
「サイバー・ウォーズ」
原題:EXPECT NO MERCY
制作:1995年
●ビリー・ブランクスとジャラル・メルヒの『キングオブドラゴン』コンビが再び組んだ本作は、大まかに現すとビリー版『アンダー・カバー/炎の逆襲』といった感じの作品だ。ストーリーは裏で暗殺を請け負う格闘養成機関の陰謀を、ビリーとジャラルの筋肉コンビが金髪ねーちゃんの協力を得て倒すという、至極シンプル(悪く言えば単純)な物語である。
作品自体の規模に関しては、大勢のエキストラを動員したり派手な爆破シーンを用意していたりと、頑張っている様子が伺える。一方で物語は随分と凡庸な印象を受けるものの、劇中の格闘アクションは中々見応えのある物に仕上がっている。
同じビリー&ジャラルのコンビで製作された『キングオブドラゴン』は、鷹拳を取り入れた野心的な作品ではあったものの、格闘アクション自体は少々もたつく印象があった。しかし、本作の場合はマーシャルアーツ映画的なスタイルに従事しており、全編に渡ってビリーの伸びやかな蹴りが炸裂する快作となっているのだ(ちなみに武術指導はビリーとジャラルの両名)。
本作にはもう1つ、取り上げるべき事柄がある。劇中、敵の刺客の中に白髪の大柄な黒人が登場しているが、彼こそはビリーの弟であるマイケル・ブランクスその人だ。マイケルは兄譲りの腕で序盤からいいファイトを披露しており、クライマックスに至っては夢の兄弟対決が実現する。その暑苦しさたるや、以前紹介した『少林童子功』の羅鋭VS唐龍の極悪兄弟とタメを張る暑苦しさ(笑)!動作自体もかなりの迫力で、この手の映画としても珍しい顔合わせのレア・バトルとして、本作にそれなりの価値を与えている。
惜しむらくはボスであるウルフ・ラーソンとのラストバトルが、このビリーVSマイケルを越える物ではなかったことだ。序盤から後半まで一貫したアクションのテンションを保っていたのに、ウルフとの戦いはショボいCGワールドに移動したりと、いまいち高揚感に欠けている。もし最後のビリーVSウルフの対決が派手であれば、本作は間違いなく傑作になっていただろうに…。
いかんせんCGが本格的に進歩する前の作品なので、随所に挿入されるCGのカットが恐ろしくショボい。そこだけに目を瞑ることができるなら、本作は良質のマーシャルアーツ映画として楽しむ事が出来る筈だ。ところで本作でビリーと共に主役を務めているジャラルは、『キングオブドラゴン』など複数の作品で製作者としても映画に携わっている。もしかしてメルヒって苗字から察するに、PMエンターティメントのジョセフ・メルヒと関係があったりするのだろうか?