
「少林寺拳法」
Killing Machine
1975
▼千葉真一とJACのアクション映画は製作時期によっていくつか種別ができる。
例えば74年は『激突!殺人拳』や『女必殺拳』などといったストレートな空手映画を送り出し、翌75年から77年までは『けんか空手極真拳』や『激突!合気道』など実在の人物を扱い、78年以降は真田広之や黒崎輝といったフレッシュなニューフェイスによってJACの黄金期が始まるに至る。
本作はそんな中で少林寺拳法の始祖、宗道臣の半生を描いた話である。つまりは伝記アクションということになるのだが、これがかなり破天荒なもので、ある種何宗道(ホー・チョンドー)などが主演した李小龍のエセ伝記映画と大差ないものとなっている(苦笑
なお、冒頭で少林寺拳法の解説が納屋五郎のシブいナレーションで語られますが、その内容は中国の少林拳の話で少林寺拳法とはあまり関係ありません。更に言えば、作中において千葉ちゃん扮する宗道臣が少林寺の拳法を参考に少林寺拳法を編み出す…なんて場面もありませんのであしからず(爆
■第二次世界大戦下、宗道臣こと千葉ちゃんは日本軍のスパイとして活動していた。ところが日本の敗戦を知り、「国は負けたが俺はまだ負けてはいない!」と友軍の基地内で機関銃を乱射するのだった。
そして終戦間もない動乱の日本。母の墓前で心機一転の誓いを立てた千葉ちゃんは、大阪・阿倍野にいた。ヤクザに捕まった子供を救うべく闘ったり、飲んだくれの佐藤充をあしらったりしていた千葉ちゃんは、売春街でかつて助けた中島ゆたかとその弟と再会する。
彼女の悲惨な身の上を聞いた千葉ちゃんは働き口を探してあげたが、ある日ゆたかの弟が進駐軍のジープにひかれてケガを負ってしまった。ジープに乗っていたGIと止めに入った警官隊ををぶちのめした千葉ちゃんは監獄送りになってしまうが、刑務所所長の丹波哲朗は顔なじみの千葉ちゃんを助けるため、大阪から出ることを促した。
ジャリ達と別れ、千葉ちゃんは香川の多度津に流れ着いた。そこで少林寺拳法の道場を開設する傍ら、力也にボコられていた誠直也と出会う。そしてその妹はアクション女優の志穂美悦子だ。敗戦で生きがいを見失っていた直也は雄々しい千葉ちゃんの姿に感銘し、少林寺拳法の門下生となる。
その後、佐藤と千葉ちゃんは再会する。どうやらこの香川に別離した奥さんがいるらしく、千葉ちゃんは彼を少林寺拳法に誘うのだった。
平和な日々が続いていたが、おでん屋さんの娘が力也に強姦されたことで、事態は一変する。警察もアテにならず千葉ちゃんは怒り爆発!何と力也のチン○をハサミで切ってまった(さらに切ったそれを犬に食わせた)!当然ヤクザも黙っておらず、報復として直也の片腕をポン刀で叩き切ってしまう!またも怒り爆発の千葉チャンはヤクザの本拠に乗り込み、直也の腕を切ったヤクザの指を詰め、さらに勢いで親分の腕もハズした。
その頃、高松に渡った佐藤は遂に奥さんと再会する。しかし佐藤は戦死したと思われていて、奥さんは既に別の男に嫁いでいた。奥さんの幸せを優先した佐藤は大人しく身を引く。それから一層拳法の鍛錬に身をゆだねる佐藤に、千葉ちゃんは優しく言葉をかけるのだった。
一方、片腕を失ってから酒浸りの日々を送る直也。そこに現れた千葉ちゃんは、腐ってしまった直也を激励し、立ち直る機会を掴ませた。そして繁栄していく少林寺拳法…"拳禅一如"を掲げ、公開演習も開かれるほどにまで規模は大きくなった。
そこに大阪からゆたか危篤の一報が入り、千葉ちゃんは懐かしい大阪へと飛んだ。結局ゆたかは死んでしまうが、彼女の死を乗り越えた千葉ちゃんは"力愛不二"の精神を習得する。
ところが千葉チャン不在の間に、ヤクザたち(大葉健二がザコの中にいる)の悪徳な地上げが進み、佐藤が命を落としてしまっていた。警察までもヤクザの犬と化とした現状の中で、3たび怒り爆発した千葉ちゃんは、ヤクザ連中のいる料亭に乗り込むのだった。
▲…ご覧の通り、本作は全然マトモな伝記ではありません(爆
多少の脚色ならまだしも、"実は宗道臣は日本軍のスパイだった!"とか"実は宗道臣はヤクザのチン○をちょん切ったことがある!"とか"実は宗道臣はヤクザを皆殺しにしたことがある!"なんて話、よく少林寺拳法や宗道臣からクレームが無かったもんだと感心致します。
でも、そういった点では"ゴッドハンド"マス大山の自伝『空手バカ一代』の映画化作品である『けんか空手極真拳』の方がバカ具合に更なる加速が増しています(強姦した女を妻にしたり、ヌンチャクを振り回したりとやりたい放題)。そういう意味では本作は大人しい方かと思われる。
さて、本作では脇に回っていてあまりパッとしていなかった志穂美悦子こと悦ちゃん。次回からはいよいよ彼女がスターダムにのし上がった記念碑的作品である『女必殺拳』シリーズに迫っていきたいと思います!