
「真夜中のヘッドハンター・殺人の報酬」
原題:獵頭/再見江湖
英題:Head Hunter/The Killer in Love
製作:1982年
●さて、今回の『Martial Arts 50 Movie Pack』在庫一掃セール(笑)は、周潤發(チョウ・ユンファ)の主演作からだ。前回の『四大天王』と同様に日本でもリリースされているようだが、本作の話題はあまり聞いたことがない。製作年代を見ても『上海灘』や『男たちの挽歌』でブレイクする前の作品のようだし、私としても本作にはそんなに期待していなかったのだが…。
ストーリーははっきり言ってよくわからない。ベトナム帰還兵で今はヒットマンとして暗躍する周潤發が、TVリポーターの關之琳(ロザムンド・クァン)といい仲になっていくものの、そうは問屋が許さない…といった感じの話のようだが、いかんせん英語吹替え字幕無しのダブルパンチでは細部が解りかねる。国内版はビデオとDVDが発売されているので、その気になればちゃんと日本語字幕で内容を知る事が出来るかもしれないが、そこまでして確認したいような代物ではなかった。
本作で注目すべきは、やはりデビューしたての關之琳だろう。本作の關之琳はやり手のTVリポーターで、気丈だが可愛らしいキャラをはつらつと演じている。日本初お目見えとなる『七福星』に出演するのがこの3年後となるのだが、その後の『ワンチャイ』系列でも見られる可憐さが、既にこの頃から発揮されているのは興味深い。
この他に、いつもの如く刑事を演じる黄錦[火火火]木(メルビン・ウォン)や、逆に悪役として立ちはだかる陳欣健(フィリップ・チェン)など、キャスト面でもそこそこ見られる作品だが、先述の通りストーリーが解り辛いのと全体的に暗いせいで、かなり窮屈な印象を感じてしまった。特に気になったのがラストのオチで、周潤發は贖罪のつもりでああやったのかもしれないが、これじゃあ關之琳は前科者だ(悲恋にするにしても、死に際の陳欣健の不意打ちを食らった周潤發が…みたいな展開にすれば、關之琳の手を汚さずに済んだはず)。
ちなみに本作は動作片ということになっているので、個々のアクションは警匪片だった『四大天王』よりかはマシになっている。とはいえ、功夫のできる人間が誰一人いない作品なので、アクションスケールは(しょぼいけど)銃撃戦が散りばめられていた『四大天王』とどっこいどっこい。作り手はラブストーリーとクライムアクションを一緒に描きたかったのだろうが、結局は關之琳の初々しさ"だけ"が印象に残る事となった。
ところで本作、HKMDBによると製作が思遠影業となっているが、私が見た『Martial Arts 50 Movie Pack』版ではチャンピオン・インターナショナル・フィルムという会社の名義になっている。確かに思遠影業にしてみたら随分とショボい作品であるが、武術指導が王将(『酔拳』『蛇拳』などの思遠影業作品に多数参加している功夫スター)というところが思遠影業っぽい。一体どちらが本当なのだろうか?