
「エターナル・フィスト」
原題:ETERNAL FIST
製作:1993年(1992年説あり)
●この作品は色々と謎の多い作品である。
まず本作の発売元は『ワンチャイ』系列などを発売していた極東ハリウッドシリーズで、作品自体も香港映画という扱いになっている。ビデオ巻末に収録されているオリジナル予告編にはメディア・アジアのロゴも付いているが、どういう訳かHKFAやHKMDBなどの楊麗(シンシア・カーン)のフィルモグラフィーに、本作の情報は一切記載されていないのだ。では本作は香港映画ではないのか?と思うところだが、どうやら製作したダヴィアン・インターナショナルが香港資本の会社だったことからこの混乱が起きたようだ。
ダヴィアンの作品はこれまでに『バトル・ウルフ』『リアル・キックボクサー』と紹介してきたが、ダヴィアンという会社そのものは香港資本で成り立ってはいるが、香港映画の会社という事ではないらしい。つまり厳密に言うと本作は純粋な香港映画ではないのだ(と思われる)が、楊麗が出演している事を考えると香港の映画会社から何らかの介入があった可能性も否定しきれない。現に、本作で主演を飾った楊麗とディル・アポロ・クックが出演している香港映画が存在する。それが『武林聖鬥士』だ。この作品は香港と中国のプロダクションが合作した作品で、于光榮や于海などが顔をそろえている。果たして本作と何か関係があるのだろうか?
…とまぁ、なんとも複雑な事情を孕んだ作品であるが、そんなワケで本作のカテゴリはマーシャルアーツ映画になっている次第です。
物語は『北斗の拳』そのまんまの舞台設定で巻き起こる格闘モノだが、ロケ地は砂漠が大半を占めるというロー・バジェット仕様。ストーリーも驚くほど単純で(闘って復讐するだけ)、こうなってくると最大の見せ場は格闘アクションに集中してくるものだが、本作は格闘シーンに次ぐ格闘シーンで何とか頑張っていました。クックはたまにモタつくが『リアル・キックボクサー』以上のテンションを保ち、楊麗は言わずもがなのファイトを披露(ただし香港映画の時より少々殺陣のレベルが落ちている)。最大の敵となるドン・ナカヤ・ニールセンは、見た目が最高にイケてない(死語)が動きは先の2人に負けておらず、最後のラストバトルも中々の盛り上がりを見せている。
ただ、宣伝文句の「5分に一度の肉弾戦」という言葉通り、作中での格闘シーンは異様に数が多いのが特徴だが、ちょっと多すぎる気がしないでもない。スカスカのストーリーを許容できる人ならば、それなりには楽しめるかな?