格闘映画総特集(9)『パウンド』 | 続・功夫電影専科

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香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。


「パウンド」
原題:STREET WARRIOR
製作:2008年

●かつて軍人として活動していたマックス・マーティーニは、上官をシバいた罪で除隊処分にされて故郷に戻ってきた。顔なじみのヴァレリー・クルスとの挨拶もそこそこに弟夫婦の元へと向かったマックスだが、そこで弟がボロボロの昏睡状態になっていることを知り、愕然とする。弟の妻が言うには、大金を稼ぐために非合法の闘技場へ出場した末にこうなってしまったと言う。さっそくマックスは調査を開始し、ニック・チンランドが支配する格闘イベントへと単身乗り込んだ。
そこではマックスを含めて8人の闘士がおり、トーナメントで優勝の座を巡って激しい戦いが繰り広げられるのだった。このトーナメントで優勝した者には、高額の賞金と不敗の王者シドニー・J・リューフォ…というかハート様(どう見ても『北斗の拳』のハート様にしか見えません・笑)への挑戦権が手に入る。このハート様が弟に重傷を負わせた宿敵で、加えて弟の妻が人質に取られたため、嫌がおうにもマックスは闘いに勝たなければならなくなってしまう。数々の死闘を越え、いよいよ最後のハート様と闘うマックスだったが、そこには意外な結末が待ち受けていた…。

今回も新作の裏社会闘技場モノだが、こちらは『ザ・スコーピオン~』に比べて随分と普通な作品だ。「俺には家族が居るんだよ…」と話したファイターが次の試合で即退場したりと、ストーリー展開等についてはいつもの如しといった感じで、特に拾い所はない。ただ、前回の『ザ・スコーピオン~』は恋愛ドラマと格闘アクションのバランスが崩れていたのに対し、こちらは恋愛も格闘もきちんと振り分けられており、ストーリーのテンポも良かったので最後までサラッと見ることが出来ました。個人的には、本作と『ザ・スコーピオン~』とどっちを見るか聞かれたら、迷わず本作を選ぶかと思います。
一方の格闘アクションは安定した作りで、各個のキャラクターとファイトスタイルもきちんと描き分けられているし、キャラ的にもいい奴が多かったので好印象。ラスボスのハート様がメタボ体型で凄まじく嫌な予感がしたが、ちゃんと動けているように撮れていたのでこちらも合格だ。ファイト・プロデューサーはあの『NO RULES/ノー・ルール』と同じ人だが、本作では道具や武器で程よくアクセントを効かせているため、無個性で終わった『NO RULES』から進歩している様子が伺える。こちらも『NO RULES』と本作のどちらを見るかと言われれば、本作に挙手したいところである。

ただ、本作で気に食わなかったのはラストバトルに至るまでの展開だ。マーシャルアーツ映画は最後の戦いでいかにスカッとした気分を味わえるかで、視聴後の感想もだいぶ違ってくる。もちろん重いラストであっても面白ければそれでいいのだが、本作では少々こじれた点が見られた。
上記の粗筋を見た人は、最後にマックスとハート様が壮絶な戦いを繰り広げ、ニックはムショにぶち込まれるだろうと予想するはず。ところが中盤で弟が意識を取り戻してしまうので、弟の仇討ちというマックスの目的が揺らいでしまう。そのため「ハート様は実は悪くない奴だった」というフォローがされているが、そのためにマックスVSハート様のバトルはあっという間に終わってしまうのだ(しかもマックスはハート様を説得しようとしていたため、完全に無抵抗なまま)…あれだけ最強の敵として煽っておいたのに、この仕打ちは無いよ!(涙
その後、マックスの説得によって改心したハート様はニックに詰め寄るが、武術の達人だったニックによってハート様はあっさり死亡。なんと、真のラストバトルはマックスVSニックという顔合わせだったのだ。確かにニックが強い事は劇中でチラッと触れられているが、最後の敵として立ちはだかるにはキャラが弱いんじゃないか?ここでの日本刀VSトンファーというウェポンバトルはそれなりに見られたが、どうもこのへんの展開が私は釈然と出来ません。『ザ・スコーピオン~』もそうだったけど、どうしてみんなゴチャゴチャした結末にしちゃうんだろうかなぁ…?