
「ファイナルファイター鉄拳英雄」
原題:中華英雄
英題:Born to Defence
製作:1988年
●私が香港映画へと脚を踏み入れたのは、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地大乱』との出会いがきっかけでした。たまたまTVでやっていたところを視聴した私は、あれよあれよという間に魅了されていき、今では体の芯までどっぷりと功夫映画に染まりきっています(笑
しかし、主演の李連杰(リー・リンチェイ)との接触はこれが初めてではありません。『天地大乱』の前日に放送された本作こそが、私と李連杰の初対面となりました。この『ファイナルファイター 鉄拳英雄』は李連杰の初監督作であり、彼にとっても特別な作品であったことが伺えますが、あまり面白い作品ではありませんでした。
第二次世界大戦が終結して故郷の中国に帰ってきた李連杰。そんな彼を待っていたのは、我が物顔で横暴を働くアメリカ人たちの姿だった……という内容の作品なんですが、要するに反日功夫片の敵をアメリカ人に置き換えただけという簡素な代物だったのです。
その後の展開も、肉親を殺されて激怒した李連杰がアメリカ人たちに復讐するお決まりのストーリーが展開されていきます。しかし、そんなありきたりの復讐劇よりも問題なのは、相手のアメリカ人が話にならないほど弱いという点です。
相手役には『ブラッド・スポーツ』でヴァンダムと共演したパウロ・トーチャ、空手家のカート・ローランド・ピーターゼン(2003年に死去)などの面子を揃えていますが、李連杰が一方的に強すぎるせいでまったく面白味がありません。
普通、功夫映画の主人公はある程度強いものですが、敵対する存在はそれ以上に強大でないと見栄えがしないものです。ですが、本作に登場する悪党たちはほとんど李連杰になすがままだったので、一方的にボコられるアメリカ人のほうが可哀想に見えてきてしまいました。
武術指導は『天山回廊』などの体当たりスタントで知られる徐小明(ツイ・シャオミン)…なんですが、彼の得意とするデンジャラススタントは前半の戦争シーンとラストバトルにちょろっとだけ。製作当時、周辺でかなりのゴタゴタがあったと聞きますが、この程度で終わってしまったのはとても残念です。
淡々と嫌がらせを受け続け、淡々と残虐な復讐を遂げていくだけの凡作。もしかすると『天地大乱』で私が大きな衝撃を受けたのは、この作品を見終わった後だからこそインパクトが強調されたのかもしれませんね(苦笑