
大殘拳
英題:Crippled Kung Fu Boxer/Ninja Supremo
製作:1981年
●悪党の蔡弘と馬金谷に岳華(ンゴ・ワー)が追われている。彼を助けようと古錚が助太刀に現れたが、勝負は双方とも手傷を負って痛み分けに終わった。それから時は流れて18年後…ここに金持ちの御曹司で放蕩息子の金童(クリフ・ロク)という青年がいた。
彼は功夫修行が大好きで、強い達人が現れるたびに次から次へ師を乗り換えていたが、当然そんな調子ではトラブルを起こすことも日常茶飯事。遊郭で揉め事を起こした連中と争いになって逃げ出した金童は、逃亡先で古錚とその孫娘に出会った。古錚が達人である事を知った金童は弟子入りを志願するのだが、彼は「功夫なぞ身に付けてもろくな事にはならん」と言う。そこに金童の父の友人だった岳華が現れて古錚を説得し、なんとか金童は弟子入りを許されるのだった。
初めて1人の師匠にマンツーマンで教わる事になった金童、素質もあったおかげで順調に腕を上げていくのだが、揉めた連中と闘った際に馬金谷(冒頭の一戦でせむしになっている)と遭遇する。金童に接近した馬金谷は古錚がいることを知り、古錚も金童の話を聞いて馬金谷が、そして蔡弘が復讐せんと迫っている事を確信する。
一方、遊郭で揉めた連中は馬金谷を仲間に引き入れると、金童の父母を人質に襲いかかって来た。この馬金谷がまた手強く、加えて敵の人海戦術で金童は逃げ出すしかなかった。それまで最後の奥義を伝授する事を渋っていた古錚は、懇願する金童の訴えに折れて障害者の動きを模した"大殘拳"を授ける決意を固める。だが、今度は馬金谷が逆にこちらへ襲撃を仕掛けてきた。鉄のように堅いコブに金童たちは翻弄されるが、苦戦の末にどうにか倒す事に成功する。
しかし息つく間も無く登場したのは、18年前の戦いで重度の身障者となった蔡弘だった。不規則な動きでまったく先の読めない攻撃を見せる蔡弘に、習いたての拳法で立ち向かう金童だが…?
ジャッキーになりきれなかった男・金童の主演作だが、なんとも奇っ怪な作品だ。
その内容は扱っている拳法からして不謹慎そのものであり、病弱な古錚・せむしの馬金谷・身障者の蔡弘と、一目見たら忘れられないような強烈なキャラクターが印象的である。しかし、それとは対照的に"大殘拳"なる拳法はとても中途半端な出来で、単に動きづらそうな姿勢で闘っているだけにしか見えない。最終決戦では功夫映画によくある「自分が修行したシチュエーションでの闘い」にもつれ込むのだが、逆に金童が劣勢に立たされてしまっているなど、実におかしな状況にに陥っている。
物語は蔡弘を倒したところで終わっているが、よく考えてみると揉め事を起こした連中は健在だし、父母や仲間もまだ敵に捕まったまま。古錚の遺恨は精算できたけど、金童の件については何ら解決に至ってはいないのもどうかと思う。岳華が途中で消えてしまった事も含めて、ここらへんはちゃんと結末を描いて欲しかったところなのだが…。
ちなみに、本作の古錚は『復讐!少林蝴蝶拳』の時と同様に、厳しくも温かみを感じさせる師匠を好演している。功夫映画には古今東西様々な師匠が存在するが、袁小田(ユエン・シャオティエン)を別格とするなら、私としては龍世家(ジャック・ロン)師匠が優しそうで一番好みだったりします。逆に一番ダメな師匠は…やっぱり『少林寺厨房長』のMr.ドメスティック師匠・王龍(マイク・ウォン)でしょうか(苦笑