
海狼
Sea Wolves
In The Line Of Duty 7
1991
▼"皇家師姐シリーズ"第7弾にして、恐らくシリーズ最終章。これ以降「皇家師姐」「In The Line Of Duty」のタイトルが冠せられた作品は確認されていない(たまに楊麗主演作で「皇家師姐」とか「皇家なんとか」というタイトルが付いているのはあるが、正式なシリーズではないので無関係)。とうとう楊麗が主役から降り、主演は任達華(サイモン・ヤム)と周景揚(前作『地下兵工廠』にも出演したマッチョな人)へ移行。郭追(コク・チョイ)が引き続き出演と武術指導を兼ねている。
■周景揚は(前回とは違う役)乗っていた船が故障し、妹や自分と同じ不法移民者と共にある船に助けられた。実は、その船では麻薬の密輸が行われていて、折角助けられた周景揚らは殺されそうになる(じゃあ助けるなよ!)。しかし、船の乗組員でかつての友人だった任達華に助けられ、周景揚だけは生き残るが、ショックで記憶喪失になってしまった。
しばらくして船は着岸。査察官に周景揚が見つかり、任達華は彼を逃がす。逃走先の香港で楊麗の友人と出合った周景揚は、そのまま楊麗の友人宅に世話になった。だがその夜、例の船の船員が傷害事件を起こし、その現場の遺留品(船員の1人が殺した周景揚の妹のペンダントを持っていた)から彼が被疑者として疑われたのだ。任達華も助けに現れるが、結局は2人とも御用となった。
無論、2人とも身に覚えの無い事件だが、任達華が拘束されて太保(タイ・ポー)にボコボコにされる。怒り心頭の周景揚は、手錠を破壊して太保をボコると警察署から脱出し、楊麗は銭形警部のように2人を追って例の船へと行き着いた。頼るアテのない任達華は船のボスに連絡を取るが、そこで下克上を狙っていた部下の徐少強(ツイ・シャオチン…ショウ・ブラザーズの二枚目スター)がボスを殺害!周景揚と任達華は狙われたものの、何とか逃げ出した。
次に転がりこんだのは、あの楊麗の友人宅。しかし彼女は前もって徐少強に買収されていた。事態は二転三転し、楊麗の相棒が周景揚と任達華を捕まえようとしたところ、徐少強の一味が現れて楊麗の友人は刺されてしまった。さらに楊麗の相棒も殺されたが、その時の情景と妹が撃ち殺されたときの場面がフラッシュバック…周景揚は記憶を取り戻した。
さっそく周景揚は任達華を問い詰めたが、彼は周景揚を閉じ込めてどこかへ去った。楊麗は友人の証言で真実を知り、脱出した周景揚と合流して任達華を追う。その任達華が向かったのは徐少強の船…彼は1人で全ての罪を償おうとしていたのだ。楊麗と周景揚も船に到着して、最期の対決が始まった!
▲もしかして、これは『中間人』『地下兵工廠』と同時進行で撮っていたのでは?楊麗の髪型が『中間人』のときと似ているし、キャストやスタッフが『地下兵工廠』とタブることも考えると、間違いではないかもしれない。
本作は同カテゴリにある『[イ火]頭大将軍』のように楊麗ちはょっとだけの出演で、あとは他の俳優の独壇場…なんてことにはなっておらず、ギリギリ楊麗主演作でも筋が通るようになっている。『地下兵工廠』で不発同様に終わった楊麗Vs郭追が、ちゃんと見られるのもポイントか?話は敵側の背景が細かく描かれていない他は、いたって普通の出来。ただし『地下兵工廠』とは功夫アクションでの軍配はこちらに挙がるかも。
全体的には"皇家師姐・番外編"のような作りだが、残念ながらこの年をもって、B&Dはその幕を閉じている。そう考えると、結果的にシリーズ最終作となってしまったこの作品での楊麗の扱いは不遇であったようにも思える。
楊麗はその後、レディ・スクワッドシリーズ第4弾の『92霸王花與霸王花』、ショウブラ武侠片のリメイク作品『新冷血十三鷹』、デル・アポロ・クックと共演した『エターナル・フィスト』、古装片ブームの際に制作された大作『一刀傾城』と精力的に出演を重ねていったが、他の女性武打星と比較するとあまりブレイクはしなかった。出演作の多さに比して作品に恵まれなかった彼女の経歴は、一見すると不遇に見えなくもない(後年は電視劇に活動の場を移したらしい)。
しかし、屈強な男達と闘い、無謀なスタントにも果敢に挑み、孤高の奮闘を繰り広げていった彼女たちの姿を不遇だったと一蹴に伏すのは間違いである。今日に続く楊紫瓊や楊麗の活躍の影にあった"皇家師姐シリーズ"。その輝きは、今も決して薄れてはいないのだ。