『死亡の塔』 | 続・功夫電影専科

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香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。


「死亡の塔」
死亡塔
Tower of Death
Game of Death 2
1981

●李小龍(ブルース・リー)の事実上最後の作品となった『死亡遊戯』。しかし実は、その作品の中でも使われていなかった幻の未公開フィルムが存在した。本作はその死亡遊戯未公開フィルムを使用して完成した、まさに李小龍正真正銘の傑作にして最高のカンフー映画なのである!
…という触れ込みで公開されたこの映画、もちろん皆さんが知っての通りトホホな出来である事はご承知の事でしょう。
もう一度李小龍で儲けようと本家ハーベストが作ったバッタモン映画たる本作は、上記にもあった死亡遊戯未公開フィルムなぞどこにも使用されず、代わりに燃えよドラゴンの未使用フィルム(およそ5分にも満たない)が使われただけのまさしく詐欺作品である。
しかも監督がなぜかハーベストじゃない思遠影業の呉思遠(ウン・シーユエン)&武術指導が袁和平(ユェン・ウーピン)なので、出演者メンツもどことなくジーゾナル系のメンバーで締められている(こっそり脇役でも出演している元彪も思遠影業にいた経歴あり)。
物語は、死んだ友人の黄正利(ウォン・チェン・リー)の謎を探るため、李小龍が日本と香港を行き来して真相に迫る!というもの。だが後半からは李小龍が死に(死んでるけど)、主役が唐龍(タン・ロン…『死亡遊戯』で李小龍の影武者を演じたかの人)へとチェンジ。エセ片腕ドラゴンや日本在住の残虐な武術家のロイ・ホランまで登場してますますカオスな雰囲気になっていく。
そのカオスっぷりは、唐龍が地下に向かって建てられた死亡の塔(塔じゃなくて地下室でしょ)へ突入していく辺りからさらに加速していく。近未来的な秘密基地や李海生(リー・ホイサン)やら楊成五(タイガー・ヤン)が立ちふさがり、最後には生きていた黄正利が黒幕と解り対決…恐らくこれを初めて見た人は、開いた口が塞がらなかった事だろう。
でも自分はそれ程悪くはないと思っている。世紀の怪作とまで酷評された『死亡の塔』ではあるものの、本作については評価できない事もないのだ。
それは袁和平が手がけた功夫アクションの数々にある。ぜんぜん李小龍っぽくないものの、その流れるような京劇仕込みのアクションは見事で、オマケに無理矢理挿入された"温室の決闘"(本来は『死亡遊戯』広東語版にしかない場面で、洪金寶が殺陣を付けた渾身の名バウト。[上下]薩伐(カサノヴァ・ウォン)の綺麗な足技も見どころ)も高クオリティだ。
珍作だからと毛嫌いしないで見ると、けっこう拾い物としていいかも(熱烈な李小龍ファン以外は)…?