アイアン・バタフライ - Live at Galaxy 1967 (Purple Pyramid/Keyhole, 2014)
Released by Purple Pyramid Records CLP1762 & Keyhole Records KHLP9021, 2014
(Side A)
A1. Real Fright (Ingle, Bushy, Brann) - 2:37
A2. Possession (Ingle) - 5:30
A3. Filled With Fear (Ingle) - 4:44
A4. Fields Of Sun (DeLoach, Ingle) - 3:26
A5. It's Up To You (Iron Butterfly) - 2:52
A6. Gloomy Day To Remember (Iron Butterfly) - 2:45
A7. Evil Temptation (Iron Butterfly) - 6:30
(Side B)
B1. So-Lo (DeLoach, Ingle) - 3:51
B2. Gentle As It May Seem (DeLoach, Weis) - 3:59
B3. Lonely Boy (Ingle) - 5:42
B4. Iron Butterfly Theme (Ingle) - 6:55
B5. You Can't Win (DeLoach, Weis) - 4:25
[ Iron Butterfly ]
Doug Ingle - Vocals, Keyboards
Darryl DeLoach - Vocals, Percussion
Danny Weis - Guitar
Jerry Penrod - Bass, Backing Vocals
Ron Bushy - Drums, Percussion, Backing Vocals
*
(Original Purple Pyramid & Keyhole "Live at Galaxy 1967" LP Liner Cover)
バンド全盛期に発表された『Live』'70を加えて年代順に並べると、『Live at Galaxy 1967 (July, 4)』『Fillmore East 1968 (April 26,27)』『Live (May 1969)』『Live at Sweden 1971 (January 24)』『Live at Copenhagen 1970 (実際はJanuary 25, 1971)』になり、インディー・レーベルからDVD発売されている発掘ライヴ映像には同一映像の『Live at Copenhagen 1970 (January 25, 1971)』『Live at Danish TV 1970 (April 16, 1971)』があって、どちらもCDと同一音源ですが映像つきで楽しめるのが魅力となっています(この時はイエスが前座で、アンコールにバタフライとイエスの混成メンバーによるジャムセッションが行われており、CDでは音源のみ聴けるものの、映像には未収録となっています)。ただし1971年のバタフライはマイク・ピネラ(g,vo)とライノ・ラインハルト(g)をフィーチャーした『Metamorphosis』のバタフライなので(イエスとのジャムセッションではピネラとライノにスティーヴ・ハウを加えた壮絶なギター・バトルが聴けます)、オリジナル・コンセプトのバタフライのライヴ演奏となれば1969年以前の音源になるでしょう。
バタフライはデビュー・アルバム『Heavy』'68.1発表時にはすでにオリジナル・メンバーのダニー・ワイス(g)が新バンド・ライノセロスの結成のため独立し、アルバム発表と同時にダリル・デローチ(vo, per)とジェリー・ペンロッド(b)も辞めてしまい、4月のフィルモア・イースト公演ではエリック・ブラン(g)、リー・ドーマン(b)が加入して『In-A-Gadda-Da-Vida』'68.6、『Ball』'69.1、『Live』'70.4('69.5収録、ブランは'69.12脱退)の黄金期メンバーが揃っていますから、本当に全盛期の短いバンドだったわけです。1968年の年間チャート1位に輝き、ポップス史上初の100万枚突破アルバム(1968年~1969年だけでアメリカで200万枚、全世界700万枚)となった『In-A-Gadda-Da-Vida』は現在までに全世界3,000万枚を売り上げるモンスター・アルバムになりましたから、同アルバムの全曲の作者イングルは新バンドやバタフライ再結成に奔走する他のメンバーを尻目に引退してしまったのもやむなしでしょう。『Metamorphosis』とその後のライヴでは新加入のピネラとライノに仕切らせて、やる気を失ったイングルの様子がわかります。またデビュー・アルバム『Heavy』ではギタリストのワイスの活躍は目立ちますが専任ヴォーカルのデローチは3曲しかヴォーカルを取っておらず、ワイスが脱退しデローチの居場所がなくなるとともにペンロッドもつられて脱退したか、ブランの加入とともにドーマンの加入が検討され、結果的にメンバー・チェンジが行われたのだろうと思われます。
発掘ライヴ『Live at Galaxy 1967』はまだアルバム・デビュー前、『Heavy』のメンバーの5人編成によるライヴが聴ける現在唯一の音源です。『Heavy』に収録されるA2, A4, B1, B2, B4, B5は当然として、未発表曲A5, A6, A7を含み(バタフライのオリジナルですが作者不詳)、セカンド『In-A-Gadda-Da-Vida』に収録される曲はないのにサード『Ball』に収録される曲はA1, A3, B3があり、『Ball』ではA1はイングル、ビュッシー、ブランの共作となっていますがブラン加入前に原型はできていた、ということになります。ペンロッドのベースに不足感はありませんがやはりドーマンほどの躍動感はなく、ワイスは自分のバンドの結成のため脱退したのも納得のいく力量と個性を見せつけ、デローチはまるで存在感がありません。公式ライヴより高音質といえる『Fillmore East 1968』やラジオ音源・テレビ音源がマスターの1971年のライヴと較べてしまうと音質の点でやや厳しい音源ですが、まだデビュー前のバタフライが聴ける、しかも1967年7月という早い時期だけに残っていただけでもありがたいライヴです。実際、これらの発掘ライヴの発売で、バタフライの株は相当上がった観があります。
(旧記事を手直しし、再掲載しました。)