
「ブラッド・スポーツ2」
原題:BLOODSPORT II/BLOODSPORT 2: The Next Kumite
製作:1995年
▼格闘大会という題材はマーシャルアーツ映画ではとても重宝されてきた。
手っ取り早く格闘シーンを出せる事が最大の利点であり、若きジャンルであるマーシャルアーツ映画(『CIA殺しの報酬』の項を参照)にとって、この即物的なイベントは今も愛用され続けている。だが、格闘大会とは異なる種類の格闘技が集う総合格闘技の場でもある。そのため構成も似たり寄ったりなものになりがちだが、そこで重要となってくるのが「いかに他の作品と一線を画す作品を作れるか否か」ということである。
もちろん格闘シーン自体のクオリティも大切で、『クエスト』や『ファイナルファイト/最後の一撃』『スーパー・ファイト』は、各々のファイトスタイルをきちんと区別して描いている。他にも『ファイヤー・パワー』は武器支給システムを導入し、『ストリートファイター 2050』はアクション超人であるマット・マリンズを担ぎ出し、『12 TWELVE』は視聴者を観戦者へ導く新境地を打ち立てた。しかし、その素材を持て余して三流作品に陥るケースも少なくなく、アルバート・ピュンの『アルティメット・マシーン』や『キックボクサー4』などはいずれも失敗の典型だ。
格闘シーンの見せ方と独創性のある差別化…これが格闘大会系のマーシャルアーツ映画に必要不可欠な、そして重んじるべき命題なのである。
■ダニエル・バーンハードは類稀なる格闘センスの持ち主だが、悪友のフィリップ・タンと共に悪事を繰り返していた。
ところがパット・モリタの所持していた伝説の宝刀を盗んだ際、フィリップの裏切りで刑務所にブチ込まれてしまう。刑務所内では看守であるオン・ソー・ハン(『キング・オブ・キックボクサー』でローレン・アヴェドンに勝負を挑まれたムエタイの人)が睨みを利かせていたが、武術の達人であるジェームズ・ホンがダニエルの前に現れる。彼に師事したダニエルは精神的にも肉体的にも成長を遂げ、ホンから聞いた格闘大会"クミテ"に参加したいと思うようになった。
そんな時、あのモリタがダニエルを保釈して「過去の事は水に流し、あの刀を取り戻してきてくれ」と依頼してきた。かくして、ダニエルは宝刀の奪還と"クミテ"での優勝を目指して闘っていくことになるのだが、"クミテ"にはオン・ソー・ハンも参加しており…。
▲本作はヴァンダム主演の『ブラッド・スポーツ』の続編だが、共通しているのは"クミテ"ぐらいで物語的な繋がりは薄く、前作を見ていなくても楽しめるようになっている。
ストーリーも大筋は上記に挙げただけのもので、あとはひたすら格闘アクションが続いていくのだが…これが本当に凄い!ダニエル以下、参加している選手たちは全員動きが機敏で、加えて先述の要素をどちらもクリアしており、まさしくマーシャルアーツ映画の傑作として華々しい完成度を誇っているのだ。キックボクシング・柔道・中国拳法(虎拳)・テコンドー・空手・ムエタイなど、出場する選手の流派も実に多種多様。それでいて皆が皆持ち味を遺憾なく発揮している様は実に素晴らしい。
時にリアルヒッティング系の殺陣も飛び出したりする中、特に凄かったのがテコンドーVSカポエラの試合だ。このバトルでカポエラ使いの黒人が見せる足技が驚異的で、ここだけの出番ながら見事な立ち回りを見せている。私はまだ『オンリー・ザ・ストロング』や『トム・ヤム・クン』などは見ていないが、ここのファイトには本当に圧倒されました(ちなみにフィリップ・タンは思ったような活躍を見せなかったものの、本作で彼は助監督やアクション・コーディネーターとして八面六臂の活躍をしている)。
細かいアラは少々あるが、余計なサブエピソードを挟む事も無く、信じた道を突き進むダニエルの姿は爽快さすら感じさせる。本作はその後も第4作まで作られたというが、どこか日本のメーカーでソフト化して欲しい!…と思わざるを得ないところである(笑