『レディ・ハード/香港大捜査線』 | 続・功夫電影専科

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香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。


「レディ・ハード/香港大捜査線」
皇家師姐
Yes, Madam
1985

●少し昔、香港映画にD&B(徳寶電影公司)という会社があった。ディクソン・プーンによって設立されたこの会社は多くの傑作を世に送り出した事で知られており、李小龍の息子・ブランドンを香港映画に招き入れた『ファイヤー・ドラゴン』、甄子丹のアクションが光る『タイガー刑事』と『タイガー・コネクション』(このシリーズには甄子丹抜きの第3弾『冷面狙撃手』が存在する)、サモハンの『霹靂大喇叭』などがある。
だが、やはりD&Bで注目すべきは"皇家師姐シリーズ"だろう。通算7作も製作されたこのシリーズは、香港映画に"女闘美アクション"という新たな風を呼び寄せた。本作はその先駆けとも言える存在で"皇家師姐シリーズ"の記念すべき第1弾。そして楊紫瓊(ミシェール・ヨー)がアクション女優として第一歩を踏み出した作品であり、"白人女ドラゴン"シンシア・ラスロックが香港映画に殴り込みをした最初の作品…つまりは本作、色々と注目すべき点の多い重要な一本ということである。
話としては田俊(ジェームス・ティエン)組織の悪事の証拠が記されたマイクロフィルムを巡り、刑事の楊紫瓊&シンシア・ラスロックが、岑建勲(ジョン・シャム)らコソドロを巻き込んでの大事件が勃発する…というもの。
とにかく本作はアクションが凄まじく、クライマックスの田俊邸での大乱闘はわざわざ痛そうな落ち方をしたり、楊紫瓊もさることながらシンシアもまた凄いアクションで、楊紫瓊VS鍾發(チュン・ファット)とシンシアVS狄威(ディック・ウェイ)も二重丸の出来だ。
しかし本作で一番いただけなかったのは最後のオチである。普通に田俊を逮捕し、フィルムも無事戻ってきて終わりで良かったはずなのに、どうしてあんなにブラックで回りくどい終わり方にしてしまったのか凄い疑問だ(あれでは間違いなく孟海はタダでは済まない)。今まで色々と評価するような書き方をしていてアレだが、個人的に私はD&Bの"暗い"作風があまり好きではないのだ。
先に挙げた作品でも、『ファイヤー・ドラゴン』ではブランドンが恋人を殺され警察に自首するし、"皇家師姐シリーズ"全体を見てもスッキリとした終わりをしている作品がない。ハッキリ言うと、D&B作品には"爽快感"が欠けている気がするのである(少ない例外では痛快アクションの『チャイニーズ・ウォリアーズ』などがある)。まぁ、これは好みの問題なのかもしれないが…。
ちなみに本作を皮切りに香港映画界でこの手の作品がいくつも作られていくことになる。ジャッキーは福星シリーズで胡慧中(シベール・フー)が演じたキャラのスピンオフ作品である『レディ・スクワッド』シリーズを制作し、『天使行動』『群狼大戦』などといった佳作も登場してくる。のちに古装片ブームの影に隠れてしまうのが惜しいが、こんなブームもあったということでひとつ…。