『忍者外伝 倭寇掃討作戦』 | 続・功夫電影専科

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香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。


「忍者外伝 倭寇掃討作戦」
原題:術士神傳/忍術/蕩寇英雄傳
英題:Ninja in the Deadly Trap
製作:1981年

▼『カンフーエンペラー』の項でも触れたが、張徹門下の鮑學禮が監督した作品にはショウブラOB(というか張徹組のOB)を起用した作品が多々あり、本作では『カンフーエンペラー』に引き続いて狄龍(ティ・ロン)が出演し、郭振鋒(フィリップ・コク)・江生(チェン・シェン)・鹿峰(ルー・フェン)といった五毒の軽業担当メンバーも集結。更には倉田保昭とその弟子たちも参加しており、小規模なオールスター作品の様相を呈している(ちなみに鮑學禮は今回製作側に回り、代わりに五毒トリオが監督を務めた)。
なお、のちに郭振鋒は香港に帰って幾多の功夫・動作片を手掛けることになるが、江生と鹿峰はそのまま台湾に留まってニンジャ映画に転向。その後は羅鋭(アレクサンダー・ルー)の主演作などで活動していくが、本作はそんな彼らにとってニンジャ映画初体験となった作品だ。果たして、このニンジャ映画というジャンルに出会った江生と鹿峰は、どのような未来を想像していたのだろうか?

■時は倭寇が中国を攻め立てていた時代。
将軍の狄龍(『カンフーエンペラー』を見た後だと話が繋がっているように見えて面白い)は、各地で猛威を振るう倭寇を掃討せんと闘っていたが、倭寇が従える忍者軍団に手を焼いていた。そこで狄龍は「忍術を知る老師の元へ向かい、3人の功夫の達人に助力を依頼するのだ」と我が子である康威に命じた。康威はすぐに老師と接触し、彼から驚異的な忍者の実力と、市井で暮らしている3人の達人(郭振鋒・江生・鹿峰)の情報を得る。
街へ来た康威は探索の末に郭振鋒・江生・鹿峰ら達人たちとのコンタクトに成功し、彼らに忍者掃討の命を託した。だがその一方で、忍者軍団は倭寇掃討を企てる狄龍らを暗殺しようと、行動を開始していた。農夫に化けたり、色仕掛けを駆使したり、守衛に化けたりして将軍府へ潜入する忍者たち…もちろん裏で糸を引いているのは我らが倉田保昭である(どうでもいいがアジトの畳の張り方がメチャクチャで凄い気になる・笑)。
そこで将軍府に合流した郭振鋒らは、潜り込んでいた忍者たちを各個撃破で倒していく。5人の刺客のうち4人まで倒したが、今度は倉田保昭自らが突入して康威を連れ去ってしまった。郭振鋒たちは康威を奪還すべく、いよいよ忍者の本拠地へと攻め入る…が、そこには様々な仕掛けを秘めた忍者軍団が待ち受けていた(これが英題である「Ninja in the Deadly Trap」の所以だろう)。果たして最後に勝利を手にしたのは…?

▲五毒でニンジャ映画というと『ニンジャ・キッズ』の悪夢が蘇えるが、そこは『カンフーエンペラー』を作り上げた鮑學禮。今回も功夫アクションとストーリーに一切の隙が無い、硬派な作品作りに徹している。こと見事なのが五毒メンバーによるアクションの数々で、ハイクオリティの殺陣が随所に渡って繰り広げられ、彼らの技を徹頭徹尾堪能する事が出来る。狄龍はゲスト出演のためアクションはあまり披露してくれないが、その代わり圧倒的な存在感を見せ付けているのが倉田保昭だ。
こちらも狄龍と同じく出番は少ないものの、ラストでは五毒VS倉田という貴重な対戦を見せてくれるのだ。五毒指導の功夫アクションで闘う倉田保昭…本作はこの取り合わせが実現しただけでも、非常に価値があるといえるだろう。ちなみに中村勇・福島茂・野村昇ら倉田の弟子については、どこにいたのかさえ解りませんでした(忍者役か?)。
このように傑作と呼んでも支障の無い本作だが、ひとつだけ気になる事がある…この作品、クライマックスのアクション構成が、ショウブラで張徹が撮った『五遁忍術』に非常に酷似しているのだ。
光で目をくらませたり木の上から襲ってくる刺客や、長い獲物を操る倉田の側近(馬金谷)など、『五遁忍術』を髣髴とさせるカットが幾つも登場する。張徹の薫陶を受けた鮑學禮や郭振鋒が製作しているので、人によっては「自然と似通うのも当たり前だ」と思うかもしれない。だが『五遁忍術』が製作されたのは1982年のことであり、本作よりも後の話。張徹が五毒メンバーからアイディアを得たのか、それとも五毒メンバーが張徹作品から着想を得たのか…郭振鋒たちが『五遁忍術』に出演していない事や、倉田保昭が語った本作に纏わるトラブルも含めて、非常に気になるところであります。