『ニンジャ・ハンター/炎の勇者たち』 | 続・功夫電影専科

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「ニンジャ・ハンター/炎の勇者たち」
原題:忍者大決鬥/忍者大決闘
英題:Ninja Hunter/Wu Tang Vs Ninja
製作:1984年

●本作は「羅鋭(アレクサンダー・ルー)の最高傑作にして代表作である」という前評判を聞いていた作品だが…いや、ここまでムチャやってる作品だとは思いませんでした(爆
少林派の常山に敗れた白眉道人の龍世家(ジャック・ロン)は、修行の末に不死身の肉体・鐵布杉を身に付けた。だが彼はそれだけで飽き足らず、忍者軍団の閻浩と手を結んで更なる勢力拡大を狙っていた。忍者という想定外の助っ人には少林寺も太刀打ちできず、少林派の拳士たちは忍者の力を得た武當派に次々と駆逐されていく。遂には、この機に乗じて武當派と結託していた朝廷が少林寺の焼き討ちを決行し、俗家弟子を含めた多くの拳士が犠牲となった。
 龍世家も強いし忍者も強い!…というか少林寺が一方的に圧倒されすぎているような気がするが、龍世家は発火能力(おいおい!)まで習得して手の付けようが無いほど強くなっていた。かつて龍世家と闘った常山までもが倒され、もはや武林の天下は龍世家の手の中に…。それから時は流れて10年後、少林寺の焼き討ちから生き延びた龍冠武(マーク・ロン)は、息子の羅鋭と王龍(マイク・ウォン!)を少林派最後の望みとして鍛えまくっていた。
そんな彼らの元に、忍者の追撃を逃れて来た常山の娘が、鉄指拳の秘伝書を携えて現れた。羅鋭と王龍はこの鉄指拳に全てを賭け、ひたすらその修行に打ち込んでいく。だが、敵はとうとう羅鋭たちの家まで攻め入ってきた。しかも頼みの綱である鉄指拳は通用しなかった上に、龍冠武が羅鋭らを逃がすために犠牲となってしまう。常山の娘が敵の手に落ち、修行を終えた羅鋭と王龍はいよいよ敵地に突入するのだが、一体どうやってあの馬鹿強い龍世家を倒すのであろうか…?

 本作は「少林寺と武當派の流派間争い」という功夫片ではお馴染みの物語だが、武當派へ忍者が介入するため、いつものVS清朝という図式ではないストーリーが展開される(最後に戦う相手も清朝ではなく、忍者軍団と龍世家のみ)。
功夫アクションはいつもの過剰な早回しファイトだが、今回は羅鋭作品常連の戴徹(ロバート・タイ)…ではなく朱客が武術指導を取り仕切っている。そのため、早回しでもマンネリに陥らない濃厚な功夫アクションが拝見できるのがポイント。ストーリーが詰め込みすぎている感もあるが、全体的な完成度は羅鋭作品の中でも上位に位置している。
 なお、羅鋭ら主役たちが登場するのは中盤を過ぎてからで(なにしろ役柄が洪文定と胡亞彪なので)、そこに至るまでの前半部は龍世家の大暴れが繰り広げられる。この龍世家演じる白眉道人が凄まじいまでに強く、恐らく羅鋭作品の中で最も強いボスキャラなのではないだろうか?
そのイロモノ具合も『ニンジャ・キッズ』の鬼面忍者や『スーパー・ニンジャ』の張一道を凌ぐ程で、女性にエッチな悪戯をして強くなるわ、気功で女性の服を脱がしたりするわと、まさに羅鋭作品を象徴するかのような素晴らしいキャラクターなのだ(笑
 さながら『ドラゴン太極拳』の銀魔王を彷彿とさせる無敵っぷりだが、実は本作の監督である呉國仁(ジェームズ・ウー)は、その『ドラゴン太極拳』に参加しているらしい。端役として『ドラゴン太極拳』という傑作に触れた呉國仁は、「いつかは俺も…」と第2の『ドラゴン太極拳』を作りたいと思ったのだろう。奔放に暴れ回る龍世家の影には、もしかしたら呉國仁の郷愁めいた思いが秘められていたのかも知れない…。