
「ジャッキー・チェンの秘龍拳/少林門」
少林門
The Hand of Death
1974
●ジャッキーがまだ二十歳の頃に出演した武侠片。監督は何とあの『男たちの挽歌』の呉宇森(ジョン・ウー)である。
タイトルにこそジャッキーの名が冠せられているが、本当の主役は"神の脚"、"フラッシュ・レッグ"と謳われたテコンドーマスター、譚道良(タン・トゥリャン/レオン・タン/ドリアン・タン)だ。その他に剣士役で楊威(ヤン・ウェイ)、敵役に田俊(ジェームス・ティエン)が待ち構え、武術指導兼任でサモハンも憎々しげな田俊の片腕として登場している。
少林寺の裏切り者の田俊は、無敵のガチョウ拳(実際は"白鶴長拳")によって清朝打倒を誓う少林寺の門徒を皆殺しにする。それから数年後、未だ続く田俊による支配に対し、生き残った少林寺の僧の中から譚道良が旅立つ。
譚道良は田俊の腹心サモハンを信用させて近づくが、当の田俊は何もかも全てお見通しだった。捕らえられた譚道良は、兄を清朝に抹殺されたジャッキーの協力でどうにか脱出する。その後、自分と同じ討伐派の男(演じるは監督の呉宇森自身)を護衛する事となった譚道良。彼は討伐派にとって重要な地図を持っていて、河川越しに待っている仲間達のところへ行こうとしていた。それこそ譚道良が田俊討伐と共に少林寺の師から受けていたもう一つの指令である。
ジャッキーや恋人の命を奪われた剣士・楊威らと協力し、8人の刺客を相手取っての追跡劇は熾烈を極めた。なんとか刺客を全員撃破するが、ジャッキーが斃れ、増援に化けた敵と楊威が相打ちになる。譚道良はサモハンらをその電撃の足技で撃破する。呉宇森はどうにか向こう岸に着けた。あとは田俊を倒すのみ。譚道良は事前に特訓しておいたある方法で田俊のガチョウ拳を破ろうとする。
李小龍の死によって功夫映画が下火となり、本作が『カラテ愚連隊』共々オクラになったのは有名な話である。この間にジャッキーはすっかり自信を無くし、両親のいるオーストラリアに帰ってしまったが、羅維(ロー・ウェイ)によって『新精武門』の主役として抜擢を受けることになった。
本作で注目すべき点は、既にこの時点で呉宇森お得意の"男の友情"が描かれている事だ。門派の復讐を誓った男、兄の仇を討とうとする青年、恋人の弔いのために捨てた剣を握る剣士…キャラクターの背景からしてなかなかドラマチックだ。次から次へと斃れる仲間を背に、譚道良の悲壮感溢れるアクションがとても印象的である。
…で、その功夫アクションの出来だが、サモハンの殺陣は確かに良い。良いが最初のあたり殺陣はスローモーで後半はそこそこだ。制作年代を考えると妥協しなければいけないが、いかんせん殺陣に一貫したリズムが無く、手技に比較して脚技が早かったりと不安定な気がした。
なお、密偵として田俊の矢に射抜かれる男が元彪だったりする。