
「ファイナルラウンド」
原題:Final Round/Human Target
製作:1993年
●ロレンツォ・ラマスが妻のキャスリーン・キンモントと出演した格闘映画で、ラマスの主演作としては平均的な出来の作品である。物語はよくある人間狩りモノで、ロケ地も暗い工場の中を右往左往しているだけだが、低予算な作りを上手く逆手に取って緊迫感のある作品に仕上がっている。これといって格闘アクションが多くないのが欠点だが、悪くない作品だ。
ラマスはシュートボクサー兼バイクの修理工だったが、あるときキャスリーンと出会ったことから事件に巻き込まれてしまう。ラマスとキャスリーンは、気が付くと奇妙な密室に閉じ込められていた。部屋にはラマスらと同じく誘拐されてきたクラーク・ジョンソン(子持ちという時点で既にアウトなキャラ・笑)がおり、彼らは人間狩りの標的として連れ去られてきたのだ。人間狩りの模様は衛星を通じて世界中の会員に中継され、賭博によって膨大な利益を上げている。この闇のビジネスの仕掛け人は、マフィアから独立した野心家のアンソニー・デ・ロンジスであった。彼は5人のハンターを飼っていて、今回も大儲けを企んでいたのだが…。
かつてのアンソニーの親分であるスティーブン・メンデルはラマスの腕を買い、標的の方に賭けるとアンソニーに連絡してきた。苦笑するアンソニーであったが、ラマスたちは衝突を繰り返しながらもハンターたちを返り討ちにしていく。これにより賭け率のレートが滅茶苦茶となり、怒り心頭のアンソニーは残りのハンターたちと共にラマスを殺害せんと企む。一方、クラークの死という代償を払いつつも、閉じ込められていた廃工場からの脱出に成功したラマスとキャスリーンだが、執拗にもハンターたちは彼らを狙い続ける!
ミニマムな作品ではあるが、キャラクター描写については良好だ。いつもは無個性なラマスも、本作ではクラークやキャスリーンとの絡みでは人間味のある顔を見せており、敵となるハンターたちも得物やファイトスタイルが違っていたりと、個性を尊重している点は評価できる。物語の性質上、ハンターとの対決は遭遇してすぐに決着してしまうので、出来ることならじっくりとハンターたちの実力を見てみたかった気もするが、ダレる事なく最後まで見ることが出来ました。
特に惹かれたのがラストの展開で、ラマスたちを追っていた最後のハンター2人が仲間割れ!と思ったら最後の敵っぽい方の白眼ナイフ使い(ビデオのジャケに出ているオッサン)があっという間に死亡!と思ったら実は死んでおらず、ラマスを襲っていたハンターを殺害!と思ったら白眼ナイフ使いはあっという間にラマスに火達磨にされて死亡!と思ったらアンソニーが現れてラストバトル!…と、こんな感じでクライマックスはどんでん返しの連続技を炸裂させているのだ。
個人的に、私は白眼ナイフ使いがボスだと面白くないと思っていた(パワータイプの大柄なボスキャラはもう勘弁)のだが、その白眼ナイフ使いがあっさりと死んでしまう展開には驚きました。で、肝心のラストバトルは意外にもアンソニーが担当。しかもこのアンソニー、この手の作品では珍しくマッチョなファイターなどではなく、見た目は普通の男だが強い&ムチ使いというキャラなのが珍しい。
格闘アクションあり、エロ&バイオレンスあり、ユーモア要素あり、無茶な展開あり。決して大層な作品ではないが、ラマス作品では見られる方かと。