷してしまった。己の無力さを痛感した劉華は、再び故郷に帰り…って、なんだか何度も故郷と香港を往復している気がするが、香港警察としてはこれでいいのか??
その後、落ち込んでいた劉華は張曼玉の励ましによって復活し、許婚のイヤミ男から彼女を無事に奪い返した。陳惠敏も復帰し、再び落ちこぼれ達の間に活気が戻って来たかに見えたが、脱獄を企てた小侯を鎮圧した手柄をまたも張耀揚に奪われた!『ドラゴン電光石火'98』や『復活!死亡遊戯』などで悪役を演じてきた張耀揚だが、本作の彼はそれ以上の悪党っぷりである。
奇しくも香港警察では、組織内で行われるテコンドー大会が開催される事となっていた。香港なのに何故テコンドー?という私の疑問もよそに、大会は華々しく幕を開く。決勝に残った劉華と張耀揚は壮絶な蹴りあいを展開するが、実力では張耀揚が抜きん出ている。果たして劉華は、卑怯者の張耀揚を地に這わせる事が出来るのか?
▲まず功夫アクションに関してだが、こちらは『餓狼烈伝』以上のボリュームで繰り広げられており、ラストの劉華VS張耀揚に至ってはワイヤーでビュンビュン飛び回ったりするのだ。
殺陣師が3人もいることから解るとおり、作中で劉華が見せるアクションは実に見栄えがあり、キレのいい足技で頑張っている。だが、本作で最も注視すべきは、犯罪集団のリーダーを演じた小候だろう。かつて劉家良(ラウ・カーリョン)作品の軽業師として『マッドクンフー・猿拳』『新・少林寺三十六房』に出ていた小候だが、本作でも猿のような身軽さを披露。劉華と張耀揚の2人に、先輩功夫スターとしての実力を見せ付けていました。
さてストーリーに関してだが、こちらは少々まとまりに欠けている。張曼玉との恋愛模様や張耀揚との確執など、個々として見る分にはどちらも面白いエピソードだったし、それぞれのテンポも良かった。しかし一本の作品として見た場合、どうも1つに合わさっているように見えないのだ。陳木勝は『ジェネックス・コップ』のようなアクション映画で本領を発揮するタイプの人なのだが、本作では劉華らしい爽やか恋愛路線も取り入れてみたものの、そのために路線そのものが有耶無耶になってしまった…ような印象を受ける。
功夫アクションもあるし、挫折を経験した劉華の演技や黄秋生の怪演なども目立つが、全体的には疑問符が拭えない作品。陳木勝の仕事としても劉華作品としても、とりあえずボチボチな方だろうか。