サンマー麺とは？とご存知ない方は次の日本語版ウィキペディアをご覧ください。
早い話がもやしを中心にたっぷり炒め野菜を盛ったあんかけスープが特徴の横浜ご当地ラーメンなのですが、あんかけであることと麺が普通の中華そばであることが長崎ちゃんぽんと違います。スープもとんこつではなく、醤油ラーメンや塩ラーメンのスープをあんかけにしたものです。もちろんとんこつ、かつ太麺もたいへん美味しいものですが、とろみあんかけとの相性はスープの味や麺の主張が大きくない、醤油または塩味の中細(中太)麺の方が勝る、ということでしょう。ラーメンというより中華そばと言った方がいいような素朴な本体だからこそ、炒め野菜増しましのとろみあんかけの温かみが身体の芯から効いてくる、といった塩梅でしょうか。これがちゃんぽんほどの野菜増し増し、太麺・とんこつ味となると、具材や麺やスープの主張が強すぎて、ホットで食欲旺盛な九州の方の嗜好には良くても、関東以北の食文化には濃厚すぎるといった感じなのではないかと思われます。
神奈川県に住んでいるからか、それとも全国発売か知りませんが、近所のスーパーや食品を扱っているドラッグストアでもサンマー麺のカップ麺(「もやしそば」)はいつも定番の位置を占めています。引っ越し前の近所にも、今はつぶれてしまいましたが、「横浜名物・サンマー麺」ののぼりを出している中華料理店がありました。お店でサンマー麺を食べたことはありませんが、カップ麺のサンマー麺も(写真ではあまり美味しくなさそうですが)なかなかの味と具材の完成度で、塩分控えめの醤油味ですが乾燥野菜の具材が多く、なによりとろみあんかけが冬場にはとりわけ美味しく感じられます。商標名が「ニュータッチ」のヤマダイ食品は茨城県に本社がある会社のようですが、かつては「♪美味いヌードル、ニュータッチ」とテレビCMをよく流しており、「ペヤングやきそば」のまるか食品(群馬県)とともに、大手老舗の日清製粉や東洋水産の王道路線とは違ったチープながらニッチ、ニッチだからこそブレない安定感のある味があります。そもそも小腹や夜食にカップ麺をすする購買層は正当なグルメ食としての美食を求めてはいないので、ペヤング・ソースやきそばと並んでニュータッチのカップ麺は「美味い・いまいち」とは別にリピーターを誘う絶妙な一点集中の味わいと、また食べて見たい中毒的な物足りなさを残します。
と、今回も他愛ない作文でお茶を濁してしまったので、1曲名曲を引いて締めましょう。加橋かつみ氏在籍時のザ・タイガースのライヴ・ヴァージョンで、加橋さんがリード・ヴォーカルを取るビージーズ1967年のデビュー・アルバムからのヒット曲「ホリデイ (Holiday)」(全米16位)のカヴァーです。加橋さんのヴォーカルは凛として抒情味に溢れたもので、これはビージーズのオリジナルを越え、加橋さんが歌うために書かれたのではないかと思うほどはまっています。加橋さんと森本太郎さんの2ギターのアレンジ、バンド全員のコーラス、緩急つけた表現力と、アレンジ力、演奏力ともども、ザ・タイガースが総合的なセンスの優れた実力あるバンドだったのを証明するヴァージョンです。ビージーズのオリジナル・ヴァージョンとお聴き較べいただけたら幸いです。
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