『スー・チーin ミスター・パーフェクト』 | 続・功夫電影専科

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香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。


「スー・チーin ミスター・パーフェクト」
原題:奇逢敵手
英題:Looking for Mr. Perfect/Finding Mr. Perfect
製作:2003年

●本作は舒淇(スー・チー)の日本に上陸した主演作のひとつで、監督に林嶺東(リンゴ・ラム)が当たり、製作側には社[王其]峰(ジョニー・トー)が控えている。それでいて上記のパッケージを見たら、誰がどう見たってハードなアクション物しか予想できないところだが、これでコメディアクションなのだから恐れ入る(笑)。しかもこれがかなりユルい作品で、敢えて言うなら簡素な『七福星』といったところだろうか。
舒淇は強気な性格の婦人警官。舒淇は舒淇なので勿論モテモテなのだが、夢の中に出てくるある男性が気になるご様子。そんなある日、舒淇は仕事で異国へ向かう友人のモデル・陳逸寧(イザベラ・チャン)とくっついてマレーシアの地へと渡った。スポンサーであるエロオヤジの林雪(ラム・シュー)がかなり鬱陶しいが(笑)その一方で秘密諜報員の安志杰(アンディ・オン)がミサイル制御装置を巡って任達華(サイモン・ヤム)らと対立してた。
実はこの安志杰こそ舒淇が夢の中で見たあの男性だったのだが、コソドロカップルが横槍を出してきた事で状況は更に混乱してしまう事になってしまい…。

とまぁ、話に関してはありきたりな部分が多い。コメディアクションということで随所にギャグが挟まれているが、80年代の香港映画にあったようなエネルギッシュな笑いは減退している。
もしこの作品が80年代に作られていたら、さしずめ舒淇は惠英紅で安志杰はユンピョウあたりが演じていたに違いない(林雪は樓南光か?)。80年代…といえば、本作には台湾映画などに出演していた呉大維(デビッド・ウー)が久しぶりに顔を見せている。呉大維は陳逸寧が惚れる撮影スタッフを演じているのだが、残念な事に現在の彼は少し太り気味。顔の幅も大きくなっていて、かつての甘いマスクが見る影もなくなっているのはちょっと幻滅だ(オチも含めて)。
全体的に見ても平坦な作品である事は否めないが、その中で1人孤軍奮闘しているのはやはりこの男…安志杰だ。前半では任達華と黄卓玲を相手取って功夫アクションを見せ、クライマックスではド派手なバイクチェイスに挑戦し(この時点で主役だった舒淇は負傷退場しており、完全に安志杰の一人舞台・笑)、最後は安志杰VS任達華&黄卓玲という対決にもつれ込む。
ここのファイトシーンはおちゃらけたBGMとコメディ描写のせいで軽く見えがちで、任達華も『タイガー刑事』同様に替身を使いまくってはいるものの、内容に関しては意外に凄い事をやっている。武術指導は以前レビューした『忍者』も手がけた李忠志(ニッキー・リー)。彼は現在、呉京(ウー・ジン)の初監督作である『狼牙』で呉京のバックアップを勤めた他、『インビジブル・ターゲット』や『奪師』などで絶賛活躍中だが、注目すべきは彼がジャッキー系の武師であるという点だ。
袁和平(ユエン・ウーピン)に見初められて『ブラック・マスク2』で初主演を飾った安志杰だが、作品自体は珍妙な怪作として終わった。続いて本作に出演した後に『スター・ランナー』で評価を得たが、案外とジャッキーは李忠志から安志杰の話を聞き、『香港国際警察/New Police Story』への出演を打診したのではないだろうか(あくまで想像ですが)?取るに足らない作品ではあるが、もしかしたら本作は安志杰にとってターニングポイントとなる作品だったのかもしれない…。

なお、本作が女ドラゴン映画ではなく普通の功夫片にカテゴリしているのは、舒淇がアクション的な見せ場が1つも無かったから。それに加えて、吹替え版の舒淇の声がヒドかったのも女ドラゴン映画から外した一因であります(爆