
前々から各所で予告していたとおり、"好小子"特集をお送りしたいと思います。
…とはいえ、いきなり"好小子"と言われてもピンと来ないでしょうが、"好小子"とはキッズ向け功夫映画『カンフーキッド/好小子』のタイトルの事で、すなわち今回の特集はカンフーキッズ系の作品を辿っていく事が目的なのです。よって、この特集では演者である子役たちのことを総じて"好小子"と呼称していきます。
今回私がこの特集に着目したのは、ひとえに普段は香港映画サイトで取り上げられる機会の少ない好小子作品を、一度総ざらえしてみたいと考えていたことに起因します。現在ではほとんど注目されることの無くなったこれらの作品を見てみることで、あまり知られることの無かった功夫映画の側面を見てきたいと思っています。
まず、今回は好小子の始まりについて迫っていきたいと思います。
いきなり身も蓋もない事を言うが、今のところ私が調べた限りでは、「功夫映画で大人顔負けの活躍をする子役=好小子」が一番最初に登場した作品は何なのか不明だ(爆
まだスクリーンが白黒だった頃の武打片にそういうキャラクターは登場していたかも知れないが、そもそも70年代ごろまで香港・台湾の映画界には好小子を動員せずとも、きら星のようなスターが活躍していた。だからこそ誰もその隙間産業に目を向けることはなかったのかもしれないが、ただ1人だけ違う視点を持っている男がいた。それがあの呉思遠(ウン・シー・ユエン)だったのだ。
彼はショウブラから独立した後、低予算でも迫力満点の作品を輩出していた。予算がない分アイディア勝負だった呉思遠は、革新的な作品作りを要求されることになるのだが、そこで目に付いたのが"引き立て役"という役職だった。
主役を奮い立たせたり作品を明るくする存在として、引き立て役はある意味重要なポジションといえる役どころだ。しかし、単にそれだけで終わらせていいものなのだろうか。呉思遠は、そこで引き立て役である若輩の少年たちに、アクションで主人公のサポートを務めさせることを思いついたのである。
まず呉思遠は『必殺ドラゴン/鉄の爪』で梁小龍(ブルース・リャン)の従者として韓國材・呉明才・孟海らを活躍させた。このときの彼らのアクションは功夫映画ドキュメンタリー『死闘伝説TURBO!』で見ることが出来るが、梁小龍を助けて南宮勳と闘う彼らのアクションは素晴らしい。梁小龍を助けて縦横無尽にバク転を繰り返す彼らの姿に、度肝を抜かれた人は少なくない筈だ。
この後も『帰ってきたドラゴン』『無敵のゴッドファーザー』などで韓國材や孟海たちは活躍していくことになるが、間違いなく彼らこそが"好小子"の原点、そして現在にまで至る"好小子"系列の礎を成したのは呉思遠なのだと言えよう(ちょっと大袈裟?)。
そんな呉思遠も時代に合わせて様々な作品を作っていくのだが、呉思遠は韓國材たち以降、好小子を送り出すことはなかった。また、当時は歐弟(『三毛流浪記』)、林小虎(『詠春截拳』)といった子役が功夫映画にも出ていたが、功夫をメインのウリにはしていなかった。そんな中、呉思遠は『神腿鐵扇功』で韓國材や孟海のような逸材と遭遇する。そこで呉思遠と出会った少年こそが、元祖"好小子"である黄一龍だった…。